まえがき
引用凡例
序章 上田万年の学問的評価
第1章 上田万年の生い立ち
1.1 講演で語られた上田の生い立ち
1.2 帝国大学文科大学博言学科誕生
1.3 チェンバレンの授業 岡倉の回想
1.4 チェンバレンの授業 上田の回想
第2章 上田の留学前の講演や文章を検証する
2.1 上田の留学前の文章一覧
2.2 上田の留学前の文章(1)「博言学」
2.3 上田の留学前の文章(2)「親もじの履歴」
2.4 上田の留学前の文章(3)「言語上の変化を論じて国語教授の事に及ぶ」
2.5 上田の留学前の文章(4) その他の論文
第3章 上田万年講義ノートを検証する その1 序文
第4章 上田万年講義ノートを検証する その2 ガーベレンツからの影響
4.1 索引を使って検証する
4.1.1 索引から:ガーベレンツの名前が登場する箇所
4.1.2 個別言語・言語史、語族・言語能力への理解
4.1.3 ガーベレンツの中国語研究への理解
4.1.4 分析的体系と総合的体系への理解
4.1.5 ガーベレンツのバスク語研究への理解
4.1.6 索引からみた上田のガーベレンツ理解
4.2 講義ノート「第二篇 個別言語研究」を検証する
4.2.1 国語、方言、および下位方言への理解
4.2.2 Sprachkenntniß 言語知識への理解
4.2.3 言語習得と国語教授法
4.2.4 個別言語の叙述と文典製作
4.2.5 上田のテーマは語学教授法、ガーベレンツのテーマは個別言語の記述
4.3 講義ノート「第三篇 言語史」を検証する
4.3.1 上田の4 条件、ガーベレンツの4 証拠
4.3.1.1 「a. 地理的契機」
4.3.1.2 「b. 人類学的契機」
4.3.1.3 「c. 民俗学的・文化史的契機」
4.3.1.4 「d. 言語的契機」
4.3.1.4.1 「aa. 音韻組織における類似性」
4.3.1.4.2 「bb. 言語構造における類似性」
4.3.1.4.3 「cc. 内的言語形式における一致」
4.3.1.4.4 「dd. 単語と構成要素における一致」
第5章 上田万年講義ノートを検証する その3 上田は何に依拠したのか
5.1 「総論Ⅰ Introduction」を検証する
5.1.1 言語学という名称
5.1.2 言語学の定義
5.1.2.1 マックス・ミュラーとホイットニーの論争
5.1.2.2 無意識の法則
5.1.3 言語学の目的・言語の分類
5.1.3.1 フリードリッヒ・ミュラーからの引用
5.1.3.2 ホイットニーからの引用
5.1.3.3 比較方法と史的方法
5.2 「総論Ⅱ 言語学の歴史」を検証する
5.2.1 セイス(Sayce 1880)からの引用
5.2.2 ベンファイ(Benfey 1869)からの引用
5.2.3 ウィリアム・ジョーンズ
5.2.4 上田独自の分析
5.2.5 上田の言語学知識
5.2.6 斉木・鷲尾『日本文法の系譜学:国語学史と言語学史の接点』
5.3 「第一篇 一般言語学(Allgemeine Sprachwissenschaft)」を検証する
5.3.1 上田の目指す東洋言語学
5.3.2 マックス・ミュラー「アーリヤ学説」
5.3.3 言語学的古生物学
5.3.4 言語学と他学科の関係:教育への関心
5.3.5 言語の種類
5.3.5.1 フリードリッヒ・ミュラーからの引用
5.3.6 言語の分布
5.3.6.1 ホイットニーからの引用
5.3.7 日本語の位置
5.3.8 上田がみる音声学
5.3.9 音声学:ジーフェルスからの引用
5.3.10 意味変化:ダルメステテールからの引用
5.4 「第二篇 個別言語(Einzelne Sprache)」を検証する
5.4.1 ドイツの言語教授法
5.4.2 国語教授法
5.5 「第三篇 言語史(Sprachgeschichte)」を検証する
5.5.1 上田の日本語系統論
5.5.2 上田の社会言語学的視点
5.5.3 「ANALOGY」(類推):ウィーラーからの引用
5.5.3.1 工藤力男「語源俗解考」
5.5.4 「国語の混合」:ヘルマン・パウルからの引用
5.6 「第二年」を検証する
5.6.1 言語の起源に就きて:ギースヴァインからの引用
5.6.2 「Methodology」(方法論):ヘルマン・パウルからの引用
5.6.3 「Phonetik」(音声学):ジーフェルスからの引用
5.6.4 音声学の歴史:ルンデル論文からの引用
5.6.5 上田による独自の解釈:音声学を学ぶことの「利益」
5.7 まとめ
第6章 ガーベレンツをめぐって
6.1 上田万年とガーベレンツの関係
6.2 ガーベレンツとチェンバレンの交流
6.3 ガーベレンツの日本語の知識
6.4 ガーベレンツと井上哲次郎の交流
6.5 ガーベレンツの言語学史的評価 コセリウと田中克彦
6.5.1 ガーベレンツの言語学史的評価:ケルナー
6.5.2 田中克彦への私見
6.6 ガーベレンツ賞
第7章 「P音考」考
7.1 「P音考」はなぜ評価されてきたのか
7.2 「語学創見」創見
第8章 上田万年の評判 学問環境の整備・政治的手腕・人間性
8.1 学問的環境の整備
8.1.1 授業カリキュラム改革
8.2 優秀なる門下生 博言学科の卒業生
8.3 一般書に描かれた上田万年 政治的手腕
8.3.1 『学界文壇時代之新人』(1908)における上田評
8.3.2 『東京名古屋現代人物誌』(1916)における上田評
8.3.3 『人物評論学界の賢人愚人』(1913)における上田評
8.4 上田の新体詩
8.5 上田万年の評判
8.5.1 娘・円地文子からみた父・上田万年
8.5.2 弟子たちからみた上田万年:保科孝一
8.5.3 弟子たちがみた上田:上田の講義
8.5.4 上田万年追悼号に書かれた弟子たちの上田評
終章 上田万年像を検証する
補論 「 国語という思想」という「おはなし」 イ・ヨンスク著『「国語」という思想』をよんで
1. はじめに
2. 「おはなし」
3. 「おはなし」と実証
4. これはまたべつの「おはなし」
5. おわりに
参考文献
付録 上田万年講義ノートの参考書
あとがき
索引