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文系編集者がわかるまで書き直した世界一美しい数式「eiπ=-1」を証明する

著:佐藤 敏明

紙版

内容紹介

本書は、一般のビジネスマンに読んでもらいたい数学の専門書です。文系の編集者が、わからないところを何回も質問して、わかるまで著者・佐藤敏明氏に書き直してもらいました。必ず数学の持つ美しさを体感できます。

数学界の巨匠・レオンハルト・オイラーが発見した「eiπ=-1」は、数学史上もっとも美しい式といわれています。ネイピア数(自然対数の底)のe、2乗して-1になる不思議な数i、円周率のπ、これら直感的にまったく無関係と思われる数は、実は深い関わりをもっており、数学の基本的なテクニックを駆使すると整数(移項すると0)になってしまいます。これが、美しいといわれる所以です。また、証明の方法も実にエレガントです。
一般に、門外漢にとって数学者の研究する中身はまったく理解できませんが、この数式の証明では、「実数」や「虚数」の知識を基礎とし、「三角関数」「指数関数」「対数関数」「微分」「ベキ級数」の入り口(基礎的な入門)を学ぶだけで、文系の人にも「eiπ=-1」を証明することができます。
 以下は、著者が記した本書の方針です。
(1)予備知識を前提としない
 多くの読者が知っていると思われる基本的な事柄についても説明し、本書だけで「eiπ=-1」まで理解が可能である。そして、その美しさを感じていただきたい。
(2)読者の目線に立って説明する
 原稿を編集者に読んでもらい、疑問点を指摘してもらった。編集者は文化系の学部を卒業し、高校以来数学から遠ざかっていたので、編集者の指摘により何度も書き直しをして、私の説明不足を補うことができた。
(3)知識の定着を図る
 説明を読んだだけでは、わかったつもりになり理解が浅くなるので、説明のあとに問題をつけた。問題を自ら解くことによって理解が深まり、知識の定着が図られる。ぜひ、鉛筆を持って問題を解くことをお勧めする。解答も各章の最後に丁寧に書いたので、自分で書いた解答と比較して確かめてほしい。
(4)「 eiπ=-1」の証明に必要な事柄に絞る
 関連事項を説明すると話が複雑になるので、「eiπ=-1」の証明に必要な事柄に絞り込んだ。そして必要な事項については、丁寧に詳しく解説した。
(5)重要事項の歴史的背景を説明する
 単なる参考書にならないように、また興味が湧くように、重要事項の歴史的背景をできるだけ説明した。

目次

はじめに

序章 数学的な美しさは、数学の世界を垣間見たときに現れる壮大な風景

第1章 数と関数
1.自然数から実数へ
◎整数と分数を合わせて有理数
◎無理数の登場
2.累乗根
◎ピタゴラスの定理
◎√ の計算
◎n乗してaになる数
3.数直線
◎有限小数と無限小数
◎実数と直線上の点は1対1に対応
◎絶対値
◎数直線上の距離
◎絶対値を含む不等式
4.複素数
◎虚数の誕生
◎複素数の相等
◎複素数の計算
◎複素数と実数の違い
◎負の数の平方根
5.複素数平面
◎座標平面
◎複素数と平面上の点は1対1に対応する
◎共役複素数の性質
◎複素数の絶対値
◎複素平面上の距離
6.関数
◎関数とは
◎関数を見えるようにしたグラフ
7.定数関数・1次関数・2次関数のグラフ
◎定数関数
◎1次関数
◎2次関数
8.逆関数と合成関数
◎逆の対応を表す関数
◎関数のxに関数を代入
解答

第2章 三角関数
1.三角比
◎三角形の相似
◎相似と三角比
◎三角比の値を求めよう
2.三角比の表
◎三角比の値は表からわかる
◎三角比を測量に利用
◎円周率πの値
◎30゜、45゜、60゜の三角比の値
3.三角比から三角関数へ
◎一般角
◎平面を4つの部分に分ける
◎三角関数
◎三角関数の正負
◎三角関数の値を求める
4.y=sin x、y=cos xのグラフ
◎弧度法
◎y=sin xのグラフ
◎y=cos xのグラフ
◎y=sin x、y=cos xのグラフの特徴
5.sinθ、cosθ、tanθの関係
◎三角関数の相互関係
◎三角関数の性質
◎加法定理
◎足し算をかけ算へ
◎かけ算を足し算へ
解答

第3章 指数関数・対数関数
1.指数の拡張
◎0や負の整数の指数
◎分数の指数
◎無理数の指数
2.指数関数
◎指数関数のグラフ
◎指数関数の性質
3.対数
◎対数を求める
◎対数の性質
◎対数の変換公式
◎常用対数
4.対数関数
◎対数関数のグラフ
◎対数関数の性質
解答

第4章 微分
1.瞬間速度と微分係数
◎瞬間速度
◎瞬間速度を関数にあてはめる
◎微分係数の図形的意味
2.微分とは
◎導関数
◎微分可能
3.微分の計算
◎xn の微分
◎微分の性質
◎合成関数の微分
4.sin x、cos xの微分
◎sin xの微分
◎cos xの微分
5.y=loga x、y=axの微分
◎対数関数の微分
◎指数関数の微分
6.高次導関数
◎y=x nを続けて微分する
◎y=sin xを続けて微分する
◎y=cos xを続けて微分する
7.n次関数のグラフ
◎関数の増減
◎関数の極大、極小
◎3次関数のグラフ
◎4次以上の関数のグラフ
解答

第5章 オイラーの公式
1.ベキ級数展開
◎(1+x)3の展開
◎f(x)のベキ級数展開
2.無限等比数列
◎等比数列
◎無限級数の和
◎無限等比級数の和
3.ベキ級数の収束・発散
◎収束と発散の具体例
◎収束半径
4.オイラーの公式
◎sin xのベキ級数展開
◎e i(eのi乗)とは
◎e zの指数法則
◎世界一美しい数式
◎e zの指数法則と三角関数の加法定理
5.複素数平面上のe ix
◎極形式
◎世界一美しい数式「e iπ=-1」の図形的な意味
解答

巻末資料
三角比の表
常用対数表
本書で用いられる主な数式

著者略歴

著:佐藤 敏明
1950年生まれ。1976年に電気通信大学・物理工学科大学院修士課程修了後、都立高校教諭を勤め、2016年に退職する。
著書に、『図解雑学 三角関数』『図解雑学 指数・対数』『図解雑学 微分積分』『図解雑学 フーリエ変換』『これならわかる!図解 場合の数と確率』(以上ナツメ社)など多数。

ISBN:9784820727194
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
判型:A5
ページ数:248ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBK