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花園大学人権論集 25

広がる隣人との距離

制度の狭間で見えなくなる困窮

編:花園大学人権教育研究センター

紙版

内容紹介

現代の日本社会では隣人関係が希薄化し、同じ地域に暮らす人びとは没交渉であることは珍しくない。そういった社会では困窮に陥ったとき、誰にも気づかれず、制度の網からもはずれ、そのままドロップアウトしてしまう人が後を絶たない。私たちの生きる社会から差別や貧困がなくなっているわけではなく、見えなくなってしまっているだけなのである。
差別、宗教、メディア、障害者、貧困、原発など、まさしく私たちが生きていく上で、向き合わねばならない様々な事象に関わる多様なテーマを研究・発信する花園大学の公開研究の講演録。時々の時代背景が投影した人権状況の変遷を見ることができる、人権に関する貴重な記録。

目次

はしがき(吉永純)

釜ヶ崎から日本の貧困を考える(生田武志)
●活動をはじめたきっかけ●全国の「釜ヶ崎化」●ハウス(家)とホーム(居場所)●一歩一歩の段差づくり●さいごに

普通の弁護士がお金にならない原発裁判をやる理由(鹿島啓一)
●原発裁判に関わるきっかけ●3・11前の原発裁判●3・11後の裁判官、最高裁の動き●3・11後の原発裁判●大飯原発三・四号機運転差止請求事件●高浜原発三・四号機運転差止仮処分命令申立事件●高浜原発三・四号機運転差止仮処分命令申立事件の異議審●どこかにいる人々、後の世の人々に思いを寄せる

仏教を基盤とした病者の看取り ビハーラ活動と臨床宗教師研修(鍋島直樹)
●ビハーラ活動とは――その理念と基本方針●臨床宗教師研修の誕生●スピリチュアルペイン――根源的な苦しみ●スピリチュアルケア――心のケア●大学院実践真宗学研究科における臨床宗教師の実践理念●2015 臨床宗教師研修で学んだ大切な物語●阪神淡路大震災の体験――大災害をどう受けとめるか●親鸞聖人における愛別離苦への姿勢●生きる意味はどこに

大阪府社会貢献事業の現状と課題――制度のはざまに寄り添う社会福祉法人によるレスキュー事業(川島ゆり子)
●報告趣旨●現実の地域社会●制度のはざまで●大阪府社会貢献事業●社会福祉法人以外に公益性をもつ組織●質疑応答

つまづきの石――曹洞宗の差別事象をふり返る(中尾良信)
●第三回世界宗教者平和会議差別発言●広島家系図差別事件●栃木県住職差別発言事件●内山愚童の名誉回復●梅花流詠讃歌歌詞改訂●『差別語を考えるガイドブック』●総持寺機関誌差別的エッセイ・漫画

マス・メディアのモラル・パニック(八木晃介)
●モラル・パニックとは何か●私の最初の新聞体験●新聞記者志望の理由●私の簡単な履歴●沖縄返還密約暴露事件●「知る権利」の敗北●NHK番組改竄問題●安倍首相の「おともだち」や「チルドレン」のメディア観●「電波停止」発言とテレビの敗北●「言論・表現の自由」「報道の自由」は、風前の灯火か?●特定秘密保護法の問題点●憲法の命運や、いかに?●マス・メディアのイデオロギー作用●メディア・リテラシーによるエンパワーメント●私自身はどのように行動してきたか

子どもの育ちと障害にかかわる権利保障(山口真希)
●教育において「みんな同じ」は本当に大切なのか●多様性の尊重を難しくしているものは何か●大人の期待に沿う先に何が待っているのか●「みんな同じ」という期待をどう問い直すことができるのか●障害の社会モデルと理解教育

ISBN:9784826506779
出版社:批評社
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2018年03月
発売日:2018年03月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB