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演劇研究の核心

人形浄瑠璃・歌舞伎から現代演劇

著:法月 敏彦

紙版

内容紹介

明治期以降の演劇研究は、能・狂言、人形浄瑠璃、歌舞伎など日本国内の事象に関する研究と諸外国の演劇事象に関する研究を中心として、演劇学の確立を目指し進展を続けてきました。近年では、諸演劇ジャンルにおける時代区分別の研究が盛んになって、細分化された研究領域の中で、高度に進展した成果が蓄積されている状態といえるでしょう。 このような研究成果の充実の一方で、演劇研究の核心を突くような研究が少なくなっています。時代や地域を超えた演劇の魅力を追究する著者は、室町時代から江戸時代、明治期以降現代までを貫く演劇事象や、東洋と日本、芸術全般と演劇との関係性など広範囲にわたる主題を追究してきました。本書はその長年の成果を四つに分類して集大成したものです。

(1)観客の演劇受容の実態と東洋演劇全般の共通性。
(2)ドラマとして受け止められる「語り」の実像。
(3)「語り」から「芝居」への移行。
(4)演劇の近代化に伴う実像と、近代において成立する演劇教育という特殊性の解明。

加えて、女曲舞の伝統を継承する「お狂言師」の実態、明治初期に声高に提唱された演劇改良運動の一つである「大阪演劇改良会」が残した成果の考察など、貴重であるが忘れられていた事象を演劇史上、正確に位置づける論考を収録。

収録各論文の冒頭に、内容趣旨説明・キーワードを付し、巻末には英文summaryをまとめた。

目次

第1部 世界演劇における日本演劇の位置
 第1章 観客における演劇受容の実態
 第2章 東洋演劇としての日本演劇
 第3章 伝承される日本演劇
  第1節 「道行」という伝承
  第2節 「挿絵」という伝承
第2部 歴史を敷衍させる「語り」の演劇
 第1章 継承された語りとしての『浄瑠璃物語』
  第1節 始原としての『浄瑠璃物語』
  第2節 近世演劇における『浄瑠璃物語』
 第2章 江戸時代前半の語り
  第1節 古代からの記憶
  第2節 「奇跡」の伝承
 第3章 江戸時代後半の語り
  第1節 人形浄瑠璃の衰退
  第2節 新たな伝承の始まり
第3部 舞から踊りへ 語りから芝居へ
 第1章 踊りの人々
  第1節 猿楽の伝統
  第2節 女曲舞の伝統
 第2章 義太夫節浄瑠璃の歌舞伎化
  第1節 語りの展開
  第2節 伝説の歌舞伎化
 第3章 近代の芝居における変容
  第1節 河竹黙阿彌における近代
  第2節 歌舞伎の衰退
第4部 芝居の近代化と演劇教育の成立
 第1章 十九世紀の日本演劇
  第1節 近代における日本演劇の影響関
  第2節 演劇改良の時代
  第3節 現代への影響
 第2章 二十世紀の日本演劇と演劇教育
  第1節 近代における演劇教育の始原
  第2節 演劇教育の展開
 第3章 二十一世紀の演劇変容

参考文献一覧・英文サマリー・索引

著者略歴

著:法月 敏彦
1951年、静岡県生まれ。
日本大学大学院芸術学研究科文芸学専攻修士課程修了。
玉川大学文学部助手を経て、同芸術学部教授を定年退職。現在、桜美林大学芸術文化学群教授。

ISBN:9784840697637
出版社:八木書店
判型:A5
ページ数:353,21ページ
定価:9800円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AT