まえがき
序章 「境界」と「周縁」から読み解く社会とことば
三宅和子
1.本書の背景と目的
2.パラダイムの転換
3.「境界」と「周縁」を語ること
4.本書の構成と内容
[コラム 私の研究遍歴] 辿りついた道―周縁から見える「何か」 三宅和子
第Ⅰ部 「境界」の引き方
第1章 娯楽と社会運動の境界―「LGBT ブーム」と言語的レガシー―
クレア マリィ
1.商品としてのことば、ことばという商品
2.「ブーム」となる
3.終わりに
[コラム 私の研究遍歴]スキャンダラスな研究 クレア マリィ
第2章 バルカン・バベル―言語の境界と翻訳―
坪井睦子
1.はじめに―バルカン・バベル
2.言語行為としての翻訳
3.紛争と翻訳地帯
4.(ポスト)紛争地帯の言語と翻訳
5.おわりに
[コラム 私の研究遍歴]学問の「境界」を越えて 坪井睦子
第3章 多言語地域における言語シフトと危機言語を考える―フィリピンの事例から―
木本幸憲
1.はじめに
2.なぜ危機言語は問題であるか
3.アルタ語の言語シフト
4.アルタ語の言語シフトの特徴
5.広い文脈で危機言語の問題を捉え直す
6.結語
[コラム 私の研究遍歴]フィリピン先住民のリアリティとバイタリティを見つめる 木本幸憲
第4章 幼少期に中国と日本を往還した若者のアイデンティティ交渉―共通の傾向と年齢に応じた変化―
滕越
1.はじめに
2.先行研究―国を越えた移動とアイデンティティ
3.研究方法及び研究協力者
4.分析及び考察―3つの視点から見た若者たちのアイデンティティ交渉
5.おわりに
[コラム 私の研究遍歴]偶然と選択の境界 滕越
第II部 周縁性がもたらすもの
第5章 方言景観と方言みやげの社会史
井上史雄
1.言語景観と方言景観の理論
2.方言景観と歴史
3.方言景観と地理
4.方言景観と経済
5.結論―方言景観の進出と経済言語学
[コラム 私の研究遍歴]職業としての言語学 井上史雄
第6章 メディアが再生産する方言イメージ―ドラマと翻訳に描かれる東北方言―
熊谷滋子
1.はじめに
2.方言イメージ
3.NHK のドラマ作品
4.外国文学の新訳
5.2000 年代も再生産される東北方言イメージ
[コラム 私の研究遍歴]流れ流されどこへ行く 熊谷滋子
第7章 播州ことばを起点に世界の周縁言語話者と考える言語多様性継承―それでも話し続けることの言語社会学的対照―
寺尾智史
1.はじめに
2.「ロマンス語言語学」と「日本語方言学」との間
3.ことばを軸に播州と北イタリアを対照してみる
4.プサンマルとファラ/バブレ/ファブラから考える、「~弁」、「~口」の復権
5.個別言語、そしてパロールの復権はかなうか
[コラム 私の研究遍歴]古い境界/新しい境界がつくる辺境と、ことば・コミュニケーションとの相関を追いかけて 寺尾智史
第8章 琉球諸語の再生のために―世代を超えて繋がる力―
新垣友子
1.はじめに
2.言語継承と復元的レジリエンス
3.琉球諸語の危機度の分類
4.大学での取り組み―うちなーぐち講座
5.未来を創造する自覚
[コラム 私の研究遍歴]家庭で再生する母語 新垣友子
第III部 「研究」の捉え直しと越境
第9章 「トランス」の向こう側に―「言語化された世界」の内実―
尾辻恵美
1.「言語化された(languagised) 世界
2.「言語化された 世界」の内実
3.言語イデオロギー・アセンブレッジ
4.「トランス」の向こう側に
[コラム 私の研究遍歴]言葉と文化の考古学 尾辻恵美
第10章 研究・教育の越境をめざした本書の学び方
新井保裕
1.本稿のねらい
2.研究・教育の越境例―筆者の場合
3.教養科目での使用案
4.専門科目での使用案
5.おわりに
[コラム 私の研究遍歴]周縁にいたことや越境したことが一番の近道?! 新井保裕
あとがき
執筆者紹介