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女子高生と学ぶ稲盛哲学

豊かな社会と人生の方程式

著:高 巖

紙版

内容紹介

 この書籍の舞台は、女子高校。著者の高巖氏が稲盛哲学の授業を進め、
女子高生が学んでいくスタイルを取っている。

 なぜ稲盛哲学と女子高生なのか。それは著者の2つの経験が基になっている。

 1つは、2014年3月までの7年間「京都大学京セラ経営哲学寄附講座」の客員教授を務め、
稲盛和夫氏の思想に肌で触れたことだ。もう1つは、都内のある女子高で数年にわたり
「経済、社会、経営、哲学」に関する特別授業を行い、女子高生たちとのやりとりを通じて
彼女たちの感性を感じ取った経験だ。

 現代を支える自由至上主義や社会自由主義といった社会哲学が限界を迎えるなかで、
稲盛哲学はそれらを超える「第三の社会哲学」といえる。ビジネスマンだけでなく、
これから社会をつくっていく高校生や大学生にも稲盛哲学の意義と実践の必要性を
理解してもらいたい――。そんな著者の思いがこの1冊に結実している。

目次

はじめに
 稲盛和夫氏は何をやった人か
 私たちの発想の背景にある二つの社会哲学
 本書に出てくる高校生との対話

【第一章】 社会哲学としての功利主義
 一、仕事の結果に関する方程式とは
 二、社会哲学が扱うテーマとは
 三、中世の終わりと議論の始まり
 四、功利主義の登場
 五、功利主義の落とし穴

【第二章】 自由至上主義が功利主義の限界を克服する
 一、自由至上主義はどう説明したか
 二、自由放任思想とは異なる自由至上主義
 三、自由至上主義を表す方程式は
 四、自由な意思に基づく取引なのか
 五、結果だけで人を評価する社会になる

【第三章】 ケインズが理想とする社会
 一、社会自由主義を表す方程式は
 二、ケインズの基本的な問い
 三、国家経済の循環とは
 四、公共事業が引き起こす相乗効果
 五、経済の行方を握るのは消費性向
 六、日本社会の問題で考えてみる
 七、どのように所得の移転は進むのか

【第四章】 ロールズが理想とする社会
 一、ロールズの基本的な問い
 二、逆転の発想で正義の原理を導き出す
 三、自由均等の原理とは
 四、格差原理とは
 五、ある村における「配分的正義」は
 六、機会均等の原理とは
 七、才能や資質と「偶然」
 八、社会自由主義に対する違和感
 九、社会自由主義が抱える落し穴とは

【第五章】 現代社会が抱える問題とは
 一、二つの社会哲学に共通するもの
 二、三つの理論的前提とは
 三、アリストテレス哲学と共同体主義の台頭
 四、現代社会はどのような問題を抱えているか
 五、日本社会はどうなっているか

【第六章】 稲盛哲学における「自由」とは
 一、「関係の中にある人」を意識する
 二、関係を通じて責任や役割を自覚する
 三、関係の中にある人とは、日常に根ざしたもの
 四、関係を意識すると、何が見えてくるか
 五、人と人との関係を大切にする
 六、欲望の鎖から自らを解放する
 七、自由な意思の実践とは
 八、人間の関係は自身の心の反映

【第七章】 稲盛哲学における「考え方」とは
 一、よき考え方とはどういうことか
 二、伝統的社会哲学が批判の的とするもの
 三、仕事の結果に関する方程式はどこでも通用するか
 四、社会の実態と「望ましい社会のあり方」は異なる
 五、望ましい社会が優勢となる理由

【第八章】 稲盛哲学における「正義」とは
 一、稲盛哲学とロールズ正義論はどこが違うのか
 二、無知のヴェールの背後にある高校生たち
 三、高校生はどのような正義の原理を導き出すか
 四、積極的行為に関する原理はどうなるか
 五、消極的行為に関する原理はどうなるか

【第九章】 稲盛哲学における「豊かさ」とは
 一、仕事の結果と人生の結果は同じか
 二、社会を豊かにする二つの根拠とは
 三、偶然による撹乱と持続可能な豊かさ
 四、偶然をどう受けとめるか
 五、稲盛氏の人生は何を示唆しているか
 六、稲盛氏はどのような人生を歩んできたのか

結びにかえて

ISBN:9784822279417
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:280ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB