新天理図書館善本叢書 5
明月記
編:天理大学附属天理図書館
解説:尾上 陽介
紙版
内容紹介
新古今時代を代表する歌人にして、膨大な典籍を書写し後世に伝えた古典学者でもある権中納言藤原定家(1162―1241)の日記。別名「照光記」。定家十九歳の治承四年(1180)二月にはじまり、一部欠落もあるが、出家後の嘉禎元年(1235)十二月、七十四歳に至る五十六年間に及ぶ記事が伝わる。激動する時代の京都周辺の動静のほか、歌道や古典に関する記事も多く、定家の歌学研究、ならびに院政末~鎌倉初期の歴史・文化研究において必須の書といえる。
ここに収める原本のうち、治承四・五年記は源平の争乱に対する「紅旗征戎(こうきせいじゅう)吾事に非ず」という記事がよく知られているが、初めて全体の高精細カラー版が刊行されることで、定家がこの文字を記した状況について新たな知見が得られよう。また、正治元年八月記・九月記、嘉禄三年七月記の三巻は、これまでほとんど所在が知られていなかった原本であり、ここで公開される意義はまことに大きい。
目次
治承四・五年記【重要文化財】/正治元年八月他記/正治元年九月他記/建仁二年正月他記/嘉禄三年七月他記/嘉禄三年八・九月他記【重要文化財】