まえがき マサイの家畜市場にて[梅崎 昌裕]
PART 1
あべこべの世界に生きる
異なる文化・異なる環境の中へ
鏡の中の国へ
—あべこべの世界に生きる[篠原 徹]
素早い変身
—街の生活と自然の中の楽しみ[佐々木 恩愛]
まぁるい世界にまぁるく生きる
—アフリカの森の人に学ぶ[寺嶋 秀明]
病人をひとりにしない人びととくらす
—「病気のときはひとり静かに寝ていたい」との折りあいをつけるには[杉山 祐子]
境界線の上を歩く
—「地図上の境界線」と「実物の境界線」[座馬 耕一郎]
森のすごしかた
—チンパンジーを追って[伊藤 詞子]
“すきま”を生きる
—狩猟民ハッザとの会話から[野田 健太郎]
フィールド調査事はじめ
—マレ島に足を踏み入れた時のこと[増田 桃佳]
家族と結婚
—「本当の家族」にはなれなかったけれど[泉 直亮]
葬儀の嘆き、最後の遊び
—イトコにまつわるルールと情動 [馬場 淳]
牧童たちに「まかれた」話
—ウガンダの牧畜民ドドスの日常に浸る日々の中で[河合 香吏]
PART 2
何といっても人は食から
食事を通して知る人間世界
暁の波間に漂うゴカイの群れ
—科学と在来知識の揺らぎ [古澤 拓郎]
お茶屋の孫、タイの茶に出会う
—「噛む」お茶の味から風土を知る[佐々木 綾子]
久しぶりの肉
—ウミガメを喰らうということ[山口 優輔]
タコス♪タコス♪タコス
—都市の味にも魅せられて[大橋 麻里子]
サマ/バジャウの食卓から
—海の民と味わう至福[中野 真備]
人類の食の恣意性
—フナクイムシのガストロノミー[辻 貴志]
ボルネオ焼畑民が食べた米
—米食う人としての違和感から[内堀 基光]
フィールド料理教室
—「食べる」を調べる楽しさ[八塚 春名]
アラブでの調査とマンサフ
—グローバル化・市場経済化の中で遠のく料理[末吉 秀二]
強烈な苦味・酸味との出会い
—近代化の中でローカルな嗜好は続くのか[木部 未帆子]
酒は飲むべきか飲まざるべきか
—酒とニューギニアと人びとと我々[小谷 真吾]
PART 3
身体と死生のリアル
身体と心の多様性
熱帯林を生きる身体と命
—狩猟採集民バテッと暮らす[河合 文]
ベテルチューイングとエンソク
—健康とは何か、人々の楽しみから考える[岡野 美桜]
中国の小飯店で小言を食う
—人びとの身体観・健康観を知る[卯田 宗平]
自宅でのお産
—伝統的産婆を重んじる文化[関山 牧子]
母の死への怒り、生きる子への思い
—狩猟採集民の死への身構え[関野 文子]
エチオピアで踊ってみた
—身体を通じて文化を知る[相原 進]
ウンチの話
—ケニア北西部の牧畜民トゥルカナの現地調査から[太田 至]
イヌピアット語のIhruma 英訳しづらい言葉
—文化と心の作用[中野 久美子]
フィールドで健康になるということ
—病気をめぐる自然な助け合い[島田 将喜]
サンゴ礁島で嗅ぎまわる
—排泄・月経・出産・性交[秋道 智彌]
PART 4
精霊と呪術と死に触れる
精神世界への旅
リンガサガをさがして
—生の根拠としての化け物とその不在[原子 壮太]
浄化する人々
—インドネシアにおけるゴイッの存在[奥田 真由]
手相占いを取り巻く死生観
—将来産まれる子供が何人死ぬか?[安松 弘毅]
おばあちゃんの形見分け
—ベナの家族の一員になる[近藤 史]
ともに生きる
—生きている間も、亡くなった後も[吉村 郊子]
みんなで飲む、ひとりで飲む
—社会とつながり、神とつながる[佐川 徹]
病気と神秘、そして真実
—不確かな未来を生きるため術[大津留 香織]
精霊信仰のリアル
—ホタルを追う男たち[田所 聖志]
呪術の「使い方」
—抑止力としての呪いを体験する[三浦 哲也]
PART 5
フィールド・サバイバル!
調査地には危険もいっぱい
サファリアリに襲われた夜
—先達はあらまほしき事なり[四方 篝]
泣くのも贅沢
—高地牧畜地域での研究者[チョウ ピンピン]
疾駆するゾウ
—大型動物から逃げる![岩田 有史]
リカオンとの遭遇
—野生の力への眼差し[高田 明]
真夜中の訪問者たち
—快適な昼寝と夜寝を求めて[小松 かおり]
漏らす者たち
—お腹の弱いチンパンジー研究者が言いたいこと[松本 卓也]
無人の荒野で車を直す
—ローカル・テクノロジーに救われた思い出 [神田 靖範]
フィールドノートを落としたとき
—捜すか、見捨てるか、それが問題だ[谷口 晴香]
排水溝にかかる木橋
—安全に歩くための身体鍛錬[梅﨑 昌裕]
害虫とは何だろう?
—ノミやダニと戦いながらの気付き[砂野 唯]
PART 6
自然の中に豊かに生きる
環境と調和した世界
熱帯河川の寄物たち
—思わぬ収穫と出会う [大石 高典]
森の〈歴史〉に参与する
—キャンプ跡の幼木との出会い[安岡 宏和]
サバンナの里山
—水田をめぐる生命と物質の循環[伊谷 樹一]
こんなにたくさんの品種は要らない?
—多様性と有用性のあいだ[重田 眞義]
バスケットの中の森林文化
—北欧の非木材林産物と「万民権」[佐藤 重吾]
マシを叩く音が響く
—母から子へ継承される樹皮布づくり[緒方 良子]
人の時間、森の時間
—屋久島の照葉樹林の歴史生態学[西川 真理]
アートの芽のある景観
—焼畑民の軒先に飾られた花[中井 信介]
キノコ採りに沸く山
—林業家として人と自然の関わりに参与する[山本 佳奈]
PART 7
動物と身をもって関わる
ヒト−動物関係という問い
ハチドリのヒッチハイク
—自然を見る観察力と物語が生まれるリアル[山口 未花子]
人の目・動物の目
—壊されたカメラから考える動物の視点[川添 達朗]
トナカイにも限界がある
—シベリアの森での猛反省[大石 侑香]
前途多難な船出の先に……
—新しい群れに初めて出会う幸運[田村 大也]
ゾウを嗅ぎ、ゾウに嗅がれる
—異なる生き物の主体性に触れる[築地 夏海]
動物の存在感
—働きかけてくる豚たち[藤村 美穂]
ウミガメを曳いて泳ぐ
—何が起こるかわからない海の動的な魅力[木下 靖子]
蟻を呼び出す歌
—昆虫捕獲を歌にする[梅屋 潔]
猪は死して四肢をのこさず、牙歯のこす。
—ハンター・ガーデナー[野林 厚志]
噛む犬は良い犬
—身体で感じた人−動物関係の奥深さ [夏原 和美]
PART 8
在来の知から学ぶ
自然を活かす様々な形
頭のなかの「地図」
—地図なしで地理を把握する[中尾 仁美]
森と都市を繋ぐ人たち
—木材商人たちの柔軟な戦術[小林 淳平]
わかるとはなにか
—海の民が教えてくれた人間性の進化[竹川 大介]
初めて耕された土地
—干ばつと牧畜民[中村 香子]
学びの工夫
—牧畜民マサイの子どもの日常[田 暁潔]
トランスボーダーたちのアジール
—断崖の下の湖岸の暮らし[田原 範子]
いつも二人で
—海と向き合った夫婦の六〇年[渡部 鮎美]
知識を分かちあう悦び
—野生の思考といかに向きあうか[飯田 卓]
ゲル
—建てたり、たたんだりできる家[風戸 真理]
絶景に住む
—「落伍者」たちが安住する山[市川 光雄]
PART 9
経済原理の違いに心打たれる
分与と平等の社会
平等主義社会を支える意志
—バカの分配と他者の受容[服部 志帆]
食料・水・エネルギー
—下宿をすることで経済原理がわかる[末原 達郎]
まとまったおカネの使い道
—貯蓄と消費、投資の変容誌[黒崎 龍悟]
雨に打たれるウシ
—タアン人のトッ(支援)[生駒 美樹]
アメリカの辺境に暮らす先住民
—グローバル化の進行と抵抗[石井 花織]
物資欠乏下のサンゴ島
—飢えと分かち合い[風間 計博]
水をめぐる思い出
—極限乾燥の大地に生きる遊牧民の水利用[孫 暁剛]
「失敗した」食物分配
—狩猟採集民における所有者の意味[北西 功一]
トタン屋根の家
—家屋にまつわる人びとの苦悩[下山 花]
PART 10
破壊・消滅・変容の現場で
近代化の現実と保全の努力
同化政策の果てに
—龍の山の麓に佇む廃屋の追憶[大西 秀之]
木が泣いている
—ケニアの森林から追い出された人々[湖中 真哉]
にじむ境界線
—人間の多面性が生み出す世界[齋藤 美保]
神と妖怪が宿る泉
—マダガスカル人の自然観と森林保全[佐藤 宏樹]
アフリカの森に生きる [佐藤 弘明]
水素のランドスケープ
—気候変動問題とアフリカの乾燥地域[内藤 直樹]
森の支配者
—匪賊と精霊の森から国家と市場の森へ[富田 晋介]
マハレの人々
—国家と民族、変わる生活、そして他者と交わる[高畑 由起夫]
戦争前夜のフィールドワークから
—人類学徒による「人類」発見の顛末[澤田 昌人]
あの丘の向こう
—固有名の記憶を手繰り寄せる場としてのフィールド[近藤 有希子]
PART 11
調査作法は人生を左右する
フィールドワークの方法論を身につける
珠玉の「生態的参与観察」実習
—共に行く人の経験をなぞる[竹ノ下 祐二]
驚くな、怒るな、そこで笑え
—森の中で先輩と村さがし[安渓 遊地・安渓 貴子]
原野の狩人に憧れて
—調査助手とチンパンジーと私[花村 俊吉]
熱帯雨林の村で
—森の分かち合いの連鎖と私[黒田 末壽]
透明人間になれない
—フィールドワークは難しく楽しい[小西 祥子]
最古のサピエンスを探す旅
—インドネシアの発掘現場から[小野 林太郎]
「石鹸と直毛」の仮説
—調査することは調査されることでもある[須田 一弘]
フィールドワークの道具
—ミッターマイヤーにアーミーシャツを着せなかった話[足立 薫]
共に飲め、共に酔え
—ボルネオ伝統式飲酒量測定器[田島 知之]
最後は、なんとかなる
—フィールドへの行き方、帰り方[萩原 潤]
PART 12
自らの問いにこだわる
この道、この場所、何十年
野外排泄とSDGs
—トイレよりケータイ[山内 太郎]
弓矢を使った狩猟
—熱帯低地の集団猟と技量の発達[河辺 俊雄]
冒険遺伝子(DRD4 −7R)とフィールドワーク
—「没調査地的」生き方のススメ[稲岡 司]
変貌
—スンダ農村と私[高坂 宏一]
ラダック人社会の今
—維持されるコミュニティの「つながり」[山田 孝子]
砂漠の民から学ぶ人類の姿
—遺跡からでは分からない暮らしを再現する[池谷 和信]
蚊を集めるには
—散々試して準備したサンプルは今[中澤 港]
サル小屋で過ごした日々
—千載一遇の好機と未解明の課題[塚原 高広]
伝統社会の急激な変容に立ち会う
—砂漠の狩人ブッシュマン[田中 二郎]
歩いてナンボ
—「ついていく」生態人類学人生[野中 健一]
PART 13
かけがえのない出会いと別れ
友という果実
宙ぶらりんの二四歳
—先の見えない人生をともにする、ということ[丸山 淳子]
アルタイ山脈を駆ける少女
—カザフ牧畜民のジェンダー[今村 薫]
「森の民」との出会いと別れ
—狩猟採集民バボンゴと私のかかわり[松浦 直毅]
ツチブタの巣穴の上に立つタブーカ
—円環がひっそり閉じられるとき[菅原 和孝]
調査助手との離別
—「〇〇人に成る」ということ[曽我 亨]
イファーとの歩み
—親しかった人との別離[田中 利和]
気流の鳴る音を聴け
—サバンナで歌う少女に教えてもらったこと[波佐間 逸博]
仲間と潜る海
—経験を共有できる喜び[門馬 一平]
夜という名の少女
—会えない人の記憶[木村 大治]
あとがき フィールド研究の生(なま)の姿を伝えたい[河合 香吏]