まえがき
第Ⅰ部 言語行動を見つめる足場〈その1〉 社会言語学という足場
第1章 社会言語学――入り口案内
はじめに
1 社会言語学の関心事
2 社会言語学の前提
3 社会言語学の分野――その1 「社会」のとらえ方
4 社会言語学の分野――その2 ことばへの観点
5 まとめ――今後の方向
第2章 社会言語学の視野
1 はじめに――社会言語学と雑誌『言語生活』
2 社会言語学研究の広場としての『言語生活』
3 ことばへの視点・関心
4 研究領域の広がり・重なり・ズレ
5 社会言語学の視点・態度
6 まとめとして――『言語生活』の視野の再検討を
第3章 日本の社会言語学におけるコミュニケーション研究
1 日本における社会言語学的研究
1.1 その流れ概観
1.2 日本の社会言語学における主たる関心事――コミュニケーション行動への視点の希薄性
1.3 日本の社会言語学的知見の特徴
1.4 日本の社会言語学の研究領域
2 日本の社会言語学について概観するための文献情報
第4章 社会を立ち現われさせることば――一つの言語観
1 対立するキャッチ・コピー
2 「ことば」か「社会」か
3 「ことば」も「社会」も
4 日本の社会言語学における「ことば」と「社会」
5 「ことば」と「社会」の相互関係
6 ことばの作り出す社会/社会を立ち現われさせることば
第Ⅱ部 言語行動を見つめる足場〈その2〉 言語生活研究という足場
第1章 言語生活――入り口案内
1 言語生活という視点
1.1 「言語生活」とは
1.2 言語への二つの視点
1.3 言語生活研究の流れ
2 日常の言語生活の概観
3 言語生活の諸側面
3.1 マス・コミュニケーションとパーソナル・コミュニケーション
3.2 言語生活の場所と言語行動
3.3 言語生活の定型性
3.4 言語行動と非言語行動
4 言語生活の広がり
4.1 外国人(日本語非母語話者)との接触場面の日常化
4.2 新しい形態の言語生活の増大
4.3 言語生活史研究の必要
第2章 言語生活研究の観点
1 はじめに
2 言語生活研究の観点
2.1 言語形式の観点
2.2 言語形式(Di どのように)以外の観点
2.2.1 Dg(どんな人が)の観点
3 その他の観点
3.1 I(いつ)の観点
3.2 Da(どのような)の観点
3.3 Dd(どこで),Dn(どんな人に)の観点
4 まとめ
第3章 職場での敬語
1 はじめに
2 敬語にまつわる悲しいトラブルも
3 ここで扱う調査の概要
4 回答者の構成・属性
5 敬語意識
6 敬語習得の機会
7 敬語使用とその意識
7.1 「お」の使用
7.2 「わかった」の表現
7.3 「行く」の表現
7.4 使い分けの段階と境界線
8 まとめ
第4章 コラム 定点経年調査(1)
鶴岡共通語化調査と岡崎敬語調査
第5章 コラム 定点経年調査(2)
動く社会の中で動く言葉を追いかける
第Ⅲ部 言語行動というコトの広がり
第1章 言語行動――入り口案内
1 言語行動のとらえ方
2 言語行動の種類や姿そのものへの視点
3 言語行動の構成要素への視点
3.1 場面と言語変種
3.2 人的要素と言語変種
3.3 その他の構成要素
4 具体的な言語行動の内的構造・動的構造への視点
第2章 言語行動というコトの研究
1 いま,眼前にあるいろいろ――日本の社会言語学の諸分野
1.1 属性論的言語変種運用論
1.2 言語生活研究
1.3 実体的社会内言語状況論
1.4 社会要素命名論
1.5 対人行動論的言語運用論
2 どんなことが多くわかってきていると考えるか?――知見の性格と制約
2.1 短い単位の言語形式(単音・音節・形態素・語)についての情報
2.2 〈実態〉と呼ばれる情報
2.3 実際に行われた言語生活・言語行動を〈あとたどり〉した情報
2.4 確率論的な数値のすがたでの情報
3 そうした情報を前にして――反省の発端
4 そこで――筆者なりの目標と研究例
4.1 待遇表現を言語行動としてとらえるための視点の考察
4.2 買い物場面での買い手と売り手の言語行動のやりとり
4.3 言語行動の生成に役立つような種類の情報とは
5 まとめとして
第3章 言語意識
1 言語意識の諸側面
2 評価・言語感覚としての意識
3 現状認識・志向としての意識
4 信念としての意識と規範への意識
5 複合的な言語意識――アイデンティティー
第4章 言語行動への視点
1 出来事としての「言語行動」
2 言語行動論の対象
3 言語行動の種類や姿への視点
4 言語行動の構成要素への視点
5 言語行動をとらえる際のさまざまな観点
第Ⅳ部 言語行動へのさまざまな視線
第1章 広がりへの視線――表現行動としての言語行動
1 表現行動の広がり
1.1 「表現行動」を成り立たせるもの
1.2 「表現行動」の多様性――構成要素から考える
2 言語行動と非言語行動
2.1 情報を伝えるものごと
2.2 話し言葉と書き言葉
2.3 副言語と非言語
3 敬語のこころとかたち
3.1 敬語のこころ
3.2 敬語のかたち
3.3 表現行動の構成要素への気配り
4 まとめ
第2章 地域性への視線(1)――地域社会と言語行動
1 言語についての意識と言語行動についての意識
2 言語行動の地域差についての意識
3 地域社会の都市化の程度と言語行動
4 〈言語行動〉の〈地域社会差〉を求めて
第3章 地域性への視線(2)――行動の中の方言
1 はじめに――谷崎潤一郎のみた関西人
2 言語行動研究の視点
3 言語行動についての情報源
4 言語行動についての意識調査
5 「行動」の中の方言――まとめにかえて
第4章 対照する視線(1)――言語行動の対照
1 言語行動という視点
2 言語行動への視点
3 言語表現の幅
4 相手の認知
5 発話内容
6 言語行動の有無・機会
7 まとめ
第5章 対照する視線(2)――ドイツ人と日本人の敬意行動
1 敬意表現への視点
2 言語行動様式の日・独対照研究から
3 言語形式による敬意表現
4 言語化するかどうかの敬意表現
5 何を言うかについての敬意表現
6 どんな調子で言うかについての敬意表現
7 まとめとして
第6章 日本語非母語話者への視線――もう一つの日本語教育を
1 一つの提案として
2 もう一つの日本語教育とは
3 たしかに間違った日本語だけれど
4 なぜ必要か
5 何が必要か
6 「おぞましき日本語」への積極策として
第Ⅴ部 言語行動の姿をとらえる
第1章 「あいさつ」への入り口――「無意味性」と「定型性」
1 あいさつへのとまどいから
2 あいさつの「無意味性」
3 あいさつの機能――人と人を結ぶ働き
4 あいさつの話題・内容の定型性
第2章 あいさつの言葉と身ぶり
1 はじめに
2 あいさつの定型性
3 あいさつをする場面
4 あいさつの言葉
5 あいさつの身振り
6 おわりに
第3章 「お礼」への入り口――お礼を言うか言わないか
1 「ありがとう」の意味・機能・定型性――観点の復習
2 お礼を言うか言わないか (1)韓国との違いの事例報告から
3 お礼を言うか言わないか (2)日独の対照研究のデータから
第4章 お礼に何を申しましょう?――お礼の言語行動についての定型表現
1 はじめに
2 視点としてのメタ言語行動表現
3 何について言及しているのか?
4 何を気にしてお礼をしているのか?
5 まとめにかえて――お礼について言及することがお礼を構成する
第5章 「同じ」店,「同じ」味,「同じ」ことば――郊外レストランのきまり文句
1 「同じ」店
2 「同じ」ことば
3 一回分の録音
4 三回分の録音を比べて
5 「同じ」ことばの周辺
6 「同じ」ことばの背景
7 「同じ」ことばの運用
第6章 ことばのあいづちと身ぶりのあいづち
1 はじめに
2 扱う資料
3 言語形式としてのあいづちの特微
4 身ぶりとしてのあいづちの現れ
4.1 記録した頭部の動きの頻度
4.2 身ぶりとしてのあいづちの頻度
4.3 あいづち的な行動の比率
4.4 話題を示す語の初出する発話とあいづちの関係
5 まとめ
第7章 言語行動における省略
1 手がかりとしてのメタ言語行動表現
2 「本来行動」と「選択行動」
3 言語行動の諸側面における省略
4 まとめにかえて
第Ⅵ部 言語行動としての待遇表現・敬意表現
第1章 何が敬語か?
1 はじめに
2 「何が敬語か」という視点
3 言語行動という視点
4 メタ言語行動表現という視点
第2章 待遇表現の広がり――事典項目の記述として
定義
待遇表現という術語の範囲
待遇表現の範囲
付節:待遇表現選択の過程
第3章 気配りの言語行動
1 待遇表現の範囲
2 待遇表現のしくみ――周囲への気配りということ
3 待遇表現の現れるところ
第4章 待遇表現としての言語行動――「注釈」という視点
1 はじめに
2 言語行動の成立要素
3 「言語行動についての注釈」という言語行動
4 人への配慮の表現としての「注釈」
5 「注釈」と待遇表現形式の類比性
6 「注釈」は待遇表現の現れるところを示す
7 言語行動の成立要素にまつわる待遇表現
8 おわりに
第5章 敬意表現の広がり――「悪いけど」と「言っていいかなあ」を手がかりに
1 はじめに
2 国語審議会答申の記述について
3 考える手がかり――答申の中の実例「悪いけど」から
4 「悪いけど」から「言っていいかなあ」へ――手がかりの展開
5 「言っていいかなあ」の構造と広がり
6 提案する敬意表現の広がり――その枠組みと内容
7 まとめに代えて
第6章 配慮の言語行動をどうとらえるか
1 はじめに
2 言語行動についての配慮――その広がりをとらえる観点
2.1 配慮をとらえる枠組み
2.2 〈留意事項〉 何を気にするか?
2.3 〈価値・目標〉 どのような言語行動に仕上げようとするか?
2.4 〈判断基準〉 何をよりどころにして配慮するか?
2.5 図式化すると
3 まとめ――配慮の言語行動の「見取り図」
3.1 配慮の言語行動の中の「敬語」「待遇表現」「敬意表現」
3.2 本報告書で扱われた言語行動の位置
第7章 敬意行動の中の敬語を――敬語教育の課題
1 敬語調査から
2 言語形式としての敬語
3 言語行動としての敬意表現
4 学校教育での敬意表現の位置付け
5 高校生の意識に支えられて
6 メカニズムの共通性を通じて
第Ⅶ部 言語行動についての言語行動
「メタ言語行動表現」という手がかり
第1章 インタビュー 「なぜメタ言語行動表現を?」
第2章 連載コラム メタ言語行動表現への視線
1 「言っちゃ悪いけど」の言語学を
2 「いつ話したらよいのか」の言語学を
3 「こんな所でなんですが」の言語学を
4 「なぜ言うのか」の言語学を
5 「手書きですみません」の言語学を
6 「ぶしつけながら前置き無しで」の言語学を
第3章 言語行動についてのきまりことば
1 はじめに
2 待遇表現上の気配りを表現する言語表現
3 待遇表現的な配慮以外の気配りを明示する言語表現
4 表現・伝達の過程とその内容の調整に配慮したメタ表現
4.1 表現・伝達の内容への配慮に由来するもの
4.2 表現・伝達の行為過程についての配慮に由来するもの
5 言語生活上の規範に配慮したメタ表現
6 まとめにかえて
第4章 メタ言語行動の視野――言語行動の「構え」を探る視点
1 言語調査の現場で
2 メタ言語行動の広がり
3 メタ言語行動は言語行動の「構え」を明示する
4 メタ言語行動探しの課題領域
第5章 メタ言語行動表現のメカニズム
1 小論の目標
2 「メタ言語行動表現」とは
2.1 定義
2.2 「メタ言語行動表現」の多様性
2.3 「メタ言語行動表現」への注目――先行研究から
3 「メタ言語行動表現」の働きをめぐって――これまでの筆者の検討
3.1 言語行動研究の手がかりとしての有効性
3.2 言語行動の対人的側面をめぐって
3.3 言語行動の内容・伝達的側面をめぐって
3.4 メタ言語行動表現それ自体の対人配慮性
4 メタ言語行動表現のメカニズム
4.1 メタ言語行動表現生成のメカニズム
4.2 そもそも言語行動の生成メカニズムを
どのようなモデルでとらえるか?
4.3 〈留意事項〉のとりたて,及びその明示の有無
4.4 〈留意〉の対象領域
4.5 実現すべき〈価値・基準〉についての主体の〈顧慮〉
5 〈留意事項〉〈価値・基準〉〈顧慮〉などの観察可能性について
6 今後の課題
第6章 言語行動を説明する言語表現と丁寧さ
1 対象とする言語表現類型
2 問題の所在
3 考察対象とする言語資料と考察の手順
4 メタ言語行動表現の出現状況
5 メタ言語行動表現の有無による表現全体の丁寧さの違い
6 まとめにかえて
附章 言語行動への視座――四つの研究領域に身を置いて
1 言語使用の学
2 研究活動の広がりとしての関連業務
3 付記:研究を広げて関連業務に当たる際の意識
採録した論文について
採録した論文の初出情報一覧
あとがき
参考文献一覧
索引