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サイエンスコミュニケーションとアートを融合する

編:奥本 素子

紙版

内容紹介

先端的な科学技術が社会に実装される際に、その間をつなぐものがサイエンスコミュニケーションである。そこにアートを取り入れたとき、どのようなコミュニケーションが生まれるのか。本書ではアートとサイエンスコミュニケーションの交差の歴史を紹介しながら、アートを活用した活動のデザインについても触れていく。執筆者:奥本素子、仲居怜美、朴炫貞、室井宏仁

目次

序章 奥本素子
 はじめに
 サイエンスコミュニケーションの機能
 議論の前提と展開について
 
1 サイエンスコミュニケーションにおけるアート 奥本素子
1.1 サイエンスコミュニケーションとは何か?
 社会に埋め込まれている科学技術
 サイエンスコミュニケーションの本格化
 知識を超えるサイエンスコミュニケーション
 サイエンスコミュニケーションの現代的展開
1.2 アートを用いたサイエンスコミュニケーションの拡張
 社会における科学とアートの捉え方
 自律と依存のパラドックス
 参加者の拡張
 内容の拡張
 主体性の拡張
Column 伝統芸能と科学:タルチュム 朴炫貞

2 科学技術とアートとの接点 奥本素子
2.1 科学技術とアート
 3つの動機
 研究開発を動機とした科学技術とアートの接近
 アートにとっての科学技術
 サイエンスコミュニケーションを動機としたアートとのコラボレーション
2.2 科学をアートで伝える試みを評価する―Resonance
 アートを通して何が伝わる?
 アートのコミュニケーション機能を検証する
 実験1 アートがもたらす印象
 実験2 アートの伝達効果の検証
 実験によって検証する取り組みとその限界
Column テオ・ヤンセンプロジェクト 朴炫貞

3 バイオテクノロジーとアート 室井宏仁
3.1 バイオ・アートとは
バイオテクノロジーの歴史
DNAを「読む」―DNAシーケンシング
細胞培養の研究史
バイオテクノロジーを利用したアートの誕生
3.2 DIY バイオとバイオ・アート
バイオテクノロジーを「ハック」する
ロブ・カールソンと「ガレージ生物学」の勃興
オープン・バイオラボとアーティスト
現在のバイオ・アート最前線
3.3 バイオ・アートと社会システム
バイオテクノロジーをめぐる法律―カルタヘナ議定書以前まで
新たな問題―生命を「創ること」
「カーツ事件」とその前日譚「Gene(sis)」展
バイオアーティストを育てる試み
Column バイオ・テクノロジーに触れる3日間から:YCAM InterLab Camp vol.3 Personal biotechnology 朴炫貞

4 社会に埋め込まれたアート 奥本素子・仲居玲美
4.1 アートから考える社会的課題への取り組み
 ソーシャリー・エンゲイジド・アートとは
 アートが向き合う社会課題
 何をもって参加というのか、という議論
 参加のきっかけをどう生み出すのか
4.2 地域の中でのアートの役割
 アートプロジェクトとは、芸術祭とは
 都市型芸術祭と地方型芸術祭
 芸術祭に関わる人
 芸術祭の構造的な問題と持続可能な取り組み
 地域×アートから見る、地域×科学に対する示唆
4.3 アートの空間における科学的対話―差の湯の会が明らかにしたもの
 アート空間で引き出される双方向の対話
 茶室空間でのサイエンスコミュニケーション
 差室でのコミュニケーションの分析
 アートの空間はどのように市民の発話を引き出したのか
 市民の見方が変わる瞬間
 サイエンスコミュニケーションの対話におけるアート空間の意義とは
Column 地域をつなげる、世界を育てる:ドキュメンタ(documenta)15から見る現代アートと連帯 朴炫貞

5 アートをサイエンスコミュニケーション教育につなげる 奥本素子
5.1 STEAM:アートを用いた理系教育
 STEAM 教育とは
 アーティストの思考プロセスを活用したSTEAM 教育
 アーティストと研究者が実施したSTEAM 教育の実践
5.2 サイエンスコミュニケーター養成講座におけるアートの導入
 可視化を学ぶ
 展示を通した学び
 作品批評を通した学び
Column あいちトリエンナーレ2019の作品批評① それは革命か? 分断か?:バイオテクノロジーの民主化がもたらすもの 室井宏仁
Column あいちトリエンナーレ2019の作品批評② しなやかに問いかける 仲居玲美

6 これからのサイエンスコミュニケーションとアート 奥本素子
6.1 変革期における
 サイエンスコミュニケーション
 科学と社会の大きな変化
 フォーラムとしての展示
 ライフスタイルの変化を支援するデザイン
6.2 コミュニケーションを終わらせない
 問いとしてのアート
 未来のためのアート
 これからの共創
 終わらないコミュニケーション、解決しない対話
Column 科学技術コミュニケーション教育で紹介した作家リスト 朴炫貞 


結び:道具的な関係を超えるために 奥本素子
謝辞 奥本素子
参考文献
索引
執筆者紹介

著者略歴

編:奥本 素子
奥本素子(おくもと もとこ)
北海道大学科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)准教授。博物館や科学技術コミュニケーションをテーマに、日常の中から学ぶインフォーマルラーニングを研究している。
主な著書に『まだ見ぬ科学のための科学技術コミュニケーション』(共同文化社2022、共著)、『おしゃべり科学』(カンゼン2014)などがある。

ISBN:9784823411755
出版社:ひつじ書房
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年03月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PD