世界史のなかの東南アジア[下]
歴史を変える交差路
著:アンソニー・リード
監:太田 淳
監:長田 紀之
内容紹介
世界史を動かし続けた東南アジアを、先史から現代までの全体史として描く、第一人者による決定版。下巻では、植民地支配をこえて独自の国民国家が生成する激動の過程を、消費文化やジェンダー、知的交流などの視点もまじえて示し、多様性を乗りこなす知恵と現代の発展を含蓄豊かに描き出す。
目次
第12章 国家をつくる 1824-1940年
ヨーロッパのナショナリズムと領域画定 /ヌサンタラの諸政体――多数からふたつへ /極大化するビルマ、生き長らえるシャム /ウェストファリアと中華帝国 /国家のインフラストラクチャーを建設する /インドシナ――国家はいくつあるのか /新たな主権空間における民族構築 /国家の生成、未完のネーション
第13章 農民の非自律化――人口増加と貧困 1830-1940年
人口増加 /インヴォリューションと農民の非自律化 /二重経済とブルジョワジーの不在 /女性を従属させる /貧困の共有と健康の危機
第14章 消費する近代 1850-2000年
危うい環境に適した住居 /食物の進化 /魚、塩、肉 /嗜好品と飲み物 /布と衣服 /近代的服装とアイデンティティ /表演――祭礼から映画へ
第15章 進歩と近代 1900-1940年
絶望から希望へ /教育と新たなエリート /ネーション概念の勝利――1930年代 /男性的近代をめぐる交渉
第16章 20世紀半ばの危機 1930-1954年
経済的危機 /日本による占領 /1945年――革命のとき /独立――革命か、交渉か
第17章 軍と王とマルクスと――権威主義的転回 1950-1998年
民主主義の短い春 /銃が革命を継承する /フィリピン式独裁 /「保護」された君主制の鋳直し /インドシナ諸王の黄昏 /タイ――正法王の再創造 /共産主義者の権威主義体制
第18章 商業への回帰 1965年以降
ついに訪れた経済成長 /増える米、減る子ども /指令経済諸国の開放 /得たものと失ったもの /陰鬱なコスト――環境破壊と政治腐敗
第19章 ネーションをつくる、マイノリティをつくる 1945年以降
高度近代主義の時代 1945-1980年 /教育とナショナル・アイデンティティ /ピューリタン・グローバリズム /統合された、しかし多元的なる世界への参入
第20章 世界のなかの東南アジア地域
地域の概念 /グローバルな比較
訳者解説
訳注
参考文献
文献案内
索引
(上巻目次)
第1章 熱帯湿潤地域の人びと
第2章 風下の地のブッダとシヴァ
第3章 貿易とネットワーク
第4章 都市の発展と世界市場向けの生産 1490-1640年
第5章 宗教革命と近世 1350-1630年
第6章 アジアとヨーロッパの邂逅 1509-1688年
第7章 17世紀の危機
第8章 民俗語的アイデンティティ 1660-1820年
第9章 中国語化した世界の拡大
第10章 熱帯プランテーションへの道 1780-1900年
第11章 自律性の退潮と最後の抵抗 1820-1910年
訳注