『企業の危機管理―実践理論の構築を目指して』
奈良 武(公立鳥取環境大学名誉教授) 著
【目 次】
はじめに
第1章 危機管理研究と企業実務
1 危機管理研究の現状
2 保険理論と二分論は企業の危機管理に不向き
3 視座と主要な論点
4 企業が必要とする四つの道具
第2章 実践重視の理論
1 実践理論の意義
2 危機管理は陰の経営管理
3 危機管理の内容
4 組織に脆弱性が存在する
5 企業人にも脆弱性が存在する
6 避ける危険と取る危険の二つに切り分ける
7 危機管理は理想通りに進められない
第3章 非常時の場面は厳しい
1 非常時の態様
2 外的非常時の発生要件と対応方法
3 非常時では危機管理の考え方が優先する
4 現場責任者の厳しさ難しさ
5 危機管理能力の獲得方法
第4章 危険と危機を学ぶと幸福になれる
1 危機管理研究の仮説
2 幸福と損失の考え方
3 専門職に頼るものと自分で対処するもの
4 ヒトの心理に危険と危機の忌避的意識が潜んでいる
5 主観的認識型から客観的認識型への切り替え
6 間接的認識法から直接的認識法への移行
7 ヒトの心理を理解する
第5章 原理原則と考え方を学ぶ
1 安全と安心は異なる言葉
2 危険が化身して危機になる
3 歳月の流れの中で危険と危機をとらえる
4 危機管理は最悪に備えよ
第6章 危機管理の要諦は危険統制にあり
1 危険は広い概念である
2 危険因子が危険を発生させる
3 企業人の発生させた危険は外部に排出される
4 無理強いと不用意な対応が危険を発生させる
5 組織統率者の過度な指揮命令が危険を発生させる
第7章 利益あるところに危険あり
1 危険ゼロは幻想でしかない
2 経営判断の原則が優先される
3 合理化は危険を減少させる
4 危険の配分は等しいか?
第8章 危険には純粋リスクと投機的リスクの二つある
1 危険を数字でとらえることの是非
2 純粋リスクとは数字でとらえられる危険
3 投機的リスクとは数字でとらえられない危険
4 数字の便利さに惑わされてはならない
5 定性的評価が優先する
6 最終判断は数字に頼ってはならない
第9章 危険を等身大でとらえる
1 管理会計を利用する
2 事業計画は企業人の心理のルツボ
3 未来予測は過去の分析に始まる
4 変化には危険をともなう
5 あり得ることは起こる、思いつきもしない事象も起こる
第10章 平常時と非常時で思考方法と行動様式が変わる
1 平常時には何も起こっていない
2 非常時は個別具体的活動
3 もしかしてと考え、まさかと考えてはならない
4 禁断の地を侵すな、違法行為をするな
第11章 危険化身過程を解明する
1 因果関係の意義
2 危険化身過程の解明作業の進め方
3 危険物語を編纂する
4 危険化身過程の解明と危機管理活動の展開の関係
第12章 経済環境の変化
1 経済環境の変化の意義
2 プラザ合意で日本の経済環境は大きく変化した
3 組織統率者は下請企業の倒産を予測できた
4 経済環境をとらえる方法
5 低成長の先に何があるか
第13章 危機管理責任者の育成
1 危機管理責任者は部長級専門職
2 人材の要件
3 危機対応の基本姿勢を身に付ける
第14章 新型コロナウイルスの脅威
1 新型コロナウイルスから命を守る
2 危機の除去作業の論点
3 医療体制の脆弱性
4 鎮静化後の社会活動正常化
5 注目すべき国際問題
第15章 ロシアのウクライナ侵攻事件と供給網
1 ウクライナ侵攻事件の背景
2 グローバル化の終焉
3 国際社会のブロック化
4 危機管理の視点
5 供給網の脆弱性
6 中国事業の縮小