化学者たちの京都学派
喜多源逸と日本の化学
著:古川 安
内容紹介
【推薦】 檜山爲次郎 氏(中央大学研究開発機構教授・京都大学名誉教授)
京都大学工学部の化学系では、基礎の裏付けがあって独自の応用が拓けると考える喜多源逸の信念のもと、応用と基礎の間の双方向的な知的刺激によって創造性を高めてゆく独特の学問的雰囲気が育まれていった。
本著は喜多から福井謙一・野依良治へと連なる京都学派の生の化学者群像を活写する。
この知的刺激は、若い世代にとって必ずや科学技術創造の一助になるだろう。
目次
プロローグ 喜多源逸の姿を求めて――本書ができるまで――
化学の京都学派を創った男
本書ができるまで
第1章 京都学派の形成――工業化学者・喜多源逸の挑戦――
はじめに
1 奈良から、三高、東京帝国大学へ
2 教育観の齟齬
3 京都帝国大学と澤柳事件
4 欧米留学
5 理研精神――大河内正敏と喜多源逸――
6 喜多イズムの浸透
7 国策科学と学派の拡大
8 巨星墜つ
第2章 実験室から工場へ――戦時下の人造石油開発――
はじめに
1 小松茂と海軍の直接液化法
2 喜多源逸と京都帝国大学のフィッシャー法
――実験室からパイロットプラントへ――
3 京都から北海道へ
4 人造石油の遺産
第3章 繊維化学から高分子化学へ――桜田一郎のたどった道――
はじめに
1 教育――セルロース化学の世界へ――
2 喜多研究室とセルロース化学
3 若きセルロース化学者のドイツ――低分子派の下に――
4 帰国後の研究活動とシュタウディンガーとの論争
5 高分子説の受容と「高分子」という言葉
6 ドイツ仕込みの気鋭化学者
7 合成繊維ナイロンの出現とその意味
8 合成一号と李升基
9 繊維化学科、日本合成繊維研究協会、「大阪・中之島の陣」
10 悩める二人の「発明者」
11 高分子化学の重鎮
第4章 燃料化学から量子化学へ――福井謙一が拓いた世界――
はじめに
1 化学への道
2 量子の扉を開く
3 燃料化学科とハイドロカーボン
4 児玉信次郎のドイツ留学とポラニー
5 戦争のあとさき
6 フロンティア軌道理論をつくる
7 反発から受容へ
8 工学部の理論化学者たち
9 創造の源泉
エピローグ 有機合成化学の系譜――ラウエルから野依良治まで――
はじめに
1 合成化学科への道――小田良平と古川淳二――
2 有機化学者・野依良治の誕生
謝 辞――あとがきに代えて――
文献一覧
インタビュー一覧
喜多源逸 関連年表
人名索引
事項索引
ISBN:9784814001224
。出版社:京都大学学術出版会
。判型:A5
。ページ数:338ページ
。定価:3600円(本体)
。発行年月日:2017年12月
。発売日:2017年12月05日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PN。