まえがき
第1章 定型表現と認知のかかわり
1.1 本書の目的
1.2 本書の立場
1.2.1 コーパスをはじめとする言語資料を利用した分析
1.3 本書の位置づけと流れ
1.3.1 本書の位置づけ
1.4 本書の流れ
1.5 社会・認知的アプローチの重要性
1.5.1 慣習的・全体的理解と分析的理解
1.5.2 定型表現の記憶への依存性
1.5.3 共有された知としての定型表現
第2章 言語学における定型表現の流れ
2.1 アプローチの批判的検討
2.1.1 意味的な観点からの分析と課題
2.1.2 定型表現の定義に関わる問題点
2.2 拡張用法に焦点を当てた研究の意義
2.3 まとめ
第3章 慣用句の意味的なゆらぎ 修飾関係と文脈の観点から
3.1 慣用表現の意味的な変容
3.2 修飾要素の付加と挿入による慣用表現の意味分析
3.3 日本語慣用表現における身体部位詞の比喩的拡張
3.3.1 分析可能の高い慣用表現と低い慣用表現
3.3.2 慣用表現にもちいられる身体部位詞とその意味について
3.4 慣用表現の意味構造のゆらぎ
3.4.1 身体部位詞の意味拡張のゆらぎ
3.5 まとめ
第4章 慣用句とことわざの形態的・意味的傾向
4.1 定型表現の下位カテゴリーの相対性
4.1.1 定型表現の下位カテゴリーの分類
4.1.2 辞書記述からみる定型表現の実態
4.2 形式的・意味的局所性と拡張
4.2.1 定型表現の形式的・意味的局所性
4.2.2 通時的な拡張と定着の可能性
4.2.3 先取り現象と再分析による構文的機能の創発の可能性
4.2.4 定型表現のパラディグマティックな関係と意味構造
4.3 まとめ
第5章 定型表現の拡張用法
「決まった言い回し」は決まったままか?
5.1 定型表現の創造的拡張と認知能力
5.2 定型表現の談話的機能
5.3 定型を基盤とした拡張用法の修辞的機能
5.3.1 定型表現の拡張用法理解の認知的条件
5.4 コーパスからの拡張用法の収集と分析
5.4.1 分析対象
5.4.2 分析手法
5.4.3 分析結果
5.5 より大規模な英語コーパスを利用した分析Do Androids Dream of Electric Sheep?を例に
5.5.1 コーパスおよび収集方法
5.5.2 結果
5.5.3 拡張用法に利用されるパターンの検討
5.6 考察
5.6.1 元表現の喚起と言語知識の慣習性
5.6.2 定型表現の逸脱と保持の均衡状態
5.6.3 定型表現の談話的機能の再考
5.7 まとめ
第6章 コミュニケーションと記憶
6.1 個人、社会、そして両者の関係からみる定型表現の拡張
6.1.1 個人がもつ定型表現の意味構造とその変化
6.1.2 公共的な定型表現の知識の変容
6.1.3 創造的言語使用の基盤としての定型表現
6.2 個人と言語コミュニティの相互連関
第7章 おわりに 定型表現研究の精緻化に向けて
7.1 展望
7.1.1 他の言語現象とのかかわり 構文の抽出と認定
7.1.2 関連分野への応用可能性 第二言語学習者による定型表現の拡張用法
7.2 課題
7.2.1 通時的な定型表現の拡張の可能性
7.2.2 定型表現の拡張の意図性
7.2.3 より目の細かいスキーマ化の必要性
参考文献
索引