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9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」

著:橋本之克

紙版

内容紹介

マスクやトイレットペーパーの買いだめは損する?
即ポチや衝動買いで損する前に必要な手立ては何?
サブスクやフリマアプリって、本当に得してるの?

コロナの影響を受けて経済活動が大幅に縮小し、
そもそも消費増税で国内消費も大きく落ち込む中、
モノを買うことに対する損得感情は、ますます大きくなっています。

大勢の人が、9割の買い物で損している

たとえば、不安から生活必需品を買い占めたものの、
それらを置く場所に困り、そのうち市場で供給が回復された。
安心できたのは最初の一瞬だけで、結果的にモヤモヤするケース。

あるいは、最初は元を取る以上にサブスクを利用していたが、
そのうちあまり使わなくなり、でも解約しようともせず、
使い放題が払い放題になってしまい、これまた大損しているケースです。

こういう例は枚挙に暇がありません。
なぜ、多くの人が買い物で損してしまうのでしょうか?

買い物のプロセスは多くの人にとって実は難しすぎる

買い物は、数ある商品やサービスの中から、何を買い、
いくら払って、用途はどうするかを選択していくもの。
つまり選択の連続を経て、モノを入手する行為です。

このプロセスを誤らせる情報は少なくないですし、
時には売り手が意図的に紛れ込ませていることもあります。

また、人はもともと心理的な弱点を持ち合わせていますが、
多くの人々が自分たちの弱点を自覚していません。
そのため、自ら損する行為を選んでしまうのです。

行動経済学が、あなたを「ダメな買い物」から遠ざける

「よりよい買い物」をおこなうための武器として、
本書では、今すぐ使える行動経済学の知識をご紹介します。

行動経済学とは、心理学の要素を取り入れた新しい経済学の分野で、
近年では世界中から注目されている学問です。

本書では、行動経済学の理論をわかりやすく紹介します。
人間心理の弱点をテーマに即して丁寧に解説し、
具体的に取るべき行動まで提案しました。

ネットでの買い物に困った経験のある人や、
二度と買い物で損したくない人、買い物時の選択に自信がない人、
家や保険などの購入を控えている人は、ぜひ本書をご一読ください。
行動経済学という武器が、「ダメな買い物」から守ってくれます。

【もくじ】
第1章 ネットの買い物で失敗しないコツとは?
    ~便利そうで意外と不便? リアルより得するおススメの買い方
第2章 「損したくない」という人ほど損している
    ~「損した」と思うと、その2倍は「得した」気分が必要になる
第3章 買い物での選択で間違えないポイント
    ~「どうしようかな?」と迷ったときに頼れるエビデンス
第4章 絶対に後悔したくない「大きい買い物」
    ~家、保険、ギャンブル……大金が動くときに使える知識

目次

第1章 ネットの買い物で失敗しないコツとは?
    ~便利そうで意外と不便? リアルより得するおススメの買い方

ネット情報を見すぎると損することがある
  脳の疲労はネットからの情報収集が原因?
  どれだけネットを見続けても情報不足に陥る
  「確証バイアス」で自分に都合のいい情報だけを集める
  キリがない! 情報収集にかける時間は区切ろう

「気に入らなかったら返品無料」にだまされない
  カリスマ店員からインフルエンサーへ
  「無料」という言葉が持つインパクト
  「保有効果」により手放すことが惜しくなる
  「返報性の原理」で返品を申し訳なく思う
  アマゾンのプライム・ワードローブに見る「新しい買い物」

即ポチとは「一瞬で買わされている」ということ
  お金を安く感じる「メンタル・アカウンティング」
  「買い物しよう」という意識さえない
  不都合な情報をスルーする「確証バイアス」
  即ポチする前の「一呼吸」で冷静になれる

その定期購入、じつは大いなるムダでは?
  「ここでやめたらもったいない!」と思う心理
  売り手の〝全力〟かつ〝丁寧すぎる〟フォロー
  今やダイレクトマーケティングはテレビでも常識
  「損失回避」と「保有効果」で買い手を惑わす
  初回無料からの「現状維持バイアス」で結果カモに
  売り手の都合で買い続けていないかを考えよう

有名人のおススメや食べログの星は信じていいの?
  ネット・クチコミは量も種類も増え続けている
  「ウィンザー効果」「ハロー効果」が判断を狂わす
  「バンドワゴン効果」で多数派に乗りたくなる
  芸能人のクチコミだからって簡単に信じない
 
メルカリで損しないため、楽しく使うために
  「ブレークイーブン効果」で含み損を過大評価する
  買い手には掘り出し物を探す楽しさが魅力になる
  リユースと副業・ギグワークのニーズを満たす
  「転売ヤー」を規制するか否かは運営者次第
  ノジマの取り組みに見る「パーパス」の重要性
  見られているように感じるだけで不正は減る
  「ナッジ」が不正転売の抑止力になる
  買い手が「いい売り場づくり」に貢献できる

使い放題のサブスクは、お金の支払い放題でもある
  「手間がかからない楽」に潜む落とし穴
  「サンクコスト効果」と「認知的不協和」の影響
  「安さ」に惹かれず、「支払っている」認識を持つ
  支払い状況はネットではなく紙でチェックしよう
  どんなときにサブスクを利用するべきか?
  売り手が「払い放題」を放置しないメリットとは?

第2章 「損したくない」という人ほど損している
    ~「損した」と思うと、その2倍は「得した」気分が必要になる

セール時のまとめ買いは本当に得なのか?
  お得なはずの「まとめ買い」で損していることも
  損することを恐れて、まとめ買いしすぎてしまう
  「損失回避」から「買わなきゃ損」と思わされる
 
「安いから」で買うことが、そもそもおかしい
  買うか否か迷っているだけで「損失回避」が働く
  「安さ」を演出されて売り手の罠に陥る?
  「安かろう悪かろう」の決めつけも無理がある
  値段を購入のメイン基準にするべきではない
  自分に必要か、合っているかで決めよう

「ついでにこれも」ではもう買わない!
  「感応度逓減性」によって人は変化に慣れる
  新たな損には厳しくても「ついで」では許せる
  「お得感」を細かく分けて買わされている?
  損得をまとめるか分けるか、状況に応じて判断

「食べられないブドウ」は酸っぱいに違いない
  なぜすでに買った商品のことを調べるのか?
  「認知的不協和」を強引にでも解消したキツネ
  「自分へのご褒美」も認知的不協和の影響
  購入後に失敗に気づいても認められない心理
  「一貫性の原理」を活用する営業マンのやり口
  認知的不協和の不快感は今後につながるアラート

衝動買いして結果的に得することはあるか?
  今すぐ欲しいという心理に働く「時間割引率」
  衝動買いを防ぎたい人は時間割引率を意識して
  そもそも衝動買いは悪いことなのか?
  買い物のプロセスをコントロールしよう
  「AIDMA理論」を活用して買い物の質を上げる

酒と煙草もムダではない。本当のムダとは……
  「酒や煙草は健康とお金のムダ」は本当か
  酒や煙草をやめればいい、わけではない
  「習慣的な買い物」は散財につながる

第3章 買い物での選択で間違えないポイント
    ~「どうしようかな?」と迷ったときに頼れるエビデンス

ポイントカードは作るべき? 作らないほうがいい?
  ポイントカードは割引には勝てない
  なぜ「同じ10%割引だ」と思ってしまうのか?
  ポイントを貯めることより崇高な目的がある
 
選択肢を広げすぎるとわが首を絞める
  マクドナルドも「決定麻痺」の罠にハマった
  貧しい理由は「決断疲れ」も一因?
  最終的には直感にしたがうのもアリ
  選択肢を減らし、選択する回数も減らす
 
「仕掛けられた三択」で望まぬ買い物をしている
  「3」がマジックナンバーと呼ばれる所以
  「極端回避性」により人は中間を選んでしまう
  売り手任せではなく自分で選択肢を作ろう
  ネットを活用して「自分のための選択肢」を作る
  大事なものは値段よりも「時間」と「労力」
 
生活必需品の買いだめは正しい? 正しくない?
  繰り返されたトイレットペーパーの買いだめ騒ぎ
  人が単純な誘惑に負けるのはどんなとき?
  「後悔の回避」を求めて積極的に動いてしまう
  買いだめするべきではない重大な理由とは?
  買えない不安よりも他者を思う気持ちを考えて

第4章 絶対に後悔したくない「大きい買い物」
    ~家、保険、ギャンブル……大金が動くときに使える知識

それでも本当にマイホームが欲しいですか?
  「いい家」を買うことを難しくさせる「経路依存症」
  なぜ新築より中古住宅のほうがいいのか?
  「イケア効果」で自分だけの家に住める
  古い習慣や常識に流されやすい4つの理由
  「いい家」に住みたい人が確認すべき3つの条件
 
「いつ、どんな物件を買えば得するか」を検討する
  耐久消費財は自分のスタイルに合わせて買う
  54年後の将来まで考えて家を買っているか?
  「投影バイアス」「解釈レベル理論」による影響
  家の売り手は刹那的な商習慣を保っている
  そもそも本当にあなたは家が欲しいですか?

住宅ローンによる損失額を正しく把握する
  住宅ローンはサラ金と一緒?
  貯金するより住宅ローンのほうが家は買える
  返済額より借入額を見て判断するリスク
  「計画錯誤」により甘い見積もりをしてしまう
  行動経済学の知識を活用してリスク軽減を
 
保険に入りすぎて節約できないのは「保険文脈」のせい
  「確実性効果」が保険の加入率を上げている
  なぜ保険という商品はわかりにくいのか?
  生命保険の比較的「いい買い方」とは?
  最良のライフプランナーを見つけるためには……
 
ギャンブルも宝くじも大金を使うに値しない
  多くの人がギャンブルや宝くじを見誤っている
  「感情ヒューリスティック」「比率バイアス」の悪影響
  「確実性効果」がギャンブルや宝くじに走らせる?
  「コントロール幻想」で自信過剰になってしまう
  競馬や競艇は「イケア効果」でハマりやすい
  「ツァイガルニク効果」でやめられなくなる
  せっかく勝ってもムダになる「ハウスマネー効果」

著者略歴

著:橋本之克
橋本之克(はしもと・ゆきかつ)
マーケティング&ブランディングディレクター、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店を経て1995年、日本総合研究所入社。環境エネルギー分野を中心に、官民共同による研究事業組織コンソーシアムの組成運営、自治体や企業向けのコンサルティング業務をおこなう。1998年、アサツーディ・ケイ入社後、戦略プランナーとして金融・不動産・環境エネルギー業界等多様な業界で顧客獲得業務を実施。2019年、独立。現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。
著書に『9割の人間は行動経済学のカモである――非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす』『9割の損は行動経済学でサケられる――非合理な行動を避け、幸福な人間に変わる』(ともに経済界)、『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令出版)、『モノは感情に売れ! 』(PHP研究所)などがある。
【連絡先】hasimotoyukikatu@gmail.com

ISBN:9784798062938
出版社:秀和システム
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2021年09月
発売日:2021年09月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJS