完全攻略!鮎Fanatic
最先端の友釣り理論、放流戦略からアユのよろこぶ川づくりまで
著:坪井潤一
著:高橋勇夫
著:高木優也
内容紹介
アユのことがここまでわかった!
天然アユを増やし、今より釣れるように、
これから先もアユ釣りを楽しめるようにするには、どうしたらいいのか。
川と海が分断され、現在、アユを取りまく環境はいいとは言えないが、
釣り人、漁協関係者、地元住民が一丸となって取り組めば、
天然アユの海からの遡上数向上は決して夢ではない。
アユとアユ釣りをこよなく愛する3人の研究者が、
日本列島の川で生まれ、海に下り、
また川に上って1年間で生涯を終える愛すべきアユの生態から、
アユが遡上する川作り、放流種苗ごとの特徴、
釣果が上がるテクニック、アユ増殖の成功事例まで、
アユに関する最新知見をあますことなく綴った、最強のアユ本。
目次
はじめに
第1章 アユを知る
1 アユを釣るための生態学[高橋勇夫]
3つのナワバリ行動
ナワバリ行動とオトリの反応の関係
ナワバリアユが反応するオトリの動き
ナワバリアユのストレス問題
2 群れアユによるナワバリの略奪[高橋]
3 アユの遡上範囲(分布)はどのようにして決まるのか?[高橋]
アユ研究の空白
絶好の研究フィールド
天然アユの生息数
アユの分布上限を決める要因
遡上時期によって定着位置が決まるのか?
上流への移動は〝得〟なのか?
朱太川のアユの高肥満度が意味するもの
4 アユのごはん 藻類を深掘りしてみる[坪井潤一]
アユの主食は珪藻ではなくラン藻
驚異的なアユの成長率
アユの成長と美味しさの関係
5 巨アユについて考える[高橋]
巨アユを水中で見た
尺アユが育つ条件
アユは40㎝に達するか?
6 アユは自分の体の大きさを知っている?[坪井]
7 アユの遡上量[坪井]
アユに課せられた72時間ルール
アユ資源V字回復のメカニズム
8 翌年を占う!? 遡上量予測[坪井]
9 仔アユが産卵床から出られない![高橋]
アユ仔魚のふ化・海域への流下
卵黄指数
物部川の場合
奈半利川の場合
アユ仔魚が産卵床に閉じ込められるメカニズム
産卵床内での仔魚の滞留は人為的なものか?
卵黄の吸収が進んだ状態で浮上することのリスク
10 アユと水温と私[坪井]
越年アユの繁殖戦略
越年アユと地球温暖化
アユのフェノロジー
第2章 アユの暮らす環境
1 アユが釣れる河床、釣れない河床[高橋]
アーマー化した河床はアユに嫌われる
河床を耕耘する
土砂をダム直下から流す(土砂還元)
巨石の存在はアユのナワバリづくりに寄与する
2 土木工事と向き合う[坪井]
濁りはストレス
河川管理者とのコラボレーション
関係者と真摯に向き合う
3 アユに優しい河川工事[高橋]
劣化するアユ漁場
なぜ、環境には配慮されないのか?
漁場を再生する河川工事の登場
物部川での災害復旧工事後の漁場再生
天竜川での瀬の再生
漁場再生の今後
4 森・川・海[坪井]
漁協が木を植える
川のめぐみが流域を潤す
5 アユのトロフィックカスケード[坪井]
ウグイが尺アユをはぐくむ
川の生き物たちのにぎわいを取り戻す
第3章 最先端のアユ放流理論
1 放流アユ漁場に何が起こっているか?[高木優也]
放流さえすればアユが釣れた時代があった
冷水病ショックをきっかけに負のスパイラルへ
放流効果はどれほど低下したか?
釣れるアユ漁場をつくるには?
2 アユ放流のチェックポイント[高木]
アユ放流は割り算で考える
(1)年券者1人あたりの放流尾数 放流量は足りているか?
(2)解禁日の回収率 どれくらい釣れているか?
3 放流サイズを考える─小型種苗放流のすすめ[高木]
冷水病対策として放流サイズが大型化してきた
種苗サイズが大型化すると放流効果が低下する
小型種苗放流のすすめ
小型種苗の歩留まりは?
4 放流密度を考える─放流尾数に応じて漁場も狭めないと釣れなくなる[高木]
放流尾数が減少しても、放流範囲は変えないのが、なぜだめか?
放流尾数が半分になったら、解禁日の回収率が10分の1に低下した事例
【注意】放流量は重量ではなく尾数で!
どれくらいの放流密度を目指すべきか?
5 放流種苗を考える[高木]
伝説の琵琶湖産
人工種苗
最近の琵琶湖産(加温処理済み)
海産&海産系人工種苗
ダム湖産&ダム湖系人工種苗
どの種苗を放流すればいいの?
種苗によって解禁日の回収率はどれくらい違うか?
爆釣河川のアユを放流したらよく釣れる?
6 養殖場での継代数[坪井]
放流効果は毎年チェック
アユを本気で養殖してみた
F1に挑む
よく釣れるアユを養殖するには
7 放流魚としての琵琶湖産アユ[坪井]
禁断の果実
養殖業者との信頼関係
8 釣れたアユは何者か? ──アユの由来を探る[高橋]
判別のための形質
判別事例その1 放流の効果を判断する(高知県奈半利川)
判別事例その2 少量でも効果抜群の人工アユの放流。それでも……(北海道朱太川)
判別事例その3 ダム湖の陸封アユは釣れているのか?(静岡県天竜川)
判別事例その4 解禁日に釣れているアユは何者か?(栃木県那珂川)[高木]
由来判別調査の活用
9 河川環境──放流アユが釣れる川、釣れない川[高木]
解禁日の回収率は、大河川で平均2%、中小河川で平均7%
中小河川でも、アユが残る川、残らない川があった
大河川ほど透明度や浮き石率が低い
放流効果が高い河川とは?
10 中小河川での釣れるアユ漁場づくり事例─西大芦漁協[高木]
早期小型種苗放流
冷水病対策
カワウ対策
渓流魚による売上げ増加
データを大事にする漁場運営
11 大河川での釣れるアユ漁場づくり事例─渡良瀬漁協[高木]
放流場所の選択と集中
徹底的なコストカット
常に釣り人がいる川づくり
冷水病対策
漁協事務所に貼られた手書きグラフ
第4章 アユvs冷水病、カワウ
1 冷水病研究最前線[坪井]
冷水病菌は冬にリセットされる?
2 アユ釣り場での冷水病対策[高木]
冷水病とは?
昔ほど死ななくなった?
なぜ、冷水病が発生してしまうのか?
冷水病被害を減らすには?
3 アユの天敵カワウ研究最前線[坪井]
フライトレコーダー
カワウを釣る
放流アユで子育てをする
堰の直下は要注意
カワウとサギ類の共同採食
4 アユ釣り場でのカワウ対策[高木]
第5章 天然アユを最大限活用する
1 放流に頼らないアユの増殖──種苗放流を停止した北海道朱太川[高橋]
北限のアユを育む朱太川
北海道固有の個体群の存在
北限域のアユを守るために──アユを活用しながら守る
種苗放流を止めてからの資源動態
種苗放流に代わる増殖
「野生のアユ100%」の持続的な活用
2 天然アユの経済効果[坪井]
3 アユを守ることは究極の地域おこし[坪井]
漁協をつぶさないために
地域おこし協力隊
第6章 アユの友釣り
1 漁法としての友釣りを考える[坪井]
プレミアムなアユだけが釣られる
友釣りでもキャッチアンドリリース
2 最先端のアユ釣り技法[高木]
あなたの釣果は、時速何尾?
安い道具でもアユは釣れる!
高い竿ほど、たくさん釣れる?
メタルラインの革命
竿も糸も針も良くなったのに、なぜ釣れない?
釣る人と釣れない人の違いは?
釣れるパターンを見極めるには?
海産天然アユの特徴と攻略法
琵琶湖産の特徴と攻略法
人工種苗の特徴と攻略法
3 釣具屋さんとオトリ屋さん[坪井]
4 オトリ屋さんとアユルアー[坪井]
オトリが売れなくなる?
釣り場でのトラブル回避のために
第7章 鮎を味わう
1 鮎の美味しい食べ方[高橋]
2 美味しい鮎を育む川[高橋]
清流めぐり利き鮎会
絶対王者 和良川
入賞できない河川
3 美味しい鮎が地域を元気にする──清流めぐり利き鮎会の功績[高橋]
岐阜県和良川(木曽川水系)
北海道朱太川
高知県奈半利川
おわりに