出版書誌データベース

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「意匠の表現」「意匠の実務」に続く、意匠シリーズ第三弾
約５０年間に渡り、意匠の実務に従事した著者の渾身の一冊！
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　本書は、元特許庁審査長、審判長として、また現在は弁理士として、長年、意匠の実務に携わってきた著者が、判例の趣旨から意匠登録制度を学ぶことができる、最良の書として書かれた内容であり、約５０年間になされた意匠関連の判決から構築し、併せて、その判決に係る本願意匠と引用意匠、また、本件意匠と被告意匠を掲載いたしました。

　意匠を理解するには、その事件に関係する具体的な意匠、その意匠の分野のデザイン開発の動向等を事件ごとに把握して、判決の趣旨から意匠登録制度を学ぶことが重要であります。「意匠の理論」を判例に基づいて解説した本書は、企業の知的財産部において意匠に携わる方や弁理士で意匠に携わっている方にとって必読の内容であります。

第１章　デザインの保護
Ⅰ．著作権法
　１．応用美術の保護
　２．著作権と意匠権による保護手法の相違
　３．応用美術に関する判決例
　４．書体（タイプフェース）に関する判決例
　５．建築物に関する判決例
Ⅱ．不正競争防止
　１．商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為
　２．商品形態と意匠の対比
Ⅲ．商標法
　１．意匠と商標的使用
　２．商標的使用に関する判決例
　３．立体商標
　４．立体商標に関する判決例
Ⅳ．特許法
　１．特許法による保護
　２．特許権と意匠権による侵害訴訟の判決例
Ⅴ．意匠法
　１．意匠法の目的
　２．意匠法の目的に関する判決例
　３．意匠の定義
　４．意匠の定義に関する判決例
　５．画像の意匠

第２章　意匠登録の要件
Ⅰ．工業上利用することができる意匠
　１．工業上利用性
　２．工業上利用性に関する判決例
Ⅱ．新規性
　１．新規性の趣旨
　２．公然知られた意匠に関する判決例
Ⅲ．創作非容易性
　１．創作非容易性の趣旨
　２．新規性の判断との相違
　３．創作非容易性に関する平成10年の改正
　４．創作非容易性の判断
　５．創作非容易性に関する判決例

第３章　類否判断
Ⅰ．審決取消訴訟の類否判断
　１．審決取消訴訟の類否判断の手法
　２．羊羹容器事件に見る類否判断
　３．はとバス事件に見る類否判断
　４．経験則に基づく形態型類否判断
　５．可撓伸縮ホース事件に見る新規性、創作非容易性の判断
　６．帽子事件に見る類否判断
　７．平成18年改正後の類否判断に関する判決例
　８．新規性要件の優先適用
Ⅱ．意匠権侵害訴訟の類否判断
　１．意匠権侵害訴訟の類否判断の手法
　２．意匠権侵害訴訟の類否判断の判決例
Ⅲ．全体観察
　１．全体観察の趣旨
　２．全体観察に関する判決例
Ⅳ．類否判断の主体
　１．平成18年改正の趣旨
　２．類否判断の主体に関する判決例

第４章　要旨認定
Ⅰ．物　品
　１．意匠に係る物品の類似
　２．意匠に係る物品に関する判決例
Ⅱ．形　態
　１．登録意匠の範囲
　２．願書及び願書添付図面
　３．登録意匠の範囲に関する判決例
　４．要旨の変更
　５．要旨の変更に関する判決例
Ⅲ．引用意匠
　１．引用意匠の趣旨
　２．引用意匠に関する判決例

第５章　影響の評価
Ⅰ．基本的構成態様
　１．基本的構成態様の認定
　２．基本的構成態様が類否判断に及ぼす影響
　３．基本的構成態様に関する判決例
　４．基本的構成態様を評価する周辺意匠の評価時点
Ⅱ．要　部
　１．意匠の要部
　２．意匠の要部に関する判決例
Ⅲ．使用態様
　１．意匠の使用態様
　２．意匠の使用態様に関する判決例
Ⅳ．観察方法
　１．意匠の観察方法
　２．意匠の観察方法の関する判決例
Ⅴ．美　感
　１．意匠の美感
　２．意匠の美感に関する判決例
Ⅵ．機能的形態
　１．機能的形態の評価
　２．機能的形態に関する判決例

Ⅶ．公知意匠
　１．公知意匠の参酌
　２．公知意匠の参酌による共通点の評価
　３．公知意匠の参酌による差異点の評価
　４．公知意匠の参酌に関する判決例
　５．両意匠に共通する公知例がロゴマークに相当する場合

第６章　意匠登録出願
Ⅰ．意匠登録を受ける権利
　１．意匠登録を受ける権利の趣旨
　２．意匠登録を受ける権利に関する判決例
Ⅱ．一意匠一出願
　１．一意匠一出願の趣旨
　２．経済産業省令で定める物品の区分
　３．意匠ごとに
　４．一意匠一出願に関する判決例
Ⅲ．先　願
　１．先願主義
　２．先後願の判断における拒絶確定出願等の取扱い
　３．先願の地位を有する意匠登録出願
　４．冒認出願と先願の地位
　５．平成10年改正前の「先願の地位」に関する判決例
　６．自己の本意匠によって拒絶された意匠の「先願の地位」
　７．先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠の保護除外
　８．全体意匠と部分意匠の先後願の判断
Ⅳ．分割出願
　１．分割出願の趣旨
　２．意匠登録出願の分割の手続的要件
　３．完成品から部品又は全体意匠からの部分意匠への分割
　４．分割出願に関する判決例
Ⅴ．変更出願
　１．変更出願の趣旨
　２．出願変更の手続的要件
　３．特許出願又は実用新案登録出願の最初の明細書及び図面
　４・変更出願に関する判決例
Ⅵ．新規性喪失の例外
　１．新規性喪失の例外の規定の趣旨
　２．意匠法４条１項（意に反する公開）の適用
　３．意に反する公開に関する判決例
　４．意匠法４条２項（権利を有する者の行為に起因する公開）の適用
　５．新規性喪失の例外の規定に関する判決例
　　.　公開意匠と出願意匠の同一性
　　.　登録公報掲載文献に関する新規性喪失の例外の規定の適用

第７章　判決例
Ⅰ．創作容易
　１．創作容易と判断された判決例
Ⅱ．創作非容易
　１．創作非容易とされた判決例
　２．例示意匠の公知性と周知性
　３．例示意匠の周知性に関する判決例
Ⅲ．類似と判断された判決例
　１．形態の意匠的価値の評価
Ⅳ，非類似と判断された判決例
　１．意匠の形態的価値の評価

第８章　部分意匠
Ⅰ．部分意匠登録制度
　１．部分意匠登録制度の趣旨
　２．部分意匠の類否判断の手法
　３．部分意匠の類否判断に関する判決例

第９章　審査・審判の手続き
Ⅰ．審　査
　１．審査の方法
　２．包袋禁反言
　３．特徴記載書
Ⅱ．審　判
　１．審判の審理
　２．審判の審理に関する判決例

第10章　意匠権
Ⅰ．意匠権
　１．設定の登録
　２．存続期間
　３．意匠権の効力
　４．意匠権の効力に関する判決例
　５．他人の意匠権との関係
　６．利用に関する判決例
　７．完成品と部品の利用関係
　８．形状に模様を表した意匠の利用関係
　９・特許権、実用新案権との抵触
Ⅱ．実施権
　１・専用実施権
　２．通常実施権
　３．先使用による通常実施権に関する判決例
　４．自由意匠の抗弁、権利濫用の抗弁に関する判決例
　５．先出願による通常実施権
　６．無効審判の請求登録前の実施による通常実施権
　７．意匠権の存続満了後の通常実施権
　８．契約上の信義則違反に関する判決例

第11章　損害賠償
Ⅰ．全体意匠の意匠権
　１．意匠法39条（損害額の推定等）の趣旨
　２．意匠法39条１項（逸失利益）による算定
　３．意匠法39条１項（逸失利益）に関する判決例
　４．意匠法39条２項による算定
　５．意匠法39条２項に関する判決例
　６．意匠法39条３項（実施料相当額）による算定
　７．意匠法39条３項（実施料相当額）に関する判決例
　８．意匠法39条４項の趣旨
Ⅱ．部分意匠
　１．部分意匠の寄与率
　２．部分意匠の寄与率に関する判決例

判決リスト

索　引

著：吉田　親司
1951年北九州市小倉生まれ
1973年九州芸術工科大学芸術工学部（現九州大学芸術工学部）卒。同年特許庁に入庁
1977年審査官。1980年、欧州諸国デザイン保護の調査のため英国に長期滞在
1982年総務部（企画調査室）。1987年、工業所有権研究室
1989年審判部審判官。1997年、審判部審判長
2002年7月に特許庁を辞職し、弁理士登録
2004年弁理士試験委員
現在、鈴榮特許綜合事務所常務顧問、弁理士実務修習講師JPO/IPR知的財産権研修講師