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フーゴ・フォン・チューディ

著:仲間裕子

紙版

内容紹介

ドイツ美術のアイデンティティを希求することが排外主義と容易に結びつく世紀転換期のベルリンにおいて、いち早くフランス印象主義を評価し、パリに先駆けてその作品を収集した、一人の美術館人がいた――。
普仏戦争と第一次世界大戦のはざまで、高まるナショナリズムや皇帝からの圧力、芸術アカデミーの保守主義に対し、精緻な美術史研究にもとづく鑑識眼と独自のネットワークを武器に闘い、新たなドイツ美術の礎を築いた〈モダニズムの殉教者〉の姿を力強く描き出す。

目次



第一章 ベルリン、ナショナル・ギャラリー館長就任まで

第二章 世紀転換期のベルリンとモダニズムの台頭
 マックス・リーバーマンとベルリン分離派
 ユリウス・マイアー゠グレーフェと『近代美術発展史』
 パウル・カッシーラーの画廊と出版社
 パトロンとコレクター

第三章 ナショナル・ギャラリー――モダニズムとナショナリズムのはざまで
 ナショナリズムの表象装置
 チューディのモダニズム改革
 「ドイツ美術の百年展」(一九〇六年)
 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの再発見

第四章 バイエルン州立絵画館――チューディが遺したもの
 アルテ・ピナコテークの改革
 「青騎士」への支援
 『ドイツ人芸術家の抗議』(一九一一年)

第五章 チューディのモダニズムと日本
 ベルリンのジャポニズム
 「刺繍屏風」と京都
 ゴッホの《坊主としての自画像》




主要参考文献
図版一覧

あとがき

著者略歴

著:仲間裕子
1953年生まれ。ベルリン自由大学美術史研究所への留学を経て大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。立命館大学名誉教授。専攻、西洋美術史、美学。主な著書に『C・D・フリードリヒ 《画家のアトリエからの眺め》――視覚と思考の近代』(2007年)、『自然の知覚――風景の構築 グローバル・パースペクティヴ』(共編著、2014年)、『風景の人間学――自然と都市、そして記憶の表象』(共編著、2020年、いずれも三元社)、Caspar David Friedrich und dieRomantische Tradition, Moderne des Sehens und Denken, Reimer Verlag, Berlin, 2011、主な訳書にハンス・ベルティンク『イメージ人類学』(平凡社、2014年)などがある。

ISBN:9784801006331
出版社:水声社
判型:A5
ページ数:252ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AGA