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トヨタ式考える力

著:桑原 晃弥

紙版

内容紹介

変化の激しい時代に企業や個人が勝ち残るために必要なのは何か。「前例なき時代」でもある。こうした時代に必要なのは「教科書」で学んだことではなく、自分の頭で考え新しいアイデアを生む力。あるいは、何かと何かを結び付ける力や、学んだことに+αを加えていく力だろう。これを人は「知恵」と呼ぶが、「教科書」で育った人にあるのは「知識」であって「知恵」ではない。
 では、「知恵」はどうすれば生まれ、身につくのか。そのヒントを教えてくれるのがトヨタという会社である。
トヨタの強さを支えるものは何か。今や世界ナンバーワンのモノづくり企業となったトヨタだが、かつてはお金も人もいない「ないないづくし」からスタートしている。そんな時代、フォードのサゼッションシステムからヒントを得て始めたのが「創意くふう制度」であり、これが今の「改善活動」のルーツとなっている。その中で何とか良い車をつくらなければと「考えに考え抜く中」「悩みに悩み抜く中」から生まれたのが、のちに「世界のものづくりを変えた」と言われるトヨタ式であり、それを支えたのが「人間の知恵」であり、「考える力」なのだ。
 モノやお金には限界があるが、知恵には限界がない。そして知恵はみんなに平等にあり、みんなの知恵を上手に引き出すことができれば、どんな難しい課題でも解決できるというのがトヨタ式の知恵に対する基本的な考え方である。トヨタ式というとどうしても「ものづくり」のイメージがあるが、実はトヨタ式というのは「知恵を出して働く人」を育てる仕組みであり、育った人たちが知恵によって素晴らしい改善やものづくりを可能にしてくれるというものなのだ。
トヨタはひたすらに知恵を出すことで改善に励み、今日の成功へとつなげている。つまり、トヨタの強さは「知恵」にあり、知恵を出す力を磨きぬくことこそが企業にとっても、個人にとっても成長、成功に近づく道なのだ。
これからの時代、知恵はいくらあっても足りないし、知恵を出して働く人はますます求められている。そのために必要なトヨタ式の「知恵=考え方」に学び、知恵を出す力を磨く49のヒントを提示する。

目次

第1章 知恵の数だけ競争に勝てる、知恵の数だけ成長できる
「前はこれでうまくいった」にも「何か」をプラスしよう/アイデアやヒントは至るところにある。学び、そして工夫しよう/カタログエンジアになるな、「カタログ通り」では競争には勝てない/「答えは自分で見つける」が知恵を磨き人を育てる/改善には順番がある、少しずつ知恵の階段を昇っていこう/相手がプロだからと丸投げするな、現場を知るからこそ口を出せ知恵を出せ/仕事は部下との知恵比べ、知恵ある部下の育て方

第2章 「できない言い訳」をする頭で「どうすればできるか」を考える、「難しい」からこそ知恵が出る
「足りないもの」があるからこそ知恵が出る/言い訳をする頭で「どうすればできるか」を考えよ/無理難題に挑むからこそ知恵が出る/「経験や予備知識が多すぎると時に知恵が出にくくなる」に気を付けろ/難しいからとあきらめるな、夢にまで出るぐらい考えろ/「楽な道」より「難しい道」の方が知恵の出しがい、やりがいがある/安易に他力に頼るな、自力こそが知恵を育てる

第3章 見えなければ知恵は出ない、「見える」からこそ知恵が出る
知恵が出やすい仕掛けや仕組みをつくる/目で見れば納得がいくし、新しい知恵も出る/失敗はみんなの見えるところに、失敗したら「失敗したぁ」と大声で言おう/短く、論旨の明確なレポートを、A4判の紙に書け/見つかるまで探せ、「真因」が見えなければ正しい知恵は出ない/トップとの「差額」を知ることで知恵が出る/「見える化」を「分かる化」「できる化」へ

第4章 「現場へ行く」「まずやってみる」が知恵につながる
現場に行けば何が問題か、どうすればいいかが自ずと見えてくる/思いついたことは「まずやってみる」を習慣にしよう/「分かった」ということは実行すること、実行することで知識は知恵に変わる/現場に深入りしよう、現場を知らずして「何をすべきか」は見えてこない/失敗を恐れるな、失敗したら失敗のレポートを書いておけ/こんなことする暇があったら現場を見て来い/現場を漫然と歩くな、考えながら、問いかけながら歩け

第5章 問題は「知恵を出すチャンス」である、問題やクレームを迎え撃て
問題が起きたら責任追求より原因追求に知恵を絞れ/会社に来ていやなことやつらいことがあったら、どうすれば楽になれるかを考えよう/「決められた」を「決める」に変えていく/後工程はお客さま、お客さまの困りごとに耳を傾けろ/危機を迎え撃て、危機はチャンスなり/診断士ではなく治療士になれ、問題を指摘した「その先」がある/景気のいい時にこそいい知恵が出る

第6章 「名案」に縛られるな、たくさんの知恵を出して比較検討を
目的は一つ、手段はいくつもある/常識や規則を疑え、間違った規則は変えるしかない/今やっていることを最善と考えず、「なぜ」「何のため」と問いかけよう/二階級上の立場で考えろ、今の自分にとってのベストで満足するな/経験に縛られるな、白紙になってものを見ろ/改善にゴールはない、改善したところをまた改善してさらに改善しよう/「成功」とどう向き合うか、成功した時にも反省しよう

第7章 1人の百歩より100人が一歩ずつ、みんなの知恵を信じよう
改善には「3人寄れば文殊の知恵作戦」で/知恵は人と人のつながり、出会いの中で生まれてくる/1人でできることには限りがある、みんなの知恵を借りてこそ100点のものができる/良い知恵は「ヨコテン」しよう/離れ小島をつくるな、建物や環境を変えればイノベーションは起こりやすくなる/楽しくなければ良い改善は生まれない、成果は全員でお祝いしよう/仲良く喧嘩しよう

著者略歴

著:桑原 晃弥
1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。
慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。
トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。
主な著書に『ウォーレン・バフェット 巨富を生み出す7つの法則』(朝日新聞出版)、『スティーブ・ジョブズ 現場の名語録』(PHP文庫)『トヨタだけが知っている早く帰れる働き方』(文響社)など多数。

ISBN:9784820719984
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2018年05月
発売日:2018年05月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TBC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KC