文:ヤニーナ・ポラジンスカ
ヤニーナ・ポラジンスカ(Janina Poraziska)(1888~1971年)ポーランドのルブリン市生まれ。詩人、作家、翻訳家。クラクフ市のヤギェウォ大学を卒業後、1903年に「旅人」でデビュー。第一次世界大戦中の1917年に、子どものための「小さな炎」誌、1927に「ちっちゃな炎」誌を創刊した。大戦間期は編集長。第二次世界大戦後、廃墟から立ち上がった祖国の大地、自然、伝統、美しいポーランド語への愛情あふれる数十冊の昔話集などを発表した。『おとぎ話』『山のかなた、森のかなたに』『はるかなる川のむこうに』『ずうずうしいミソサザイ』、さらに、この4冊から12話を選んだ『魔法の手引き書、ポーランド民話をモチーフとした昔話・物語・おとぎ話』が版を重ね、数世代にわたる子どもたちの心を育くんだ。総理大臣賞ほか、多数の賞を受賞した。 『くつやのドラテフカ』は、ルブリン地方(ウクライナに近い東部地方)の昔話をもとに再話したもので、主人公の小さきものたちへのやさしさが根強い人気になっている。“ドラテフカ”は、じつは人名ではなく、靴屋さんを呼ぶときに使われる愛称である。
訳:足達 和子
足達和子 足達和子(あだち かずこ) 法政大学文学部日本文学科卒業後、ワルシャワ大学ポーランド文学部に5年間留学。著書に『日ポ・ポ日小辞典』『“はなたれ小僧さま”と、その他の日本の昔話』(以上、ワルシャワで刊行)、『ショパンへの旅』(未知谷)、『ポーランドの民族衣裳』(源流社)など。訳書に『美しいハンナ姫』 (岩波少年文庫)、『仕立屋のニテチカさんが王さまになった話』(偕成社)、『ぼくはナチにさらわれた』(平凡社ライブラリー)などがある。1992年に、編著訳書『現代日本名詩選、ふゆのさくら』(日ポ二カ国語版、国際文化出版社)で日本翻訳出版文化賞受賞。2015年に、ポーランド大統領から「カバレルスキ十字勲章」を授与された。東京都在住。
絵:ワンダ・オルリンスカ
ワンダ・オルリンスカ ワンダ・オルリンスカ(Wanda Orli?ska)ポーランドのスタローヴァ・ヴォーラ市生まれ、ワルシャワ美術大学グラフィック部卒業。絵画と出版美術を専門とし、絵本・児童書を数十冊出版したほか、多くの雑誌で挿絵を描いてきた。ポーランド各都市、および、ベルリン、シュトットガルト、ブラティスワヴァ、ベルグラード、ロンドンの美術展に出品し、その作品は、スタローヴァ・ヴォーラ地方美術館、ザモイスキBWAギャラリーに収蔵されている。本作品は描き下ろしで、日本での出版は初めてである。ワルシャワ在住。