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惟然・支考の「軽み」 ―芭蕉俳諧の受容と展開―

著:金子 はな

紙版

内容紹介

蕉門俳人、広瀬惟然と各務支考における「軽み」の展開を明らかにする

第一部「芭蕉の「軽み」解釈」では、近代以降現在までの「軽み」研究文献において、何が「軽み」とされてきたのかを探り、その問題点を指摘したうえで、新たな視座を提示する。第二部「惟然における軽みの展開」では、芭蕉入門後の惟然が芭蕉との関係をどのように築き、また芭蕉がさかんに説いた「軽み」をどのように受容したのかを、具体的な事実と作品に基づいて検討する。第三部「支考における軽みの展開」では、同門俳人からの攻撃によって長らく「俗臭の多い野心家」という先入観のもとに、信頼に値しない人物として語られてきた支考を取り上げ、惟然とともに「軽み」唱導期の芭蕉に随時した支考の経歴と俳論を整理して、その言説は芭蕉の教導につながるものであることを示した。本書では三部八章にわたり、惟然・支考と芭蕉の「軽み」との関わりを中心とした論を展開し、全体の総括は巻末の「おわりに」において行った。

目次

凡例
はじめに
第一部 芭蕉の「軽み」解釈
第一章 先行研究における評価
    第一節 「軽み」論の史的展開
    第二節 「軽み」研究史の概観
  第二章 「花見の句のかかり」考
    第一節 花見の句と「軽み」
    第二節 「慣用句」および「通俗性」を
        「軽み」とする説
    第三節 「かかり」=「リズム」説について
    第四節 「かかり」の一般的な用法
    第五節 「花見の句のかかり」とは何か

第二部 惟然における「軽み」の展開
第一章 惟然と芭蕉
    第一節 芭蕉入門前の惟然
    第二節 芭蕉入門と「軽み」への接近
  第二章 惟然の表現と思想
    第一節 惟然の口語調俳諧に対する批判
    第二節 元禄七年以前の俳風―景気と口語の共存
    第三節 元禄八年以降の俳論と俳風
    第四節 「あだなる風」と「軽み」
    第五節 惟然の思想と生き方―「かろき生涯」の知足
第三章 惟然と地方俳壇
    第一節 惟然の地方行脚とその特色
    第二節 朱拙と惟然―『梅桜』『けふの昔』の俳論―
    第三節 千山と『二葉集』
    第四節 惟然の芭蕉顕彰―風羅念仏と芭蕉像―

第三部 支考における「軽み」の展開
  第一章 支考と芭蕉
    第一節 芭蕉入門前の支考
    第二節 蕉風俳諧との出会い
    第三節 芭蕉随伴期の支考
  第二章 支考の表現と思想
    第一節 支考俳論の特殊性
    第二節 俗談平話を正す
    第三節 姿情の論
    第四節 支考の思想と生き方―世情の人和―
  第三章 支考と地方俳壇
    第一節 支考の地方行脚とその特色
    第二節 『東西夜話』の「軽み」
    第三節 支考の芭蕉顕彰―仮名碑建立と仮名詩―

おわりに

資料編
  一、「軽み」用例一覧
  二、『雙林寺碑銘註昼錦抄』翻刻と解題

 参考文献一覧
 初出一覧
 あとがき
 索引

著者略歴

著:金子 はな
千葉県生まれ。東洋大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。
現在、東洋大学・駒沢女子大学非常勤講師。日本近世文学(俳文学)専攻。
著書:『鳳朗と一茶、その時代―近世後期俳諧と地域文化―』(共著、新典社、2021年)
論文:「惟然と芭蕉俳諧の理念―俳論「詼諧非芸」の意義―」(『日本文学研究ジャーナル』18号、2021年6月)
「「花見の句のかかり」考」(『連歌俳諧研究』141号、2021年9月)など

ISBN:9784838607617
出版社:武蔵野書院
判型:A5
ページ数:348ページ
定価:11000円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月17日