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世界史のなかの産業革命

資源・人的資本・グローバル経済

著:R.C.アレン
他訳:眞嶋 史叙
他訳:中野 忠

紙版

内容紹介

中国やインド、大陸ヨーロッパではなく、イギリスで産業革命が起こり得たのはなぜか? 食事、健康などの生活水準をもとに、世界史的な視野でその起源を捉えなおし、エネルギーなどの自然環境が果たした役割も視野に、産業革命の新たな全体像を示した決定版。

目次

日本語版への序
謝辞

第1章 前工業化経済と産業革命
産業革命を説明する
文化と経済――原因それとも結果か
消費主義と勤勉
結婚と子ども
近代文化の成立
産業革命への経済的アプローチ
ヨーロッパ経済の変容 1500~1750年
近世の拡大から産業革命へ

第I部 工業化以前の経済

第2章 前工業化イギリスの高賃金経済
賃金と価格
イギリスにおける賃金の収斂
熟練労働者
高賃金経済は生活の質にどのような意味を持つのか
高賃金と経済成長

第3章 農業革命
マクロの視点――人々はどのように食料を供給されたのか
農業労働者の1人当たり産出量
なぜ産出量と生産性は上昇したのか
囲い込みは産出量と生産性を上昇させたのか
開放耕地農民はどのように農業の近代化を達成したのか
農民たちはなぜ自分たちの農法を改良したのか
結論

第4章 低価格エネルギー経済
ロンドンの成長と石炭取引の興隆
家庭用石炭暖房の方法
北東部炭鉱地帯以外の石炭生産の増加
世界を視野に入れたイギリスのエネルギー
オランダの都市化と「木材危機」
結論

第5章 なぜイギリスが成功したのか
進歩と貧困のモデル
19世紀への多様な経路
イギリスが成功した要因
含意するものとさらなる疑問
補遺 近世経済の方程式

第II部 産業革命

第6章 なぜ産業革命はイギリスで起きたのか
イギリス――高賃金で安価なエネルギー経済
なぜイギリスの独特な賃金・価格構造が問題となるのか――労働を資本で代替する
イギリスと中国にモデルを応用する
イギリスとフランスにモデルを応用する――ピン工場の例
第2段階――ミクロレベルの発明の流れ
3つのマクロレベルの発明の歴史
補遺

第7章 蒸気機関
第1段階――ニューコメンのマクロレベルの発明
第2段階――1世紀半にわたる改良
蒸気機関の普及

第8章 綿業
マクロレベルの技術革新、第1段階――ジェニー紡績機
リチャード・アークライトの発明
なぜフランスではないのか
なぜフランスではなくてイギリスで紡績機械が発明されたのか
第2段階――紡績機械の改良
結果
補遺1 ジェニー紡績機の収益率
補遺2 アークライト工場の収益率

第9章 コークス溶鉱法
マクロレベルの発明、第1段階――エイブラハム・ダービー1世の業績
マクロレベルの発明、第2段階――コークス溶鉱鉄の競争力を高める発明、1720~55年
1755~1850年までのマクロレベルの発明への一層の改良
ヨーロッパ大陸におけるコークス溶鉱法の導入
アメリカにおけるコークス溶鉱法の導入
コークス溶鉱法はなぜイギリスで発明されたのか

第10章 発明家、啓蒙主義そして人的資本
産業的啓蒙主義
重要な発明家に関する統計分析
産業的啓蒙主義と実験
長期的視点で見た産業的啓蒙主義
経済的、社会的発展の水準
産業革命の原因としての文化
補遺 重要な発明家リスト

第11章 産業革命から近代経済成長へ

参考文献
訳者解説
図表一覧
索引

著者略歴

他訳:眞嶋 史叙
現在、学習院大学経済学部教授。主著、Fashion and the Mass Consumer Society in Britain, c.1950-2000, VDM Verlag Dr. Müller, 2009
他訳:中野 忠
現在、早稲田大学名誉教授。主著、『イギリス近世都市の展開』創文社、1995年

ISBN:9784815808945
出版社:名古屋大学出版会
判型:A5
ページ数:384ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ