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講座 サニテーション学 5

サニテーションのしくみと共創

他編著:清水 貴夫
他編著:牛島 健
他編著:池見 真由

紙版

内容紹介

人のし尿の処理・処分とそのための施設・システムであるサニテーション。人間活動や環境問題と密接に関わるそれらを研究する新たな学問領域として、衛生工学や公衆衛生学のみならず、文化人類学、倫理学、開発経済学など様々な分野を横断する「サニテーション学」を提唱する。

***

第5巻は、人々にとってよりよいサニテーションを作り上げるための要素とは。フィールド調査での地域の人々との関わりのなかから、技術の実装のみならず、文化的、社会的、経済的に受け入れ可能なしくみづくりと、それを実現するための多様なアクターによる共創の必要性を説く。

目次

本講座の刊行によせて

序 章 なぜサニテーションの共創が必要なのか………牛島 健・清水貴夫
 1 はじめに
 2 共創に至る以前のアプローチの変遷
 3 プロジェクトの経緯から学んだ共創の必要性
 4 もうひとつの共創──サニテーション学の萌芽
 5 おわりに


 第1部 サニテーションのしくみを構成する要素

第1章 サニテーション計画──技術選択から住民参加,そして社会的包摂へ………原田英典
 1 はじめに
 2 開発アジェンダの中でのサニテーションとその課題
 3 サニテーションの特徴と導入の課題
 4 サニテーション計画のためのアプローチ
 5 まとめと課題

第2章 国内外のアクター間の対立と連携
    ──国際関係論と参加民主主義の視点から………鍋島孝子
 1 序 論
 2 何が関係アクターにとって問題か
 3 技術導入による文化変容
 4 サニテーションを巡る意思決定
 5 結 論

第3章 ステークホルダーとしての生活者………池見真由
 1 序 論
 2 本 論
 3 結 論

第4章 価値をつなぐ共創………牛島 健
 1 はじめに
 2 サニテーションとモチベーションと価値
 3 モチベーションのネットワークの理解とその調整
 4 モチベーションを価値につなげるアプローチとしての共創
 5 まとめ


 第2部 地域に根差したサニテーションを共創(co-creation)する

第5章 フィールドマトリクス──様々な事例の見取り図………牛島 健
 1 はじめに
 2 各プロジェクトの概要
 3 各フィールドの背景
 4 各プロジェクトの所与の条件
 5 各プロジェクトの特性
 6 まとめ

第6章 カメルーン──アクターたちの思惑とすれ違い………林 耕次・清水貴夫
 1 はじめに
 2 調査地の状況
 3 バカの人びととローカルNGO
 4 バカのトイレ観を探る
 5 サニテーションをめぐる共創の試み
 6 おわりに

コラム① 岩見沢のBISTRO下水道………藤原 拓
 1 はじめに
 2 BISTRO下水道とは
 3 岩見沢での下水汚泥農業利用の取り組み
 4 岩見沢における下水汚泥肥料利用の実態解明と価値評価の試み
 5 おわりに

第7章 ブルキナファソ──研究者とローカルNGOが住民を主導する………清水貴夫
 1 はじめに
 2 調査地概要
 3 調査地選定の背景と研究者の位置づけ
 4 地球研プロジェクト
 5 エヴィデンスの共有とワークショップ
 6 ブルキナファソで志向した共創の形

コラム② マンダレー市(ミャンマー)のインフォーマルな汲み取りビジネス………原田英典
 1 し尿汚泥の汲み取りビジネス
 2 マンダレーの汲み取りビジネスの実態
 3 なぜインフォーマルな汲み取りを選ぶのか?
 4 能動的な汲み取りビジネスへの転換に向けて

第8章 ザンビア──子どもと若者による水と衛生の参加型アクションリサーチ
                       ………原田英典・Sikopo Nyambe・山内太郎
 1 はじめに
 2 対象地の概要
 3 参加型アクションリサーチの実施
 4 子ども・若者との質的調査の実践──フォトボイス&アートベース・リサーチ
 5 若者との量的調査の実践─糞便汚染・下痢リスクの量的評価に向けた初期的試み
 6 まとめ

コラム③ 可視化されたサニテーションの知………片岡良美
 1 参加型アクションリサーチ
 2 活動プロセスの映像アーカイブによる可視化
 3 オーラルコミュニケーション
 4 生活知と科学知の可視化

第9章 インドネシア──マテリアルフローから価値のつながり・ひとのつながりへの展開を目指す
                       ………牛島 健・池見真由・Neni Sintawardani
 1 はじめに
 2 第1フェーズ──河川の水質汚濁問題としてのサニテーション:マスバランス
 3 第2フェーズ──マテリアルフローと社会関係ネットワークによる解決方策の構築
 4 第3フェーズ──地域プレイヤーとの共創
 5 まとめ

終 章 人に寄り添うサニテーションとは………山内太郎
 1 はじめに
 2 フィールドにおける共創
 3 ソフトな力─モチベーションと行動変容,当事者意識
 4 サニテーション「学」の構築
 5 おわりに

座談会 サニテーション学を創る
 第1部 日本からアフリカへ──フィールドへの道のり
      サニテーションと衛生工学
      資源回収型のサニテーションへ
      グローバリゼーションと開発の時代
      学際プロジェクトの萌芽
      「言葉」の違いとコミュニケーション
      地域社会へのアプローチ
 第2部 学際プロジェクトの可能性──交錯から生まれるもの
      SATREPSから地球研プロジェクトへ
      ビジュアライゼーションという視点
      国内と国外のフィールドの選択
      学際共同研究の中で
      フィールドや場を共有することの重要性
      学際研究における可視化
      社会実装への到達のきざし
      それぞれの分野のジレンマと貢献


索引
執筆者紹介

著者略歴

他編著:清水 貴夫
京都精華大学国際文化学部 准教授 / 総合地球環境学研究所 客員准教授
専門:文化人類学
他編著:牛島 健
北海道立総合研究機構北方建築総合研究所 研究主幹
専門:地域計画、社会システムデザイン
他編著:池見 真由
札幌国際大学観光学部 准教授
専門:開発経済学、参加型開発論、地域研究

ISBN:9784832929555
出版社:北海道大学出版会
判型:A5
ページ数:412ページ
価格:4200円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年06月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS