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そうじ資本主義

日本企業の倫理とトイレ掃除の精神

著:大森 信

紙版

内容紹介

「凡事徹底」忘れるなかれ――。
本田宗一郎は昭和28年、ホンダ社内報の創刊号で「働らく者の徳義心」と題して掃除や整理整頓の大切さを説き、松下幸之助は大正12年、正月を前にして工場のトイレを自分で掃除した。名経営者はなぜ掃除にこだわったのか?
20世紀初頭、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、禁欲的なキリスト教徒たちが近代資本主義の発達を支えたことを解き明かした。同時にウェーバーは、儒教の国では近代資本主義を発達させる原動力が働かないと指摘した。
しかし日本は、欧米とは違う「精神」を支えとして、資本主義を発達させてきた。その「精神」は、トイレ掃除の中に隠れているのである。

目次

序 文(加護野忠男・甲南大学特別客員教授) マックス・ウェーバーも予想しなかった「そうじ資本主義」の発達
はじめに 「タイム・イズ・マネー」と「掃除・イズ・マネー」
第1部 日本企業の倫理
第1章 「時は金なり」の本当の意味 『プロ倫』が現代人に教えること
第2章 「遅刻」と「おしゃべり」 日本人は本当に勤勉なのか?
第3章 「まねる」と「禁止」 伝統的コミュニティ内のしつけ法
第4章 掃除・イズ・マネー 日本における「科学的管理法」の導入
第5章 5Sの進化 本田宗一郎はなぜ掃除にこだわったのか?
第6章 ディズニーランドの掃除 日本の掃除と何が違うのか?
第7章 目的志向と手段志向 ピカピカに磨き上げる意味は何か?
対談(鍵山秀三郎・イエローハット創業者、塚越寛・伊那食品工業会長) 「凡事徹底」 掃除と企業経営
第2部 トイレ掃除の精神
第8章 「やらない理由」は聞きません 松下幸之助が自分でトイレを掃除した理由
第9章 「自力」から「他力」へ 従業員たちに宿る心
第10章 ウェーバーの警鐘 トヨタが掃除をやめたらトヨタでいられるのか?

著者略歴

著:大森 信
日本大学経済学部教授。2001年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(経営学)。城西国際大学経営情報学部ならびに福祉総合学部専任講師、東京国際大学商学部助教授を経て、現職。著書に『トイレ掃除の経営学』(白桃書房)、『毎日の掃除で、会社はみるみる強くなる』(日本実業出版社)などがある。大阪商工会議所「掃除でおもてなし研究会」座長。同会主催のセミナーは、大阪商工会議所始まって以来の最大参加者900人を集めた(2013年)。

ISBN:9784822251017
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2015年08月
発売日:2015年08月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ