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経済ニュースの「なぜ?」を読み解く11の転換点

教養としてのバブル熱狂と閉塞感の裏側

著:田村 賢司

紙版

内容紹介

今の日本経済を正しく理解するために
過去の「転換点」を深く知る――
「日経ビジネス」の人気連載、待望の書籍化!

バブル経済、デフレ、人口減少・・・。
ビジネスの現場でよく使われるわりには深く知らない経済のキーワード。
学校で体系的に教わらない知識の盲点です。

教養として知らないと恥ずかしいだけではありません。
過去への理解が浅ければ、現状認識を誤り、仕事の成否に関わります。
本書では、そんな11のキーワードを歴史の転換点を探りつつ整理します。

【本書の特長】
(1)「テーマ別年表」
 11のキーワードすべてにテーマ別年表を用意。重点的に知りたい分野の流れを追うことができます。
(2)「図表」を豊富に用意
 地価や賃金などの推移のデータから、立体的に理解を深められます。
(3)「歴史の転換点」をしっかり明示
 アジア通貨危機と日本の賃金低下の関係など、断片的になりがちな知識の因果関係をクリアにします。
(4)各章に「ポイント」
 各章の冒頭で、要点を箇条書きにまとめました。

【主な内容】
 ● バブル経済・・・元日銀理事は、今も苦悩する
 ● デフレ・・・20年間で、日本人の賃金は平均14%下がった
 ● 人口減少・・・「少子化」の“初観測”は1992年
 ● 日米経済摩擦・・・繊維は生き残り、半導体は撃沈した
 ● 日本型経営・・・松下電器元社長は、香港の倉庫で驚嘆した  ほか

目次

はじめに

【キーワード1】 バブル経済
1986年秋、4度目の利下げ決行。元日銀理事は、今も苦悩する。
元日銀理事は、今も苦悩する/バブル紳士が証言する、銀行の役回り
米国の圧力は、公共事業も動かす/米国追随の利上げから一転、大衆迎合の利下げへ
日本とは対照的な、アラン・グリーンスパンの決断/バブルの後始末は終わらない

【キーワード2】 デフレ
1997年から20年間で、私たちの賃金は1人平均14%下がった。
2000年代後半、中高年の賃金があらゆる業界で削られた
賃金下落から始まる負のスパイラル/産業競争力の低下が転落を後押しした
生産年齢人口の減少がダメを押す/デフレを甘く見た、金融当局の政策出動が遅れた
アベノミクスで何が変わったか/売れるものを出すしかない

【キーワード3】 人口減少
1992年に“初観測”された「少子化」。過小評価の時代が長すぎた。
なぜ「1992年の衝撃」は、見過ごされたのか?
人口減少問題の先送りがもたらす未来/安倍政権は財源問題に踏み込めるか?

【キーワード4】 日米経済摩擦
経済外交における日本敗戦の後、繊維は生き残り、半導体は死んだ。
1983年、大蔵省財務官は米国の意図を察知した
プラザ合意は円高で日本の競争力を弱める力技だった
米国への政治的配慮が、企業経営を揺るがす/繊維業界の場合~東レは世界トップシェアへ
自動車業界の場合~徹底した現地化で危機を打開
米半導体業界の場合~総合電機が弱みを露呈
環境変化への対応は経営者の意思にかかっている

【キーワード5】 日本型経営
1995年秋、松下電器元社長は、香港の倉庫に日本凋落の予兆を見た。
物流倉庫でモノ作り。松下電器産業元社長は驚愕した
かつて、日本企業は「ナンバーワン」と言われた/ネットが生んだ「水平分業」という新しい世界観
日本型経営の強みが一転、弱みに転じる/「プロ経営者が不在」の弱みが、浮き彫りになる
「経営のチェック機能」の弱さが、追い打ちをかける/東芝と日立の違いとは?

【キーワード6】 一極集中
1965年、幻に終わった「むつ製鉄」。東京の磁力を誰も止められない。
「東北の寒村を一大工業都市」にする、一炊の夢/陳情合戦で、的が絞れなくなった「新産業都市」
切迫した地方の思いに、政治家が乗る/官僚の思惑が、リゾート開発をバラマキにした
地方が弱るから、東京が栄える

【キーワード7】 財政赤字
池田勇人の財政政策が、日本人に“増税アレルギー”を植えつけた。
財務省の奥深くにしまわれた「後述資料」が語るもの/「東洋の奇跡」の背後に、赤字財政の礎あり
高度成長の終焉が、公共事業の膨張に帰結するまで/なぜ、日本の増税を繰り返すのか
税金に「支払う価値」を感じられるか

【キーワード8】 社会保険料の増大
1973年、田中角栄の大判振る舞いが、年金不安の源流となった。
山口県萩市に「年金生活者の未来」を見る/年金の給付抑制は、地方経済に痛手となる
年金財政悪化の根底に“先送り”の悪弊が/1970年代まで、年金は膨張を続けた
1980年代、ようやく年金の抑制が始まったが
「100年安心」プランも切り札になっていない

【キーワード9】 貯蓄から投資へ
欧米追随の日本型ビッグバンは、デイトレーダーしか生まなかったか。
1998年、松本大は外資系エリートの座を捨てた
米英の場合~金融業を、製造業に代わるけん引役にする
日本の場合~バブルの過信とツケ、前例主義で動けない/日本版ビッグバンは、成果を生まなかった

【キーワード10】 政治とカネ
「アベノミクス」と「小泉劇場」を生んだのは、橋本龍太郎の経済財政諮門会議だった。
1988年、リクルート事件発覚で消費税が頓挫する
かつて日本人は「政治とカネ」に無関心だった
小泉純一郎は、諮門会議を駆使して「擬似大統領」に
安倍晋三は「決める首相」か「強すぎる首相」か

【キーワード11】 日韓関係
1983年1月、中曽根康弘は、首相就任後初の外遊先に米国ではなく韓国を選んだ。
中曽根首相は、訪米より訪韓を優先した/かつて冷戦構造が日韓関係を動かしていた
サムスン躍進の裏に「土日指導」と「国家資本主義」/歴史問題の噴出が止まらない

おわりに

※本書は「日経ビジネス」2015年8月10・17日号から同年11月9日号まで連載された
「戦後70年の日本経済」に加筆、修正を加えたものです。原則として敬称を略しています。
登場人物の肩書きなどは原則として、雑誌掲載時のものです。

著者略歴

著:田村 賢司
日経ビジネス主任編集委員/日経トップリーダー主任編集委員1981年大学卒業後、全国紙を経て88年に日経マグロウヒル(現・日経BP社)入社。日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員、13年から同誌主任編集委員。15年から日経トップリーダー主任編集委員を兼務。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。著書に『マネー動乱』(日本経済新聞出版社)、『日本電産 永守重信、世界一への方程式』(日経BP社)など

ISBN:9784822237387
出版社:日経BP
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2017年06月
発売日:2017年06月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ