ローリーの『シンシア』
著:櫻井正一郎
内容紹介
女王への別れと愛。
16世紀イギリスの高名な武人にして詩人のウォルター・ローリーがエリザベスⅠ世(=シンシア)の寵愛をうけ、突然それを失った苦悩を、ロンドン塔収監の失意のなかで、女王への賛美、諷刺、悲哀を織りまぜ昇華させた中篇詩『シンシア』。その詳細な評釈。
目次
まえがき
序説
はじめに/幻の歌/題名/作品の完成度/題材/讃美と批難――女王の問題/二つの結論/悲しみの語られ方――「準ソネット・シークェンス(連作)」による/断片の集まりか?/秘密結婚/一つ前の不遇(一五八九)/執筆の時期/語彙について/エピグラムとパストラル/控えめの表現――ローリー詩の特徴(1)/たくさんの心象の働き――ローリー詩の特徴(2)/地上重視――ローリー詩の特徴(3)/大戦詩に似ている――ローリー詩の特徴(4)/ローリー詩の僥倖――ローリー詩の特徴(5)/『シンシア』研究史
第一部 『シンシア』――悲しみを吸う蜜蜂
第一章 訳と評釈
第二章 結末部の詩
1 蜜蜂が羊に、蜜が若草に
2 庭園に似ている
3 諸家の見方
第三章 予告と展開――構想をたどる
第四章 動機
1 セシルの助けを求めて
2 単独者への道
第二部 『続シンシア』その他――人骨につく苔・苦しみ
第一章 『シンシア』まで
1 ソネット「悲しみだけが残った」――やがて育つ萌芽
2 バラッド「変化の女神があなたを奪った」――『シンシア』を懐胎する
第二章 『続シンシア』その他
1 「序詞」――創られた狂気の有様
2 ソネット「身体は壁の中に閉じ込められているから」――『シンシア』の広告版
3 『続シンシア』――人骨につく苔・苦しみ
4 「エピローグ」――悲しみだけがそれを書ける
第三章 『アン王妃への請願』(一六〇三)
1 訳と評釈
2 総括――苦しみも尽きる
結語
ローリー詩の性質/『シンシア』を作っているたくさんのジャンル/苦しみが 永劫の 定め――詩と散文と実生活/二つの結論と「王の二つの身体」/ローリーの天国/グリーンブラットとエミリス・ジョウンズ
ローリー年譜
主な参考書
図版出典一覧
索引
あとがき
ISBN:9784801006201
。出版社:水声社
。判型:A5
。ページ数:337ページ
。定価:5000円(本体)
。発行年月日:2022年03月
。発売日:2022年02月25日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DC。