人類学の転回
わたしの声
一人称単数について
著:アルフォンソ・リンギス
訳:水野友美子 小林耕二
内容紹介
こだまするリトルネロ
ことばによって、来るべき未来の幻に身をゆだね、計算や利害の支配する世界と訣別すること――。哲学、言語学、人類学、精神分析を横断しながら、かけがえのない〈わたし〉の存在をめぐる旅へ。
《わたしたちはひそかに、自分たちにはだれかのために差しだすキスや配慮があることを知っている。世の恋人たちがいまだかつて差しだしたことのない、優しさや興奮があることを知っている。わたしたちは高揚のなかで、いまだかつてだれも踊ったことのないダンスを踊れるよう自身の身体を鍛え鼓舞するだけの、強靱さと精神を持ち合わせていることを確かに感じとる。心のなかで、自分たちには革命にともなうあらゆる危険、失敗、残忍さに耐える心情や度胸があることを感じている。》(本書より)
目次
目次】
Ⅰ ここにいること
1 存在することの偶然
2 わたしはどのようにしてここに存在することになったのか
3 わたしのいるところ
Ⅱ 声
4 接触する声
5 探索する声
6 体系化し、命令することば
Ⅲ 誓いのことば
7 重要なものと差し迫ったもの
8 わたしは……である
Ⅳ ヴィジョンズ
9 幻想の身体
10 予言のことば
Ⅴ わたしの物語
11 年代記と物語
12 伝説的な場所
13 傷とことば
Ⅵ 他者を認め、あなたに触れる
14 認識
15 コンタクト
16 あなた
17 強い絆
Ⅶ 言わなければならないこと
18 周知のこと
19 言うべきとき
20 自分自身に言うべきこと
21 想像すべきこと
Ⅷ わたしの声
22 自分の声を見出すこと
23 代弁する声
24 失墜
25 知ることと認めること
Ⅸ 不名誉
26 自分自身に不誠実であること
27 職業的不名誉
28 確立された不名誉
Ⅹ パーリアたち
29 見捨てられる名誉
原註
写真について
訳者あとがき