幽明譚
著:中村邦生
紙版
内容紹介
なつかしい場所を訪ねてはいけない
神田川をさかのぼり、記憶をたどると、あやしく〈過去〉が立ち現れる。
〈過去〉もまた、異界めぐりの時空なのだ。
ドキュメントと夢想のまにまに、変幻する私はどこへ。
あやかしの自伝小説、登場。
目次
Ⅰ 水にさそわれて
1 運不運のみぎわ――柳橋
2 思いめぐる、よどみ――浅草橋
3 もののけ、ようこそ――お茶の水橋
Ⅱ なつかしい場所を訪ねてはいけない
1 マスク――小桜橋
2 芭蕉とクリストフォロス異聞――駒塚橋
3 日比谷公会堂と靴下と――豊橋・中之橋
4 あの望遠鏡がほしかった――宮下橋
5 この事件、語りえることはない――錦橋
6 名言床屋さん――清水橋
7 オレンジ色の少女と夜学生――寿橋・高砂橋
Ⅲ パラレル縁起譚
1 夜の果て――淀橋
2 黄昏の果て――姿不見橋
Ⅳ ホーム・カミング
1 午睡の部屋――八王子霊園
2 ホームの少年たち――川崎市蟹ヶ谷
3 誰からの電話だったのか――兵庫橋
4 また一人現れた――緑橋
5 もっと音を大きくしてください――新世界
6 シマウマ模様のような――久我山
7 ネヴァ川からどこへ――井の頭池