旅のタイトルは「ベネルクス3国の蒸機が走る保存鉄道を求めて」 保存鉄道を愛する熟年男の旅は、ベネルクス3国(オランダ・ベルギー・ルクセンブルク)を縦断し、ドイツ/モーゼル川沿いの葡萄畑に囲まれたモーゼルワインの産地で中世の香 りが残るベルンカステル・クースの町が最終目的地となる。本書は、仕事一筋に高度成長時代を生き抜いた定年退職組へのアドバイスとして、趣味を生かしたこれからの大切な10年について、生き方の提案本として見て頂きたい。
あるとき、ドイツの川沿いを走る 自転車道でのこと、遠くから蒸機の汽笛が聞こえ、微かに黒い煙が見える。 自転車のペダルをフル回転し近づくと、ノスタルジックな蒸機がレトロな客車を牽引し通り過ぎる。乗客は皆笑顔で見知らぬ人同士でも友達かのようにお互いに手を振り合うのだ。この光景が保存鉄道に嵌まる第一歩となる。いつの間にかドイツ保存鉄道に夢中となり、蒸機の追いかけをしていた。ふと気付いたことは、国境を接するお隣のベネルクス3国は小国ながら、独自の歴史や文化を持ち、異文化が交差し、芸術やスポーツ分野、食文化に奥深く、またブリュッセルやルクセンブルク市は EU の政治的な中心都市でもあるということだった。そんな響きの良いベネルクスには、どんな保存鉄道が運行しているのだろうか。
オランダからベルギーを経由してルクセンブルクへとベネルクス三国を縦断、新たにロ マンティックな旅を求めて保存鉄道の追いかけを開始した。 オランダとベルギーではノス タルジックな蒸機やディーゼル機関車、レールバス等が運行されている保存鉄道、レトロ な路面電車を求めてトラム博物館、ルクセンブルクでは鉱山鉄道にも訪れる機会があった。保存鉄道は7月と8月のサマーシーズンには週末だけの特別運行に加えて平日に も運行される鉄道があるので、効率よく訪れることが可能だ。あちらに行ったりこちらに来たりと弾丸旅となりそうだが。おまけはドイツ/フランクフルトから出発しデュッセルドルフを経由して左回りにベネルクス3国を縦断した後、ドイツ/モーゼル川沿いのワイン畑に囲まれた町ベルンカステル・クースを訪れた際には、モーゼル川自転車道と廃線自転車道 もポタリング。 最後はフランクフルトに戻るという周遊旅プランとした。保存鉄道を追いかけた一人旅の足跡を振り返ってみよう