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糖鎖生物学

生命現象と糖鎖情報

他編:北島 健
他編:佐藤 ちひろ
他編:門松 健治

紙版

内容紹介

生体内で多様な情報を担う糖鎖は、DNA鎖、ポリペプチド鎖に続く「第3の生命鎖」として注目を集めている。受精・神経・免疫・癌・感染などの生命現象における糖鎖の役割を中心に、基礎から最先端のトピックまで解説した本書は、理学・農学・医薬系などの大学院生・研究者必読。

目次

はしがき

第I部 糖鎖生物学概論

I-1 生物と糖鎖
1.1 生体分子としての糖質
1.2 糖鎖の存在分布:糖鎖は細胞の全領域に存在する

I-2 糖鎖の構造
2.1 糖質とは
2.2 単糖
2.3 グリコシドと糖鎖
2.4 オリゴ糖、多糖、複合糖質

I-3 糖鎖の生合成と分解
3.1 糖転移酵素
3.2 グリコシダーゼ
3.3 N型糖鎖の生合成
3.4 O型糖鎖の生合成
3.5 糖脂質の生合成

I-4 糖鎖の機能
4.1 糖鎖の役割
4.2 物性を変化させる役割
4.3 認識分子としての役割

I-5 糖鎖の多様性と不均一性
5.1 糖鎖構造の多様性
5.2 糖鎖構造の不均一性
5.3 糖鎖利用の生物学的メリット

コラム1 糖鎖の構造と発現解析
コラム2 糖鎖の有機合成
コラム3 糖鎖ライブラリーの構築と利用

第II部 糖鎖情報の形成

II-1 糖代謝情報
1.1 はじめに
1.2 糖ヌクレオチド代謝
1.3 O-GlcNAc修飾

II-2 タンパク質の品質管理とN型糖鎖
2.1 はじめに
2.2 小胞体における新生糖タンパク質のフォールディング
2.3 小胞体-ゴルジ装置間における糖タンパク質の選別輸送
2.4 小胞体およびサイトゾルにおける変性糖タンパク質の分解
2.5 品質管理機構の破綻に伴う病気
2.6 おわりに:今後の課題

II-3 マイクロドメイン形成
3.1 はじめに
3.2 マイクロドメインの糖鎖生物学的重要性
3.3 新しい細胞膜モデル

コラム4 微量糖脂質の構造解析
コラム5 糖鎖の動的構造解析
コラム6 糖脂質の膜上動態分析

第III部 糖鎖情報の解読

III-1 受精と糖鎖
1.1 はじめに
1.2 受精過程の普遍性
1.3 精子運動と糖鎖
1.4 精子先体反応と糖鎖
1.5 精子-卵外被接着と糖鎖
1.6 先体反応後の精子と卵の融合
1.7 卵表層反応と糖鎖
1.8 おわりに

コラム7 花から見つかった生理活性糖鎖アモール

III-2 発生と糖鎖
2.1 はじめに
2.2 Notchシグナル伝達と糖鎖による調節
2.3 発生現象を制御する糖鎖修飾

コラム8 糖鎖修飾によりホルモンが一人二役を授かる仕組み

III-3 神経と糖鎖(I)――神経発生と再生
3.1 はじめに:神経とネットワーク形成
3.2 神経発生、パターン形成と糖鎖
3.3 軸索ガイダンスおよびシナプス形成と糖鎖
3.4 神経可塑性と糖鎖

III-4 神経と糖鎖(II)――神経機能
4.1 はじめに:神経機能における糖鎖の役割
4.2 ガングリオシドの役割
4.3 加齢や神経変性とガングリオシド
4.4 ガングリオシド欠損マウスが示す糖鎖機能
4.5 細胞膜マイクロドメインとガングリオシド

コラム9 統合失調症とポリシアル酸

III-5 免疫と糖鎖(I)――免疫調節
5.1 はじめに
5.2 NKT細胞による免疫調節
5.3 シグレックによる免疫調節
5.4 TCR上の糖鎖
5.5 IgG上の糖鎖

III-6 免疫と糖鎖(II)――自然免疫の制御
6.1 はじめに:自然免疫とは
6.2 自然免疫の概観
6.3 自然免疫における自己と非自己の識別
6.4 自然免疫における動物レクチンの役割
6.5 MBP/MBLの構造と自然免疫における役割
6.6 おわりに:糖鎖を介する自然免疫と炎症性疾患

III-7 免疫と糖鎖(III)――獲得免疫
7.1 はじめに
7.2 獲得免疫とは
7.3 抗体
7.4 IgG糖鎖のエフェクター機能への影響
7.5 糖鎖抗原
7.6 糖鎖抗原による疾患
7.7 おわりに

コラム10 シグレックと免疫制御

III-8 癌と糖鎖
8.1 はじめに
8.2 細胞の癌化と糖鎖変化
8.3 癌の悪性度の進行と糖鎖変化
8.4 癌関連性糖鎖の臨床応用

コラム11 プロテオグリカンと病気

III-9 感染と糖鎖
9.1 はじめに
9.2 細菌の生存と病原性における糖代謝酵素の役割
9.3 ノロウイルス感染における糖代謝酵素の役割
9.4 細菌のシアリダーゼ
9.5 ウイルスのシアリダーゼ
9.6 トランス-シアリダーゼ
9.7 抗インフルエンザ薬のシアリダーゼ阻害剤

コラム12 糖鎖と植物ペプチドホルモン
コラム13 植物多糖に隠された化学情報

索引

著者略歴

他編:北島 健
1987年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学生物機能開発利用研究センター教授、理学博士
他編:佐藤 ちひろ
1997年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学大学院生命農学研究科教授、理学博士
他編:門松 健治
1988年 九州大学大学院医学研究科博士課程修了
現 在 名古屋大学大学院医学系研究科教授、医学博士

ISBN:9784815809812
出版社:名古屋大学出版会
判型:A5
ページ数:304ページ
価格:5400円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年03月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSB