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中国仏教の経典解釈と思想研究

著:菅野 博史

紙版

内容紹介

南北朝・隋代は中国仏教が大成するための育成期といわれる。
主な大乗経典の翻訳が遂げられるや、その注釈書が競うように著わされた。本書は、その時代の大乗経典の思想的位置づけがどのようになされたかを、精緻に論究する。



序章「東晋・南北朝の仏教の思想と実践」
―この時代の僧侶・思想家たちの仏教受容について概観する。
第一部「法華経疏の研究」
―主要な法華経疏の解説に加え,『観音経』の注釈や民衆信仰にも触れ,さらに『法華経』に対峙する『涅槃経』について天台がどのように捉えているかを論じる。
第二部「維摩経疏、涅槃経疏、般若経疏の研究」
―『釈肇序抄義』『大般涅槃経集解』のテキストの校訂と解説のほか,吉蔵の『涅槃経』『般若経』の注釈について論じる。
第三部「『大乗四論玄義記』の研究」
―吉蔵の思想と関連する慧均『大乗四論玄義記』の仏性義を詳しく解読するとともに、『大乗四論玄義記』に頻繁に見られる『涅槃経』の引用の特徴を論じる。
第四部「その他」
―智顗の伝記を中国の研究者はどう読むか、現代中国仏教の理念と日蓮の思想の類似性、富永仲基と平田篤胤の仏教批判の内容について、見解を披歴する。

目次

はしがき
序章 東晋・南北朝の仏教の思想と実践
   ――仏教受容書記の具体像――

第一部 法華経疏の研究
第一章 『法華経』の中国的展開
第二章 光宅寺法雲の法華経観
第三章 中国における法華思想の展開
第四章 中国天台における『観音経』
   (『法華経』観世音菩薩普門品)の注釈について
第五章 天台智顗における『法華経』と『涅槃経』の関係
    ――吉蔵との比較を含んで――
第六章 中国天台宗における涅槃経観を示す諸概念について
    ――「追説」、「追泯」、「?拾教」、「扶律談常」――

第二部 維摩経疏、涅槃経疏、般若経疏の研究
第一章 杏雨書屋所蔵『釋肇序抄義』翻刻
第二章 杏雨書屋所蔵『釋肇序抄義』の研究
第三章 白鶴美術館所蔵『大般涅槃経集解』写本について
    ――巻第一~三、十八~二十の校勘――
第四章 吉蔵の涅槃経観
    ――『涅槃経遊意』を中心として――
第五章 吉蔵『大品経玄意』の研究

第三部 『大乗四論玄義記』の研究
第一章 『大乗四論玄義記』「仏性義」の「第一大意」の分析
第二章 『大乗四論玄義記』「仏性義」の「第二釈名」について
第三章 『大乗四論玄義記』「仏性義」の「第三体相」の分析について
第四章 『大乗四論玄義記』「仏性義」大意・釈名・体相の訳注研究
第五章 『大乗四論玄義記』における『涅槃経』の引用について

第四部 その他
第一章 天台智顗の死について
    ――中国の学者の解釈を中心として――
第二章 中国の人間仏教と日蓮の「入世」の思想
    ――浄土教との比較を含めて――
第三章 富永仲基と平田篤胤の仏教批判
初出一覧
索引

著者略歴

著:菅野 博史
1952年、福島県生まれ。76年、東京大学文学部卒業。84年、同大学大学院博士課程単位取得退学。94年、文学博士(東京大学)。創価大学文学部教授、東洋哲学研究所副所長、中国人民大学客員教授。専門は仏教学、中国仏教思想史。著書・訳書に、『法華玄義』上・中・下、『法華文句』I~IV、『一念三千とは何か─「摩訶止観」正修止観章』『現代に生きる法華経』『法華経の七つの譬喩─初めて学ぶ「法華経」─』(以上、第三文明社)、『法華経入門』(岩波書店)、『南北朝・隋代の中国仏教思想研究』『法華玄義を読む─天台思想入門』『法華経─永遠の菩薩道 増補新装版』(以上、大蔵出版)、『中国法華思想の研究』『法華とは何か─「法華遊意」を読む─』(以上、春秋社)ほか。

ISBN:9784831870940
出版社:法藏館
判型:A5
ページ数:522ページ
定価:12500円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年09月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QRAX