学ぶ、向きあう、生きる
大学での「学びほぐし(アンラーン)」―精神の地動説のほうへ
著:楠原 彰
内容紹介
自分の悲しみや無力さを中心に地球が回っているという「精神の天動説」ではなく、自分自身が世界とともに動いていて、動く世界のなかに存在しているのだという「精神の地動説」に気づくために──。
アジアを歩き、東北の森に間伐に出かけ、マイノリティ(被差別少数者)をはじめとするさまざまな他者たちと教室で出会う。大学に多くの「現場」をつくりだして学生たちを揺さぶり、学びを解きほぐしてきた著者の最終講義。
目次
プロローグ 「精神の地動説」のほうへ
第1章 わたしの物語、他者の物語、〈みんな〉の物語
1 わたし自身の物語——少年期から青年期の〈危機〉をめぐって
少年時代の〈危機〉——非行
前期青年期の〈危機〉——家の拒絶と自己惑溺
システムの侵蝕力と「生き方の原理」のはざまで
2 「わたし」と他者の物語をわかちあう——大きな「みんなの物語」にあらがって
利光徹との出会い
「わたしの物語」が受容されるということ
「他者の物語」と出会い、変わっていった学生たち
第2章 見えない隣人としてのマイノリティ
1 教室のなかのマイノリティ——見えない隣人と出会う
見えない隣人たち
総合講座「差別とアイデンティティ」
教室のなかのマイノリティ1——セクシュアル・マイノリティ
教室のなかのマイノリティ2——リストカッター
教室のなかのマイノリティ3——在日韓国・朝鮮人
私の隣人——ある難民家族
2 当事者であることを選ぶということ——カミングアウトをめぐる往復書簡
K先生へ
W君へ
3 人間の〈差別〉を考える10のテーマ——若者たちの挑発を受けて
〈1〉私たちの社会は差別・排除によって成り立っている
〈2〉私たち人間はまた、共存・共生を求めてたたかいつづけてきたのも事実である
〈3〉偏見の相互受容から出発する
〈4〉私たちの社会はかぎりなくマイノリティを生みだし、排除したり隔離したりする
〈5〉なかなか見えない、感じられない構造的差別について
〈6〉差別は複合的である
〈7〉差別や偏見はどこから生まれるのか——差別の内と外
〈8〉差別/被差別関係から自由になるということ——それは、まだるっこい日常の出会いのなかで
〈9〉差別とアイデンティティ
〈10〉市民社会がつくりだす新たな排除と差別
第3章 「関係の貧困」「孤絶の文化」から〈現場〉体験へ
1 日本の子ども・若者の自己評価の低さについて——「関係の貧困」と「孤絶の文化」
人生は危機に満ちている——危機を乗り越えるための文化装置
破壊と孤立の文化のなかで
日本の子ども・若者は、いま——〈資料〉の紹介・読み解きとともに
「心的外傷」からの回復
2 学びへの誘いとしての〈現場〉体験——わたしの大学での実践から
読書会の時代(1970年代前半)——学生一人ひとりの経験は固有でみな異なっていた
ワークショップの時代(1980年代)——学生たちとともに身体を他者・世界に向かって開こうと試みる
スタディツアーの時代(1990年代)——アジアの〈現場〉を歩きながら考える
インドツアーの継続と岩手の森での間伐体験(2000年代)——歩きだす若者たちとともに
いま、大学は何をすべきか——学びの動機づけを回復するために
エピローグ 3・11後を生きる
ISBN:9784811807607
。出版社:太郎次郎社エディタス
。判型:4-6
。ページ数:256ページ
。定価:2000円(本体)
。発行年月日:2013年03月
。発売日:2013年03月05日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS。