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現代日本の仏教と女性

文化の越境とジェンダー

編:那須 英勝
編:本多 彩
編:碧海 寿広

紙版

内容紹介

日本仏教、その未来を考える――。
仏教界に今なお根強く残る性差別の実態に、国内外の研究者と現場の僧侶たちが鋭く迫る。
多文化共生が求められる現代社会に、ジェンダーの視点から日本仏教の未来を問う革新的な1冊。

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寺院は、日本仏教の基盤であり、日本の伝統文化を継承する主要な場の一つでもある。その裏面として、日本の負の伝統(因襲とも言える)もまた、一般社会より色濃く伝えてきてしまったところがある。古臭い女性観や、周囲の人間に対するハラスメント意識の希薄さは、その典型的な例だろう。
こうした負の伝統をどう理解し、いかに克服しうるか。学問的にも実践的にも、大きな課題としてある。本書は、その課題に応えるための論文や提言を集めた研究書であり、実践のための手引き書である。
(中略)
ジェンダーは国際的な視野から検討したほうが、理解が深まりやすい。社会や文化ごとの違いが重要なため、自己とは異なる社会や文化の事例や視点を得ることで、問題の所在が際立ち、また別の可能性も見えてくるのである。
そのため、本書は国際性を重視する。国外の事例を取り上げるだけではない。イギリスから日本に来て、僧侶として活動してきた女性の体験談や、あるいは寺院でのフィールドワークを積み重ねるカナダの研究者の論文も掲載する。こうした「異邦人」の目線からの現代日本仏教に関する所感や考察は、現状では、あまり多くは存在しない。それらは一種の日本文化論としても興味深く、新鮮な見解に満ちている。(「はじめに」より)
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執筆者一覧(50音順):飯島惠道/池田行信/碧海寿広/岡田真水(真美子)/川橋範子/那須英勝/本多彩/横井桃子/吉村ヴィクトリア/マーク・ロウ

【本書のポイント】
・「ジェンダー」と「国際性」というこれまで日本仏教に関する著作において同時に押し出されることのなかった二つのキーワードから、「現代日本仏教と女性」という仏教界が抱える重要な問題に切り込む画期的試み。
・研究者による調査報告だけでなく、実際に現場で活動する女性僧侶たちの体験談までを収録。

目次

はじめに(碧海寿広)
序 章 越境する「仏教とジェンダー」研究(川橋範子)

第一部 研究篇
第一章 女性の出家と成仏(岡田真水〈真美子〉)
第二章 米国本土の女性仏教徒と越境
     ―米国開教区の動向―(本多 彩)
第三章 越境する寺族女性たち
     ―日本とハワイの調査から―(横井桃子)

第二部 実践篇
第一章 ジェンダー不平等な現場からのレポート
     ―伝統的出家型尼僧の視座から―(飯島惠道)
第二章 ニッポンの田舎における英国人女性僧侶の冒険(吉村ヴィクトリア)
第三章 真宗教団における「性」をめぐる諸問題(池田行信)

特別収録
仏教人類学とジェンダー
 ―女性僧侶の体験から―(マーク・ロウ)

おわりに(那須英勝)
「龍谷大学アジア仏教文化研究叢書」刊行について(楠 淳證)
編者・執筆者紹介

著者略歴

編:那須 英勝
1961年生まれ。龍谷大学文学部教授。専攻は真宗学・宗教文化史。主な著書に『犀の角――世界に拓く真宗伝道』(共著、永田文昌堂、2005年)がある。
編:本多 彩
1977年生まれ。兵庫大学共通教育機構准教授。専攻は宗教社会学。主な論文に「ワシントン州における日系二世の仏教教育」(吉田亮編『越境する「二世」――1930年代アメリカの日系人と教育』現代史料出版、2016年)がある。
編:碧海 寿広
1981年生まれ。龍谷大学アジア仏教文化研究センター博士研究員。専攻は宗教学・近代仏教。主な著書に『仏像と日本人―宗教と美の近現代』(中公新書、2018年)がある。

ISBN:9784831860163
出版社:法藏館
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年04月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QRAX