序章 本書の目的と方法
1 背景と動機
2 先行研究概観と問題の所在
2.1 敬語研究史概観 謙譲語を中心に
2.2 文法現象としての把握 松下(1923)・山田(1924)の場合
2.3 関係規定としての把握 時枝(1941)の場合
2.4 敬語的人称の設定・素材敬語と対者敬語の二大別 石坂(1944)・辻村(1963)の場合
2.5 運用面も重視した謙譲語の把握 渡辺(1971)・大石(1976)の場合
2.6 現代の謙譲語の扱い 菊地(1994)、蒲谷等(1998)の場合
2.7 ポライトネス理論上の謙譲語の扱い
3 先行研究からうかがえるもの
3.1 敬語像の変遷と「謙譲語」という名称
3.2 敬語の「正しさ」とそこに見られる意識
3.3 謙譲語の扱いの難しさ
4 本書の目的と方向性
5 本書における方法と展開
I 近・現代における謙譲語の成立と展開
第1章 現代の謙譲語の成立条件 「お/ご~する」を例に
1 はじめに
2 「お/ご~する」成立に関する先行研究
3 検討方法
3.1 用いる資料とその性格
3.2 検討方法の実際
4 「お/ご~する」成立の条件
4.1 動詞の分類とタイプ
4.2 A群
4.2.1 動詞の語彙的意味と表現としての成立・不成立について
4.2.2 格表示による働きかけの違いと表現としての自然さ
4.3 B群
4.4 C群
4.5 不成立のもの
5 考察とまとめ
6 「お/ご~する」と「お/ご~申し上げる」との比較
第2章 近・現代の謙譲語の成立と展開1 先行研究と明治・大正期の使用例から
1 はじめに
2 先行研究から
3 資料と方法
4 明治・大正期の文学作品にみる使用例
4.1 二葉亭四迷の場合 『浮雲』『其面影』を中心に
4.2 夏目漱石の場合 主要作品を中心に
4.3 その他の作家の場合
5 「お/ご~申す」の位置づけについて
5.1 従来の位置づけと疑問
5.2 再考の必要性
第3章 近・現代の謙譲語の成立と展開2 「お/ご~申す」と「お/ご~する」を中心に
1 はじめに
2 先行研究と問題の所在
3 「お/ご~申す」と「お/ご~する」の使用状況・形式内に入る語
4 「お/ご~申す」と成立期・現代の「お/ご~する」との違い
5 考察とまとめ
第4章 近・現代の謙譲語の成立と展開3 「お/ご~する」への移行と「させていただく」
1 はじめに
2 問題の所在と本章の構成
3 「お/ご~申す」と「お/ご~する」の相違と受影性配慮
4 「お/ご~する」における表現形の拡張
5 「させていただく」の成立と展開
5.1 先行研究
5.2 「させていただく」の成立と展開
6 まとめ
第5章 近・現代の謙譲語の成立と展開4 「お/ご~申す」と「お/ご~いたす」
1 はじめに
2 先行研究と両形式の位置づけ
3 江戸末期の「お/ご~いたす」と「お/ご~申す」
4 「お/ご~いたす」と「お/ご~申す」の相違と丁寧語共起
5 考察とまとめ
第6章 近・現代の謙譲語の成立と展開5 形式の消長と受影性配慮
1 はじめに
2 従来の四形式の扱い
3 「お/ご~申し上げる」と「お/ご~申す」
4 四形式の使用状況と使用比率
5 四形式の相違点の整理
6 考察
6.1 近代以降の社会状況と敬語システムの変更
6.2 受影性配慮と謙譲語形の消長・発達との関連性
第7章 近・現代の謙譲語の成立と展開6 「差し上げる」「てさしあげる」を中心に
1 はじめに
2 先行研究とその再検討
3 現代と明治・大正期の「差し上げる(てさしあげる)」
4 まとめ
第8章 近・現代の謙譲語の対象配慮の諸相 受身形と使役形を中心に
1 はじめに
2 六形式と受影性配慮の諸相
3 敬意対象配慮と尊敬語「お~になる」
4 おわりに
第9章 謙譲語形式における参与者間の関係性について
1 はじめに
2 研究史にみる謙譲語における参与者の関係性
3 謙譲語における参与者をめぐる問題
4 まとめ
第10章 近・現代の謙譲語の成立と展開7 「ていただく」を中心に
1 はじめに
2 「ていただく」に関する先行研究と成立期の用法
3 「ていただく」における用法・機能拡張
4 「(さ)せていただく」の用法・機能拡張との関係性
5 おわりに
II 謙譲語使用に関する意識と今後の変化
第11章 謙譲語と関連表現にみる「話者認知」という視点
1 はじめに
2 従来の方法の問題点と新たな観点の有効性
2.1 従来の研究の観点と問題点
2.2 新しい観点による研究の有効性
3 調査の概要と被調査者の特性
3.1 調査の概要
3.2 調査地とその特性
3.3 調査方法の実際
4 敬語の今後の変化傾向について
第12章 謙譲語における話し手の判断の多様性
1 はじめに
2 先行研究
3 調査
3.1 調査方法等
3.2 調査対象者の特性
4 「お/ご~する」「お/ご~される」形に関する認知判断と尊敬語転用
4.1 「お/ご~する」の認知判断と尊敬語転用
4.2 「お/ご~される」の認知判断と尊敬語転用
4.3 認知判断に関するその他の要因
5 まとめ
第13章 受益表現と敬意をめぐる問題
1 はじめに
2 先行研究
3 授受補助動詞における受益と恩恵
3.1 「てくれる」文における受益と恩恵
3.2 「てもらう」文における受益と恩恵
4 受益と恩恵に関する新しい視点の有効性
5 依頼表現にみる「てくれる」文と「てもらう」文
6 「てくれる」文と「てもらう」文の丁寧度の違い
7 敬語における上下意識と丁寧度
8 両形式の丁寧度の違いの発生要因
9 おわりに
第14章 謙譲語に関する自然度判断とその要因
1 はじめに
2 主な先行研究
3 調査方法の実際
4 結果と分析
5 考察
6 おわりに
終章 今後の研究の方向性と課題
あとがき
参考文献等一覧
初出一覧
索引