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ひつじ研究叢書(言語編) 第199巻

日本語助詞「を」の研究

著:佐伯 暁子

紙版

内容紹介

本書は、古代語と現代語の両面から、助詞「を」の体系化を目指したものである。まず、現代語の格助詞「を」の個別用法とそれら各用法のつながり、古代語と現代語の二重ヲ格について実証的に考察する。そして、現代語に残存する接続助詞「を」を取り上げ、その歴史の解明を通して、接続助詞的な「を」との関わりへと展開する。文法変化も視野に入れることで、格助詞「を」・接続助詞的な「を」・接続助詞「を」の連続性を論証する。

目次

まえがき

Ⅰ 格助詞「を」
第1章 平安時代から江戸時代における二重ヲ格
1. はじめに
2. 先行研究
3. 調査資料と考察対象
3.1 調査資料
3.2 考察対象
4. 調査結果
5. 二重ヲ格の用法
5.1 ① -1「対格―対格」の二重ヲ格(同じ意味役割)
5.2 ① -2「対格―対格」の二重ヲ格(異なる意味役割)
5.3 ②「移動格―移動格」の二重ヲ格
5.4 ③「対格―移動格」の二重ヲ格
5.5 本節のまとめ
6. 二重ヲ格と「~ノ~ヲ」文
7. まとめ

第2章 現代語における二重ヲ格
1. はじめに
2. 先行研究
3. 非文法的な二重ヲ格
3.1 「対格―対格」の二重ヲ格
3.2 「対格―移動格」の二重ヲ格
3.3 「対格(被使役主)―対格」の二重ヲ格
3.4 「対格(被使役主)―移動格」の二重ヲ格
4. 許容される二重ヲ格
5. 助詞の置き替えによる二重ヲ格の回避
6. まとめ

第3章 現代語における状況を表す「~(の)中を」「~(の)中φ」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 「~(の)中を」と「~(の)中φ」の用法
3.1 共起する動詞
3.2 前件と後件の関係
3.3 視点の違いから見た前件と後件の関係
4. 「~(の)中を」と「~(の)中φ」の使用実態
4.1 媒体(書きことば/話しことば)
4.2 場面(公的/私的)
5. まとめ

第4章 現代語における状況を表す「~(の)下を」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 「~(の)下を」の特徴
4. 「~(の)下を」とヲ格の位置づけ
5. まとめ

第5章 現代語における状況補語 「~(の)中を」「~(の)下を」「~(の)ところを」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 状況補語の条件
3.1 状況補語の特徴の観察
3.2 状況補語とは
4. 「~(の)中を」「~(の)下を」「~(の)ところを」の違い
5. まとめ

第6章 現代語における時間を表すヲ格
1. はじめに
2. 先行研究
3. 時間を表すヲ格と共起する動詞
4. 時間を表すヲ格の位置づけ
5. 時間を表すヲ格名詞句は必須補語か副次補語か
5.1 ①通過点・経路を表す移動動詞
5.2 ②時間的経過を表す動詞
5.3 ③完了を表す動詞
5.4 ④継続を表す動詞
5.5 ⑤その他
5.6 時間を表すヲ格と対象、経由点を表すヲ格
6. まとめ

第7章 現代語における経由点・状況・時間を表すヲ格
1. はじめに
2. 先行研究
3. 時間を表すヲ格
3.1 時間を表すヲ格の特徴
3.2 時点と期間
4. 経由点・状況・時間(期間)を表すヲ格の関係
4.1 経由点を表すヲ格について
4.2 状況を表すヲ格について
4.3 経由点・状況・時間(期間)を表すヲ格の三者比較
5. まとめ

Ⅱ 接続助詞「を」と接続助詞的な「を」
第8章 現代語における接続助詞用法の「~ところを」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 状況補語とは
4. 「~ところを」と状況補語
5. 「~ところを」と「を」の位置づけ
6. まとめ

第9章 現代語における接続助詞用法の「~べきを」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 「~べきを」の用法
4. 「~べきを」の「を」の位置づけ
5. 接続助詞「を」と接続助詞的な「を」の関係
6. まとめ

第10章 接続助詞用法の「~べきを」の推移 古代語から現代語へ
1. はじめに
2. 先行研究
3. 中古から近世における「~べきを」
4. 「「べし」+逆接を表す接続助詞」形式から見た「~べきを」
5. 「~べきを」と「~ところを」
6. まとめ

第11章 現代語における接続助詞用法の「~ものを」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 「~ものを」と「~ところを」の関係
4. 「~ものを」と「~もの」の関係
5. 「~ものを」と「を」の位置づけ
6. まとめ

第12章  平安時代から江戸時代における接続助詞用法の「~ものを」
1. はじめに
2. 先行研究
3. 「~ものを」の推移
3.1 中古
3.2 中世前期
3.3 中世後期
3.4 近世前期
3.5 近世後期
3.6 推移のまとめ
4. 「~べきを」「~ところを」と「~ものを」の関係
5. まとめ

参考文献
辞書類
調査資料
あとがき
索引

著者略歴

著:佐伯 暁子
佐伯暁子(さいき きょうこ)
〈略歴〉1976 年、愛媛県生まれ。岡山大学大学院文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。大阪成蹊短期大学講師・准教授、甲南大学准教授を経て、現在、同教授。
〈主な論文〉「接続助詞用法の「~べきを」の推移─古代語から現代語へ─」『日本語の研究』18 巻2 号(2022 年)、「現代語における状況を表す「~(の)下を」について」『日本語文法』21巻1 号(2021 年)、「平安時代から江戸時代における二重ヲ格について」『国語と国文学』86 巻4 号(2009 年)など。

ISBN:9784823412011
出版社:ひつじ書房
判型:A5
ページ数:240ページ
定価:6200円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年03月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CJBG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:CFK
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:CBG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 4:2GJ