はじめに
第I部 基本編
第1章 自然環境の保全と観光・レクリエーション利用のための社会調査とは 愛甲哲也
1.本書の目的
社会調査がなぜ必要か
社会調査の対象者
2.国立公園における社会調査の現状
利用者数調査の現状
意識調査の現状
社会的モニタリングの必要性
3.海外の先進事例
統一的なアンケート調査の実施
モニタリングの仕組み・マニュアルの必要性
4.アンケート調査の計画と実践――本書の構成
アンケート調査の進め方
各分野におけるアンケート調査
第2章 アンケート調査の企画――実施する前に 庄子 康
1.アンケート調査に対する人々の見方
簡単にできそうなアンケート調査
信頼できないアンケート調査
2.調査の枠組み作り
ゴールや将来像を確認する
トピックの選択
先行研究のレビュー
概念枠組みの構築
リサーチ・クエスチョンの設定
3.アンケート調査票を作る前に
アンケート調査は必要なのか
想定される統計分析の把握
4.調査スケジュールの立案
様々なアンケート調査
現実的な調査スケジュール
第3章 アンケート調査票の設計 庄子 康・栗山浩一
1.変数の設定
単一の質問と複数の質問
変数の信頼性と妥当性
2.変数の計測方法
質問形式と評価尺度
リッカート尺度による評価
3.アンケート調査票作成のガイドライン
質問形式に関するもの
質問文に関するもの
回答形式や選択肢,評価尺度に関するもの
日本語に関するもの
全体構成や配置に関するもの
デザインに関するもの
4.ガイドラインのまとめとしての原則
5.作業をどこで終わりにするか
6.アンケート調査票の表紙と裏表紙
第4章 アンケート調査の実施 愛甲哲也・庄子 康
1.サンプリング
サンプリングの基礎
オンサイトサンプリングとオフサイトサンプリング
発地型のアンケート調査と着地型のアンケート調査
オンサイトサンプリングの実際
2.調査手法の選択
訪問者を対象とした現地実施・現地記入のアンケート調査
訪問者を対象とした現地実施・郵送のアンケート調査
地域住民を対象としたアンケート調査
一般市民を対象としたWEBアンケート調査
3.調査の準備
アンケート調査実施に向けた関係機関との調整
人員の確保と下準備
アンケート調査票の準備・管理
下見と予行演習
4.調査の実施
現地での対応
回収率について
5.調査倫理
調査倫理とは?
調査対象者への対応
現場の関係者に対する対応
アンケート調査で問題は解決できるか?
参考資料:知床世界自然遺産地域適正利用・エコツーリズム検討会議 適正利
用・エコツーリズム関連調査(マーケティングとモニタリング)の方針
第5章 データ分析と成果の取りまとめ 庄子 康
1.本章の内容を理解するタイミング
2.データ分析の下準備
データの入力フォーマットの準備
データの種類と質問形式の確認
データの入力
欠損値の取り扱い
入力ミスを確認する技術的方策
3.データ分析(単純集計とクロス集計)
ピボットテーブルによる整理
変数の名義と想定される集計の形
変数の変換
クロス集計
4.データ分析
統計的検定の基礎
度数の比較(独立性のカイ二乗検定)
平均値の比較
順序尺度による回答の取り扱い
統計分析の注意
より進んだ統計分析
5.成果の取りまとめ
報告書の作成
論文の作成
第II部 応用編
第6章 レクリエーション研究からのアプローチ 愛甲哲也
1.観光・レクリエーションと満足度
満足度と適正収容力
適正収容力はマジック・ナンバー
満足度の特性と問題点
満足度の質問の改善方法
2.観光・レクリエーション利用と混雑感
混雑感の特性
コーピングと潜在的利用者
3.知床五湖における満足度と混雑感の調査
知床半島の概況
知床五湖利用調整地区
利用適正化計画とモニタリング
利用調整地区導入前のアンケート調査
利用調整地区制度導入前後の比較
4.調査結果のフィードバックとモニタリングの継続
第7章 環境経済学からのアプローチ――貨幣評価 庄子 康・柘植隆宏
1.環境の持つ価値とその貨幣評価
環境の価値
経済学的な価値の分類
タダと見なされる環境の価値
2.仮想評価法
手法の概要
エクソン・バルディーズ号事件
NOAAのガイドライン
バイアスとその対応――質問形式を例に
実際に仮想評価法を適用するには
3.仮想評価法による評価事例
観光客の認識や要望の把握の必要性
仮想評価法による評価
4.その他の手法
顕示選好法
表明選好法
5.まとめ
第8章 野生動物管理学からのアプローチ――政策評価・リスク認識 久保雄広・庄子 康
1.野生動物管理と社会科学的な調査研究の必要性
2.知床半島におけるヒグマ
3.知床半島ヒグマ保護管理方針
4.地域住民に対するアンケート調査の実施について
5.ゾーニング管理に対する地域住民の評価
選択型実験の調査設計
選択型実験の推定結果
6.地域住民のリスク認識の評価
リスク認識に関する先行研究
アンケート調査の概要
アンケート調査結果と考察
7.ヒグマとの遭遇距離を考える新しい評価尺度
8.まとめ
第9章 観光学からのアプローチ――市場調査 寺崎竜雄
1.旅行市場の基礎的な統計を把握するための継続的な大規模調査
大規模市場調査の概況
「全国旅行動態調査」
「観光白書」と「旅行・観光消費動向調査」
「観光の実態と志向」
「JTBF旅行者動向調査」
「訪日外国人消費動向調査」
2.来訪者の観光地やサービスに対する評価等を把握するための市場調査
来訪者調査の概況
経済産業省「全国観光客意識調査」
観光庁「観光地の魅力向上に向けた評価手法調査」
「JTBF自然公園来訪者調査」
コラム インバウンド観光の動向をとらえる 愛甲哲也
国立公園の外国人利用者数は?
富士山には,どのくらいの登山者が?
外国人利用者の行動,意識は?
第10章 質的調査による地域資源評価の事例 岡野隆宏
1.環境文化を把握する
背景
目的
2.奄美大島の自然と文化
3.屋久島などを例とした世界遺産の効果と課題
4.集落における環境文化把握調査
調査の目的と方針
調査地
調査方法
調査結果
5.調査から見えてきたもの
「シマ」という空間
シマからの学び
祭りの意味
6.環境文化型国立公園の提案
保護計画の策定
利用計画の策定
利用施設の整備
実現に向けた課題
7.まとめ
あとがき
付録
知床五湖利用のあり方に関するアンケート
知床の環境保全と利用に関するアンケート
ヒグマに関する町民アンケート
国立公園利用者意識調査
さらに学びたい人のための文献リスト
索引