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民間軍事警備会社の戦略的意義

米軍が追求する21世紀型軍隊

著:佐野 秀太郎

紙版

内容紹介

基地支援、警護・警備、通訳、兵站支援、通信など非戦闘活動を請け負う民間軍事警備会社(PMSC)は
いまや米軍の部隊規模を上回るほど大きな存在になっている。
イラク、アフガニスタンでの事例を徹底検証し、その影響力の大きさと米軍のあり方を分析した論考。

目次

序 章
  なぜPMSCか/PMSCの持つ新たな側面/既存の議論の限界
第1部 変幻自在のPMSC
第1章 PMSCの捉え方とその限界
 第1節 用語の定義及び概念区分
 第2節 PMSCを巡る様々なイメージ
 第3節 分析対象選定の理由
 第4節 データ源と研究上の制約事項
第2章 PMSCとそれを取り巻く安全保障環境
 第1節 新たな安全保障環境に存在するPMSC
  軍事力の「新たな役割」と米軍のフルスペクトラム作戦/米軍のフルスペクトラム作戦のなかで問われるPMSCの役割
 第2節 恒久化しつつあるPMSC産業
  変容を繰り返すPMSC/困難を極めるPMSCの規制状況
第3章 米軍の戦略的行動を反映した視座
 第1節 米軍の戦力投射に着目することの意義
  戦力投射の重要性/戦力投射の定義
 第2節 軍事力を行使する際の基本的要素とPMSC
  国家の外交政策の推進(軍事力行使の目的)/軍の即応性の発揮(軍事力行使の対応要領)/軍事作戦の正当性の確保(軍事力行使の道義・合法的基盤)
第2部 イラク及びアフガニスタンにおける事例検証
第4章 米国の外交政策に寄与するPMSCの役割と課題
 第1節 米軍の影響力を促進するPMSCの戦略的役割
  PMSCの活用による政治的・軍事組織的制約の克服/現地における政治的・軍事的影響力の保持
 第2節 米軍の戦略的課題を克服できないPMSC
  低姿勢のプレゼンスを維持できない軍のディレンマ/払拭されない支援の継続性を巡る懸念
 第3節 作戦遂行を左右するPMSCの作戦・戦術的影響
  軍の戦闘行動への専念を可能にするPMSC/軍の負担を増大させるPMSCの安全確保問題
第5章 米軍の即応性を向上させるPMSCとその限界
 第1節 PMSCが寄与する短期・中期的な役割
  軍の初動対処を高めるPMSC/継続的な軍事作戦を可能にするPMSC
 第2節 PMSCを巡る米軍の中期・長期的な課題
  容易に解消されない作戦の長期化の影響/PMSCへの長期的依存を巡る懸念
 第3節 軍の即応性に及ぼすPMSCの作戦・戦術的影響
  部隊の士気を左右するPMSCの存在/軍の迅速な行動を阻害する構造的相違と契約構造
第6章 軍事作戦の正当性を向上させるPMSCとその問題点
 第1節 米軍及びPMSCの正当性を裏付ける基盤的要素の曖昧性
  軍の作戦を巡る脆弱な活動基盤/PMSCの正当性を巡る曖昧な法的基盤とダブル・スタンダード
 第2節 米軍の正当性に寄与するPMSCの活動成果と限界
  PMSCを積極的に活用する軍/PMSCの活動成果を阻害する身元調査と違法行為
 第3節 PMSCを巡る賛否両論
  諸刃の剣として捉える現地政府及び住民/不易流行のものとしてPMSCを捉える米軍及び議会/米国の状況を見定める英軍
第7章 PMSCを巡る米国のリスク軽減施策とその限界
 第1節 PMSCの規制に本格的に取り掛かる米議会
 第2節 PMSCの規制強化を図る米軍
 第3節 残存する請負業務及び支援体制上の課題
  請負業務の管理・監督の枠組みを巡る問題/請負業務の遂行要領を巡る問題/軍の支援体制を巡る問題
終 章
  米軍における新たな軍の在り方の台頭/今後の研究課題

著者略歴

著:佐野 秀太郎
1964年東京都生まれ。現在、防衛大学校防衛学教育学群教授。1989年に、防衛大学校国際関係論学科を卒業後、富士学校総合研究開発部、幹部候補生学校、研究本部など、陸上自衛隊の教育・研究機関を中心に勤務。米ハーバード大学ケネディ行政大学院(1995年)及び防衛大学校総合安全保障研究科(2007年)で修士号、同研究科(2013年)で博士号を取得。2002年に指揮幕僚課程を卒業。

ISBN:9784829506493
出版社:芙蓉書房出版
判型:A5
ページ数:5800ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2015年05月
発売日:2015年05月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW