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中国人は日本の何に魅かれているのか 日中共存の未来図

著:近藤 大介

紙版

内容紹介

 2020年1月に明らかになった新型コロナウイルス騒動は、中国経済を直撃しました。それまで「アメリカに追いつけ追い越せ」と邁進してきた中国経済が、完全に腰折れしてしまったのです。(……)
 このように、2012年11月の第18回中国共産党大会で始動した習近平体制が、発足から7年を経て、最大のピンチを迎えたわけです。
 もちろん、日本にとって中国は、全貿易の21・4パーセントを占める(2018年)最大の貿易相手国なので、日本経済をも直撃しました。また日本でも少なからぬ新型コロナウイルスの被害者が出たため、その経済に対する影響も少なくありません。しかしながら発生源の中国は、日本の何倍もの打撃を受けたのです。
 中国にとって、世界一の経済大国であるアメリカは、貿易摩擦を始めとする覇権争いがあって頼れません。そうなると、中国が最も頼りにするのは、世界第3位の経済大国であり、隣国でもある日本です。
 今後、一時的なことではあるでしょうが、日中関係は、かつての「中国が日本を頼る日中関係」に戻っていく可能性があります。すなわち日本としては、もしくは日本企業としては、中国政府や中国企業にモノが言いやすくなるということです。経済的には日本も日本企業も打撃を受けますが、ぜひ中国との「新たな関係作り」に取り組んでいってほしいと思います。(本文より)

【章目次】
第1章 〝和食〟の旨さに目覚めた中国人
第2章 日本の本が中国で読まれる理由
第3章 マンガとアニメは〝日本に追いつけ、追い越せ〟
第4章 〝旧き良きアジア〟としての日本旅行
第5章 日本の技術は中国企業の生命線

目次

 はじめに
第1章 〝和食〟の旨さに目覚めた中国人
  中国大都市の日本食ブーム
  第1次日本料理ブームは1995年
  ビザ解禁から広まった第2次日本食ブーム
  セブン‐イレブンの功績
  日本ブランドを隠して成功した吉野家
  中国人が絶賛する六花亭の「バターサンド」
  中国の酒文化は「武器」だった
  5万円の「獺祭」も大人気

第2章 日本の本が中国で読まれる理由
  北京五輪後、世界中の富が押し寄せた中国
  村上春樹は中国でなぜ読まれるか
  「性愛大師」渡辺淳一
  ミステリーブームを牽引した東野圭吾
  自国にはない日本の「平穏」に魅かれる中国人
  中国語作品の邦訳にはいまだ壁がある

第3章 マンガとアニメは〝日本に追いつけ、追い越せ〟
  「クレヨンしんちゃんは胡錦濤より有名」
  中国発の「マンガ講座」開講秘話
  アニメ技術の日中差
  「日中合作」という奇策
  コンテンツ産業を活気づかせるBATH
  日本への逆輸入

第4章 〝旧き良きアジア〟としての日本旅行
  驚愕だった「爆買い」
  日本の不動産を買って金品宝飾を隠す中国人
  中国人旅行者の経済効果は2兆円
  北海道旅行の大ブーム
  「肺を洗う旅」
  大阪がナンバーワン人気スポット
  「20世紀観光」としての日本旅行

第5章 日本の技術は中国企業の生命線
  日本に賠償金を求めなかった中国
  5度の日中経済ブーム
  「日中逆転」を中国では「回帰」と呼ぶ
  アリババが有する世界最大のビッグデータ
  いまや国民的行事となった「ダブル・イレブン」(11月11日)
  実店舗経営に乗り出したアリババ
  日本が大好きな任正非・ファーウェイCEO
  日本企業の技術はファーウェイの生命線
おわりに

著者略歴

著:近藤 大介
近藤大介(こんどう だいすけ)
1965年埼玉県出身。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社『週刊現代』特別編集委員、『現代ビジネス』中国問題コラムニスト。明治大学国際日本学部講師(東アジア国際関係論)。2009年から2012年まで、講談社北京副社長。『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)、『習近平と米中衝突』(NHK出版新書)、『二〇二五年、日中企業格差』(PHP新書)、『未来の中国年表』『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』(以上、講談社現代新書)など著書多数。

ISBN:9784798060842
出版社:秀和システム
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS