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雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界

気候・健康・発酵とバイオエアロゾル

著:牧輝弥

紙版

内容紹介

大気圏では、多種多様な微生物が空を飛んで何千キロも旅をしている。
空は微生物であふれていることがわかってきた。
彼らは、どこからやってきて、人間にどんな影響を与えているのか。

気球や飛行機、ヘリコプターを使った独自の微生物採取手法を開発した著者が、
実験・研究の工夫、苦労、成功談などをおりまぜながら、
大気中の微生物の意外な移動の軌跡と、
彼らの気候や健康、食べ物、環境などへの影響を探る、
異色サイエンスノンフィクション。

目次

はじめに

1 黄砂は微生物の空飛ぶ箱船
バイオエアロゾルとは?
タクラマカン砂漠へ。黄砂との出会い
バイオエアロゾルを採取するには
係留気球を使った高高度観測
バイオエアロゾルを見る
大気中の微生物はバチルスばかり
土壌から微生物が飛び上がる〝死のダンス〟
中国との共同研究体制

2 能登半島は〝日本海のアンテナ〟
何をもってして黄砂とするのか
黄砂を予測し捉える難しさ
能登には文化もエアロゾルもじかにやってくる
能登半島の上空は慌ただしい
日本海を渡ってくる黄砂は塩辛い
環境微生物の分析方法
海からのバイオエアロゾルの源はマイクロレイヤー
植物の表面はバイオエアロゾルの宝庫

3 雪山はエアロゾルの冷凍庫
北陸豪雪を利用したエアロゾル研究
立山連峰での積雪断面調査
超並列シーケンサーの登場
雪に含まれる微生物
雪山から太平洋へ
黄砂は極上の餌となる─船上培養実験

4 ヘリコプター観測はアルパインスタイル
〝極地法〟から〝アルパインスタイル〟へ
ヘリコプター観測
ラーメン物質

5 健康被害から食文化へ─変化のストーリー
真菌も空を飛ぶ
真菌は悪い奴?
感染症にもご注意を!
中国の砂漠への出入り禁止
バイオエアロゾルはいい奴かも
食文化とバイオエアロゾル
誕生!〝そらなっとう〟
納豆文化の起源

6 日中韓蒙、ドラゴン
再び日中韓での観測へ。そして、モンゴルへ
ジャッカル式サンプラー
フィルターホルダーは弾丸
ゴビ砂漠の観測拠点
東アジアから集まった観測試料
ビッグデータは〝ドライ〟がお好き
バチルス再考

7 カビとキノコの森林バイオエアロゾル
ナウシカの世界が実在
キノコは面白い
雲をつくる微生物
森林から飛び立つ微生物へ
ラーメン物質の正体

8 シン・バイオエアロゾル研究
黄昏のバイオエアロゾル研究
都市部におけるヒトへの健康影響
都市部を飛びかう微生物
バイオエアロゾルは洞窟の色を変えるのか?

9 風の吹くまま、気の向くまま

おわりに
引用・参考文献
索引

著者略歴

著:牧輝弥
1973年6月 京都生まれ
1996年3月 京都大学農学部水産学科卒業
1998年3月 京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻修士課程修了
2001年3月 京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻博士後期課程単位取得中退
2001年4月 生物系特定産業技術研究推進機構博士研究員
2002年3月 博士(農学)の学位取得
2002年4月 金沢大学工学部物質化学工学科助手
2008年4月 金沢大学理工研究域物質化学系准教授
2020年4月 近畿大学理工学部生命科学科教授
専門は、微生物生態学、バイオエアロゾル学。
砂漠や森林、都市などの空気中を漂う微生物(バイオエアロゾル)の種類を調べ、
これら大気微生物がどこまで飛んでいくのかを突き止めようとしている。
大気微生物が及ぼす健康、生態、気候への影響も調査し、社会貢献できればと考えている。

ISBN:9784806716273
出版社:築地書館
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSG