よくわかる沖縄の歴史
よくわかる沖縄の歴史 2
琉球近世の社会のかたち
よくわかる沖縄の歴史
著:来間泰男
内容紹介
沖縄は、琉球という名の、日本とは別の国だった。
同じく17世紀から19世紀半ばまでの「近世」ではあるが、「日本近世」とは異なる「琉球近世」の時代。何が異なるのか。日本と対比しながら琉球の経済社会を描く。
目次
はじめに
第1話 島津侵攻と琉球統治 …………………………………………………………………
徳川幕府の成立と島津氏 島津氏の琉球侵攻 連行された王たちの処遇0 幕藩体制と石高 江戸時代の日本社会の変化 盛んになる商品生産 財政のあり方とその変化0 薩摩藩の琉球支配 「異国」=琉球王国をどう理解するか0 琉球は石高制の社会ではない
第2話 琉球の進貢貿易と島津氏
「冊封体制」とは 進貢貿易の仕組み 薩摩藩からの拘束 特権商人の役割 その後の展開 進貢貿易=「王府は大幅赤字」論
第3話 世界史の流れと日本・琉球、そして砂糖
砂糖の「地中海時代」と「大西洋時代」 「大航海時代」 ポルトガルのアジア進出とレキオ スペインのアメリカ進出 * 中南米の砂糖、「ブラジルの世紀」 * ポルトガルと日本 * スペインのマニラ進出 * 琉球への甘藷の伝来 * 日本の「鎖国」体制とポルトガル・オランダ * 砂糖の輸入と国産 * 台湾の歴史と砂糖 * 「近代世界システム」 * イギリスの「生活革命」と「産業革命」 *
第4話 武士ではなくサムレー ……………………………………………………………… *
地方制度 * 系図によるサムレーと百姓の区分 * サムレーの世界 * 百姓の世界日本の「知行」「領地」 * 琉球での「知行」「領地」 * 宜野湾間切の場合 * 王府の役職 *
第5話 地割という土地制度 ………………………………………………………………… *
沖縄県作成「地割制度」にみる実態 * 仲吉朝助の「地割制度」* 地割方法の多様 * 地割と租税制度は無関係 * 地割制度の発展段階 * 地割は緩やかな慣行である * 比嘉春潮の地割制度論の検討 * 薩摩藩の門割制度との対比 *
第6話 個人別にはとらない租税制度 ……………………………………………………… *
石高と無関係な「地租」 * 石高制という理解への疑問 * 石高制の否定へ 計算基準としても機能しない「石高」 * 間切・村単位に課される租税 * 不可能な滞納処分 * 個別百姓への課税の実態 * 「人頭税」といわれた先島の貢布生産 * 人頭税は「悪平等」ではない * 安良城盛昭の人頭税論 * 間切単位に課される租税 * 不可能な滞納処分 * 個別百姓への課税の実態 *
第7話 貨幣は流通していたか ……………………………………………………………… *
日本の貨幣制度の整備 * 江戸時代後半の貨幣 * 貨幣なしでは動けない社会 * 一七世紀琉球での貨幣流通 * 一八世紀の貨幣流通 * 一九世紀の貨幣流通 * 夫役銭というもの * 琉球と薩摩藩との間の貨幣流通 * 琉球と中国との間の貨幣流通 * 明治初期の記述 * 文替り *
第8話 モノはどのように生産されていたか ……………………………………………… *
租税としての砂糖製造 * 砂糖の流通 * 役人管理下の労働は「きびしい」か * 砂糖・鬱金は「商品」ではない * 鬱金と藍の場合 * 反布生産の実際 * 耕作は鞭うちで強制されていたか * 自給生産農業 *
第9話 外国人は琉球の社会をどう見たか ………………………………………………… *
ベイジル・ホールの航海記 * フォルカードの琉球日記 * ペリーの遠征記 * ペリー艦隊のもう一つの遠征記 *
第10話 身売りはあっただろうか ………………………………………………………… *
そもそもの疑問 * 明治期の調査書の意義 * 「身売り」は出てくるはずがない * 比嘉春潮「身売りする百姓」 * 仲地哲夫「階層分化」 * 仲地哲夫「ウェーキと身売り百姓」 * 豊見山和行「久米島の人口減少とその影響」 * 豊見山和行「王国末期の様相」 * 西里喜行「近世末期の内政問題と対外関係」 *
おわりに