成唯識論要講
玄奘三蔵訳 成唯識論要講 第二巻
護法正義を中心として
著:太田 久紀
内容紹介
〈はしがき〉より抜粋
『成唯識論』は、汚れた人間、迷える人間、おろかな人間、罪深き人間、そういう人間を見極めていった仏教であります。人間がそういう心を持っている限り、『成唯識論』は我々人類に 一つの問題を永遠に呼びかけてくる仏教だと思います。? 本書は、奈良・薬師寺で発行して頂いている『成唯識論抄講』二十巻、『同 重講』十一巻を基にし、それを要約的にまとめたものであります。
? ・・・人間の煩悩、我執、エゴイズムなど、本当は見たくないようなことも『成唯識論』はずけずけと指摘してくる。それを通して私共は私の事実、真実の自己の姿を教えを通して学んでいく。それによって私共一人一人が自分の人生を豊かに養って深く生きていくことが、『成唯識論」に示されている。
『成唯識論」は現実の人生をごまかさないで見つめていきます。
目次
第二巻 目次
第五章 深き〈いのち〉―阿頼耶識
17 伝承にのっとりて―教証
18普遍性に立って―理証
第六章 深き〈利己性〉―末耶識
1恒に審細に働く利己性―末耶識の出体
2利己性の依り所―末耶識の所依
A 種子依
B 俱有依
C 開導依
3利己性の愛するもの―末耶識の所縁
4利己性とは―末耶識の性相
5利己性とともに働く―末耶識と一緒に働く心所
6深い利己性は苦楽を越えて働く―五受分別
7自己を汚す利己性―末耶識の三性
8生きる場所に拘束される―界繋分別
9利己性の転換の位置―伏断分位
第七章 表層の〈こころ〉の構造―前六識
1六識とは―前五識と第六意識
2多くの縁の和合によって現起する―六識の生縁
3六識の働かないことがある―五位無心
第八章 〈こころ〉は一つか―八識俱転・八識一異
第九章 具体的な心理作用の分析―心所
1遍行 4煩悩
2別境 5随煩悩
3善 6不定
索引