『法と哲学 第9号』
井上達夫 責任編集
〈目 次〉
【巻頭言】 ウクライナ戦争再説 ― 侵略者に褒美を与えても,持続可能な平和は実現しない/井上達夫
◆特集 結婚の法と哲学
◇1 〈特集〉にあたって 家族法は結婚から撤退すべきか/山田八千子
Ⅰ はじめに―企画趣旨にかえて(38)
Ⅱ 反婚もしくは最小の結婚(40)
Ⅲ 標準的な家族モデルの問題点とその解消法(44)
Ⅳ 結婚・家族と親密圏との奇妙な関係(50)
Ⅴ 本特集の構成について(52)
Ⅵ 家族法が撤退した後に―むすびにかえて(57)
◇2 暇人の暇な問い―法律婚や嫡出推定って,変じゃね?/安念潤司
Ⅰ 法律婚って,変じゃね?(60)
Ⅱ 嫡出推定って,変じゃね?(68)
Ⅲ 結論―法律婚や嫡出推定って,変じゃね?(81)
◇3 民法から婚姻を削除するとどうなるか―民法における婚姻の機能とその代替可能性/大島梨沙
Ⅰ はじめに(84)
Ⅱ 現行法の他の制度によって一定の代替が可能だと思われるもの(89)
Ⅲ 何らかの新たな立法が必要ではないかと思われるもの(97)
Ⅳ おわりに―その先の可能性(104)
◇4 熟議的な結婚/田村哲樹
序 論(108)
Ⅰ 基本的な考え方(110)
Ⅱ それは何ではないのか?(117)
Ⅲ 予想される批判への応答(120)
結 論(125)
◇5 「結婚でないもの」とは何か/池田弘乃
Ⅰ 結婚の本義を説かず(130)
Ⅱ あれも結婚,これも結婚(133)
Ⅲ 結婚から離れて(140)
◇6 家族主義の再生産装置としての〈結婚〉―クィア神学からの批判的考察/堀江有里
Ⅰ 問題の所在―表出する同性愛嫌悪,イデオロギーとしての家族主義(146)
Ⅱ 〈宗教右派〉と家族主義(149)
Ⅲ 家族主義を基軸とする異種協働(152)
Ⅳ 制度的「結婚」とは何か―天皇制国家と戸籍制度(157)
Ⅴ むすびにかえて―家族制度を解体せよ!(162)
【一般論説】
◇1 人権としての国境を越えた移住の自由―公平に開かれた国境政策/浦山聖子
Ⅰ はじめに(166)
Ⅱ 移動と移住の区別の必要性(169)
Ⅲ 人権としての国境を越えた移住の自由の保障の正当化(172)
Ⅳ 人権としての国境を越えた移住の自由論の規範的含意―公平に開かれた国境政策(180)
Ⅴ 批判と応答(185)
Ⅵ おわりに(189)
◇2 それでも正は善に対して優先する―〈非対称性の反論〉をめぐる論争を中心に/田中将人
Ⅰ 問題の所在―〈正の優先性テーゼ〉と〈非対称性の反論〉(194)
Ⅱ クォンによる〈正の優先性テーゼ〉の擁護―二つの不一致概念の分節化(197)
Ⅲ 〈非対称性の反論〉からの三つの再反論(200)
Ⅳ それでも正は善に対して優先する(208)
Ⅴ 結 論(218)
【書評と応答】
◇1 民主主義の二つの〈他者〉―山崎望氏の書評への応答/宇野重規
Ⅰ は じ め に(224)
Ⅱ 少数者支配と民主主義(224)
Ⅲ 暴力と民主主義(228)
Ⅳ オルタナティブな民主主義の可能性(231)
◇2 法哲学はどう面白いか―山田八千子「法哲学は面白いのか」への応答/森村 進
Ⅰ 法哲学の面白さ(234)
Ⅱ 自己所有権原理,特にロック的労働所有論(237)
Ⅲ 国家からの自由,特に移動の自由(239)
Ⅳ 還元主義的人格観(240)
◇3 法哲学なんて,ただの飾りです……か?―書評への応答/住吉雅美
はじめに(244)
Ⅰ 法哲学にあって実定法学にないものは?(245)
Ⅱ 法哲学はなぜ「あぶない」のか?(247)
Ⅲ 書評への謝辞と異議(249)
Ⅳ 「悪魔の法哲学」は,逆説的法解釈にとどまらない(252)
◇4 たぶん多様性自体にはたいした価値はない―若松良樹『醜い自由』書評/江口 聡
Ⅰ 「醜い」自由,他者危害原理,パターナリズム(256)
Ⅱ パターナリズムに対する三つの批判論(261)
Ⅲ 最終の判断者論(264)
Ⅳ 卓越性と反パターナリズム(270)
Ⅴ 多様性そのものの価値(273)
Ⅵ 「多様性」だけでは十分ではない(278)
Ⅶ おわりに:ふたたび「醜い」自由とは?(286)
◇5 規範・写像・義務論理―井上達夫『規範と法命題』(木鐸社,2021年)/高橋文彦
Ⅰ はじめに(290)
Ⅱ 本稿で取り上げる三つの疑問点(290)
Ⅲ 「規範的事態」と「写像」(291)
Ⅳ 規範様相の意味論(297)
Ⅴ 「評価命題」と「規範命題」の関係(299)
◇6【書評】 表出主義から見た非認識説批判と認識説擁護―井上達夫『規範と法命題』の批判的検討/杉本俊介
Ⅰ は じ め に(304)
Ⅱ 非認識説に対する著者の批判の検討(305)
Ⅲ 評者が支持する非認識説(307)
Ⅳ 著者が支持する認識説の問題点(309)
◇7【書評】 井上達夫『規範と法命題』/湯浅正彦