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日本仏教史研究叢書

近世仏教の教説と教化

著:芹口 真結子

紙版

内容紹介

近世期、教学研究機関が設立されて教学が整備されるとともに、僧侶の教化や書物流通を介して仏教の知識が社会に浸透した。一方、教学の解釈をめぐって、宗派内外に対立が生じて教学論争が発生し、時は幕藩領主の介入を招くこともあった。本書はこれらの問題に着目して、近世日本の政治・社会構造や幕藩領主から民衆に至る諸階層の意識・思想の特質を総合的に解明する。

目次

序章 近世宗教史研究の成果と課題
はじめに
第一節 近世仏教史研究の展開
第二節 新たな研究視座の登場と分析の多角化
第三節 課題と方法
第四節 本書の構成

第一部 教学論争と教学統制
第一章 羽州公巌の事件と教学統制
はじめに
第一節 公巌事件の展開
第二節 公巌の教説の特質
第三節 公巌の「正統」化論理
第四節 公巌教説の影響
おわりに

第二章 教学論争と藩権力―尾張五僧の事件を事例に―
はじめに
第一節 尾張五僧の事件の展開過程
第二節 寺法と国法の相剋
おわりに

第三章 教学論争と民衆教化―加賀安心争論を事例に―
はじめに
第一節 加賀安心争論の展開
第二節 対立の具体相
第三節 争論解決への対応とその特徴
おわりに

第二部 教化の担い手と取り締まり
第四章 教化をめぐる取り締まりの構造と展開
はじめに
第一節 本山の教化規制の特徴
第二節 加賀藩領における教化の管理・規制
第三節 藩寺社奉行所による取り締まり強化の背景
おわりに

第五章 〈俗人〉の教化と真宗教団
はじめに
第一節 久保田城下の真宗寺院と清次郎一件
第二節 清次郎一件の処理
第三節 民衆の教化活動と社会的背景
おわりに

第三部 文字化された教え
第六章 近世の講録流通
はじめに
第一節 異安心取調べ関係記録の伝播と受容―公巌事件を例に―
第二節 講録流通の様相
おわりに

第七章 問答体講録について
はじめに
第一節 問答体講録と示談録
第二節 示談録の世界
第三節 問答体講録の成立・流布の背景
おわりに

終章 成果と課題
第一節 本書の成果
第二節 展望と今後の課題

初出一覧
あとがき

著者略歴

著:芹口 真結子
1988年埼玉県生まれ。2010年日本女子大学文学部史学科卒業、2012年一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻修士課程修了、2017年一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程修了、2019年千葉県文書館嘱託職員着任、現在に至る。博士(社会学・一橋大学)。論文に「近世真宗教団と藩権力―19世紀初頭の異安心事件を事例に―」(『史学雑誌』123(8)、2014年)、「一九世紀初頭における〈俗人〉の教化活動と真宗教団」(『民衆史研究』92、2016年)など。

ISBN:9784831860446
出版社:法藏館
判型:4-6
ページ数:296ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2019年06月
発売日:2019年06月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB