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龍谷大学アジア仏教文化研究叢書 16

最古の世界地図を読む

『混一疆理歴代国都之図』から見る陸と海

編:村岡 倫
他著:濱下 武志
他著:中村 和之

紙版

内容紹介

龍谷大学図書館が所蔵する『混一疆理歴代国都之図』は、李氏朝鮮で作製された現存する世界最古の世界地図の一つ。
世界帝国を築き上げたモンゴル帝国時代の地名が数多く記されているなど、大航海時代以前にアジアで作られた世界地図として研究上の価値が高いことは古くから注目されてきたが、従来の研究では、基本的には京都大学に所蔵される複製図を用い行なわれてきた。

しかし近年、龍谷大学理工学部教授の岡田至弘を中心とする龍谷大学の「古典籍デジタルアーカイブ研究プロジェクト」によって、デジタル工学に基づく地名の鮮明化や色素・素材分析などによる復元方法が開発され、作製時代の原型が忠実に復元され、これにより原図の文字の解読が可能となった。

本書では、このような最新のデジタル工学技術によってよみがえった龍谷大学蔵『混一図』に基づいた分析によってみえてきた新知見を公開する。


【本書の構成】
はしがき[村岡 倫]
海洋が生んだ世界図――龍谷大学蔵『混一図』が示す海域像――  [濱下武志]
モンゴル帝国時代の国境なき交流の道  [村岡 倫
『混一図』に描かれた北東アジア  [中村和之]
『混一図』の保存のためのデジタル修復・複製  [岡田至弘]
「龍谷図」の彩色地名・歴代帝王国都および跋文  [渡邊 久]

目次

はしがき[村岡 倫]

海洋が生んだ世界図――龍谷大学蔵『混一図』が示す海域像―  [濱下武志]

はじめに
一 『混一図』研究をめぐる諸課題
二 海洋から見た『混一図』
三 鄭和の大航海と海域世界
四 日本・琉球・東アジア海域をめぐる『混一図』の変化
五 琉球王国と東南アジア・日本・朝鮮・中国をつなぐ歴史文化情報
六 朝貢システムと海洋交易ネットワーク
七 東アジア・東南アジアにかけた朝貢体制の形成と琉球王朝『歴代宝案』
八 『混一図』と南洋――鄭和の西洋下りと琉球ネットワークの交錯
九 海洋文化と海神――海神媽祖と媽祖信仰圏
おわりに


モンゴル帝国時代の国境なき交流の道  [村岡 倫]

一 「龍谷図」の概略
二 日本はなぜ逆さまに描かれているのか
三 モンゴル高原と中国本土を結ぶ交通路の拠点「野馬川」
四 モンゴル高原と中央アジアを結ぶ交通路の拠点「稱海」
五 『混一図』に記されるモンゴル高原の地名と交通路
六 『混一図』に描かれた海岸線
七 仏教における世界認識の研究に向けて


『混一図』に描かれた北東アジア  [中村和之]

はじめに
一 『混一図』の北東アジア地域についての記載
二 『混一図』に見える女真と『日本図』の刀伊
三 モンゴル時代の黒龍江・宋瓦江と『混一図』
おわりに


『混一図』の保存のためのデジタル修復・複製  [岡田至弘]

一 はじめに
二「龍谷図」の現状および複製化
三 まとめ


「龍谷図」の彩色地名・歴代帝王国都および跋文  [渡邊 久]

一 『混一図』の彩色地名と歴代帝王国都
二 『混一図』の跋文について


執筆者一覧 

龍谷大学アジア仏教文化叢書16 刊行の辞  [楠 淳證]

著者略歴

編:村岡 倫
1957年、北海道生まれ。龍谷大学文学部教授。専攻は東洋史、モンゴル帝国史。主な著書に『チンギス・カンとその時代』(共著、白石典之編、勉誠出版、2015年)、『概説中国史』下(共著、森田憲司・冨谷至編、昭和堂、2016年)などがある。
他著:濱下 武志
1943年生まれ。龍谷大学人間・科学・宗教総合研究センター研究フェロー、東洋文庫研究員。専攻は東アジア地域史、中国近現代史。主な著書に『華僑華人と中華網』(岩波書店、2013年)などがある。
他著:中村 和之
1956年生まれ。函館工業高等専門学校特任教授。専攻はアイヌ史、北東アジア史。主な著作に「中世・近世アイヌ論」(『岩波講座 日本歴史』第20巻、岩波書店、2014年)などがある。

ISBN:9784831863850
出版社:法藏館
判型:A5
ページ数:286ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年03月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WTL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WTR