『フランス民法の伝統と革新 Ⅰ— 総論と家族・債務』
ローラン・ルヴヌール/サビーヌ・マゾーM=ルヴヌール/マリ・ルヴヌール=アゼマール 著
水野紀子・大村敦志 監訳
【目 次】
・はしがき/水野紀子
◆第Ⅰ部 総 論◆
◆1 フランス民法典とヨーロッパ人権条約・ヨーロッパ統合〔ローラン・ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ 民法典とヨーロッパ人権条約
A うまくいかなかった最初の試練―不適切な対応
B 仕組まれた第2の試練
C 将 来
Ⅱ 民法典とヨーロッパ統合
A 共同体指令の民法典への移し換え―最初の2例
B 将 来
◆2 良き法律家―フランス人の観念とその養成における大学の役割〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔金山直樹訳〕〕
Ⅰ 良き法律家
A 知識があり、理解している
B 説明し、助言を与える
C 規範の価値を評価し、改善を提案する
Ⅱ 大学の役割
A 知 識
B 方 法
◆3 現代フランスにおける民法の法典化および再法典化―国会、執行府および大学教授の役割〔ローラン・ルヴヌール〔幡野弘樹訳〕〕
Ⅰ 公権力の役割
A 執 行 府
B 国 会
Ⅱ 大学教授の役割
A 立法準備作業に参加する大学教授
B 大学教授たちの主導性
◆4 グローバリゼーション時代における民法研究所―日韓法律家の受け入れ〔ローラン・ルヴヌール〔大澤逸平訳〕〕
Ⅰ 民法研究所の概略
A 起源と使命
B 得られた結果
Ⅱ 外国、とりわけ日本及び韓国の法律家の受け入れ
A 博士課程学生の受け入れ
B 他の法律家の受け入れ
◆5 レオン・ジュリオ・ド・ラ・モランディエールとレオン・マゾー―日本の友人である二人の大法律家〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール/マリ・ルヴヌール゠アゼマール〔平野秀文訳〕〕
Ⅰ 人となり
A レオン・ジュリオ・ド・ラ・モランディエール、人となり
B レオン・マゾー、人となり
Ⅱ 職業生活
A レオン・ジュリオ・ド・ラ・モランディエール、大学教授にして立法家
B レオン・マゾー、大学教授・研究者
Ⅲ 日本での経験
A 日本におけるレオン・ジュリオ・ド・ラ・モランディエール
B 日本におけるレオン・マゾー
結 語
◆6 海外フランスにおける地方法〔ローラン・ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
序 論
Ⅰ 海外自治体における地方法―重要な地位
A 海外自治体における国と自治体の権限配分
B 立法的特殊性の原則
Ⅱ 海外県における地方法―制限的な、しかし、増大しつつある地位
A グアドループ、ギアナ、マルチニック、レユニオンの場合
B マイヨットの場合
◆7 アルザス゠モーゼルにおける不動産登記の地方法〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
◆第Ⅱ部 家 族◆
◆8 個人主義と家族法〔サビーヌ・マゾー=ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ カップルと個人主義
A 家族の誕生
B 家族の消滅
Ⅱ 家族生活と個人主義
A カップルの中で
B 親と子の間で
《付録》1999年11月15日法によるパクス(PACS=pacte civil de solidalité)に関する補足メモ
◆9 フランス家族法におけるグローバリゼーションの現れ〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ 他国の法との接近によるグローバリゼーション
A 家族の氏
B 離 婚
C 親子関係
Ⅱ 統一的なルールの採択によるグローバリゼーション
A 国際遺言
B 「緑書=グリーンペーパー」
結 論
◆10 フランス国内法における異なる配偶形態間の競合〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ 当初における結合の締結
Ⅱ カップルとしての生活
A 財産的関係
B 非財産的関係
Ⅲ 関係の解消
A 意思に基づく離別
B 死 亡
◆11 フランス法の完全養子の特殊性―国際養子縁組への障害?〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔大澤逸平訳〕〕
序
Ⅰ フランスにおける完全養子の特殊性
A 実方家族との完全な切断
B 様々な形態の家族への開放
Ⅱ 国際的養子縁組の可能性の帰結
A 外国における養子のとらえ方を斟酌することの必要性
B フランスにおける国際養子縁組数の減少
結
◆12 法律による同性カップルへの婚姻の開放―ヨーロッパ的現象か?〔ローラン・ルヴヌール〔大澤彩訳〕〕
Ⅰ フランスにおける2013年5月17日の法律
A 婚姻概念の修正
B 子の問題
Ⅱ ヨーロッパ的な現象か?
A 同性間の婚姻を認めているヨーロッパの国々
B 同性間の婚姻の拒否―ヨーロッパの多数派
◆13 フランス婚姻法における矛盾に関する一考察〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔マシャド・ダニエル訳〕〕
Ⅰ 婚姻法の拡張と競合
A 唯一無二の法制度として保護される婚姻から…
B …競合制度のある婚姻へ
Ⅱ 解消の緩和
A 離婚の著しい拡大
B 裁判外離婚による緩和
結 語
◆第Ⅲ部 債務―契約と責任◆
◆14 ヨーロッパにおける販売された消費財についての新たな担保責任―統一、多様性または共通の土台?〔ローラン・ルヴヌール〔平野裕之訳〕〕
Ⅰ 新しい担保責任の内容
A 約定の担保責任〔合意による担保責任〕
B 適合性の法定担保責任
Ⅱ 新しい規範の妥当範囲
A 国内法化の際の議論
B 国内法化の結果―消費者である買主の保護についての最小限の共通の土台
《付録1》消費者に対する売主による動産の契約への不適合の担保責任についての2005年2月17日のオルドナンス2005-136号(フランスの国内立法)
《付録2》消費財の担保責任及び売買の一定の側面についての1999年5月25日のEC指令
◆15 Covid-19による衛生危機とフランス契約法〔ローラン・ルヴヌール〔中原太郎訳〕〕
Ⅰ 契約の一般法―危機に直面しての契約の抵抗力と拘束力
A 契約内容の修正の試みの不奏功
B 不履行の帰結
Ⅱ 特別立法の必要性
A 契約の成立に関する措置
B 契約の履行に関する措置
【付録1】ワクチンとCovid-19―フランス法の視線〔サビーヌ・マゾー゠ルヴヌール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ ワクチン政策
A ワクチン接種を可能にする
B ワクチン接種を義務化するか?
Ⅱ 責任と賠償
A 賠 償
B 責 任
【付録2】Covid-19危機期間中の旅行の法的運命〔マリ・ルヴヌール゠アゼマール〔大村敦志訳〕〕
Ⅰ 旅行がキャンセルされた場合に関するフランス法およびヨーロッパ法の現状
Ⅱ 緊急事態法はパッケージ旅行のみに限定される
Ⅲ 部分的に履行された契約
◆16 医療責任に関する最近のフランス民事判例〔ローラン・ルヴヌール〔小粥太郎訳〕〕
Ⅰ 医師の債務の性質についての論争―手段債務か結果債務か?
A 結果債務に好意的な傾向の存在
B 破毀院の答え
Ⅱ 医療責任に関する最近の2つの発展についての論争
A 情報の不提供を理由とする責任の発展
B ペリュシュ判決についての論争
◆17 一般契約法および特別法における情報提供義務のサンクション〔マリ・ルヴヌール゠アゼマール〔大澤彩訳〕〕
Ⅰ 法定のサンクションの判別
A 伝統的な民事サンクション
B 独創的な民事サンクション
Ⅱ 定められるべきサンクション
A 問題となっている潜在的無効の受容
B より適切な回答
◇あとがき―解題を兼ねて/大村敦志
・仏語目次
・著者紹介/監訳者・訳者紹介