『ひと味違う法学入門―法的思考への誘い〔改訂第2版〕』
阿部泰隆(弁護士) 著
【目 次】
・第2版 はしがき
◇はじめに
1 講義の内容・目標・心構え
2 身近な話題4つ
<マスコミに行くなら阿部の講義を聴くべきだ>
1 金属盗難
2 学歴逆詐称
3 まつげエクステンション
4 泥棒に刑法を作らせる!! 泥棒仲間に留守番を頼む!!
5 コロナ自粛
◆第1章 法とは何か
1 法の体系
2 法はなぜ存在するのか
社会あるところ,法あり
自力救済の禁止,国家の刑罰権独占
国際法は法なりや
大王はなぜ英雄か!! 国際法と国内法の違い
北朝鮮の拉致
3 法は歴史的産物,国によって違う
(1) 法文化の系統
(2) 法と文化は国によって違う
イスラム金融
4 制定法と判例法
5 法の合理性と不合理性
長子相続は合理的か
一夫一婦制
6 法の基礎概念
法律学と経済学の違い
◆第2章 憲 法
1 憲法のしくみ,基本構造,明治憲法との比較
(1) 基本的人権の保障その1―国家権力の制限(憲法11~24条,29~40条)と司法審査
(a) 現憲法
(b) 明治憲法の定めとの比較
(2) 基本的人権の保障その2―国家への請求権
(3) 統治機構
(a) 主権の所在
(b) 国会と立法権
(c) 行政権
(d) 司法権
(e) 地方自治
(f) 憲法は誰のため?
2 自由権
(1) 思想良心の自由:国旗国歌法判決,歴史的視点
(a) 国旗・国歌法の意味は?
(b) 先生には強制できるのか。東京地裁判決と最高裁判決の比較
(2) 男子中学生の丸刈り校則の是非
3 生存権:憲法25条により保障されたはずの社会権
(1) 条文とシステム
(2) 制度の運用とその問題点
(3) 北九州市の餓死事件
(4) 生活保護と学資保険
(5) 生活保護と外国旅行
(6) 100%課税
(7) 高齢者の定義を変更せよ
(8) 国民年金と生活保護の不均衡の是正策
(9) 必要最小限の原則を徹底せよ
(10) 老齢加算の廃止は違憲か
(11) 営業の自由と生存権の関係
4 統治機構
(1) 立憲制度,明治憲法と比較
(a) 統帥権の独立
(b) 天皇機関説事件
(2) 二院制
(3) 三権分立の機能
(4) 政治家のマニフェスト違反
(a) マニフェスト
(b) 判 例
◆第3章 民事法と刑事法
1 はじめに
2 同じ行為が刑事と民事で別々の責任
3 故意,過失の責任は民事と刑事で異なる
(1) 民法の不法行為の場合
(2) 刑事法の場合
4 罪刑法定主義と民法の包括責任
(1) 金を返さない,払わない場合
(2) 不 倫
(3) 情報窃盗
5 時 効
(1) 刑事と民事の違いの例
(2) 時効は何のため?
◆第4章 民事法
1 民事法概観
(1) 実体法と手続法
(2) 実体法
(3) 手続法
2 主要通則
(1) 期間の計算
(2) 時効もいろいろ
(3) 民法の基本原則
3 民事実体法
(1) 債権と物権
(2) 契約法
(a) 合意の拘束力とその限界
(b) 悪徳商法の手口のあれこれ
(c) 約束違反は?
(d) 契約の合理的解釈
(3) 不法行為
(4) 物権,対抗力
(5) 婚姻法
(a) 婚姻届
(b) 夫婦同姓義務付けは合憲か
(6) 親子関係法
(a) 嫡出の推定の不合理
(b) 再婚禁止期間の違憲性
(c) 実の子と親子関係を結べないDNA検査無視最高裁判決
(7) 認 知
(a) 条 文
(b) 凍結精子児の認知請求事件
(c) 認知児童国籍付与判決
(8) 相続法
(a) 相続人
(b) 法定相続分
(c) 法定相続分の修正
(d) 遺産の分割
(e) 相続の承認及び放棄
(f) 遺 言
(g) 遺留分
(h) 相続税の計算
4 民事手続法(民事訴訟法)
(1) 原告,被告
(2) 裁判所,弁護士など
(3) 大切なことは立証
(4) 勝っても次に執行を要す(民事執行法)
(5) 財産隠しへの対応
◆第5章 刑事法=刑法,刑事訴訟法
1 概 観
2 刑法,基本は罪刑法定主義
(1) 法文の解釈手法
(a) 条文に戻れ
(b) 曖昧な条文
(2) 最高裁は限定解釈,立法者を尊重し,不明確な法律を救っている
(a) 徳島市公安条例判決,「交通秩序を維持すること」
(b) 淫 行
(c) 軽犯罪法1条2号の「正当な理由」
(3) 電気は物か,窃盗罪の客体か,罪刑法定主義,可罰的違法性
(4) 微罪での処罰可能性,一厘事件,可罰的違法性
(5) 犯罪構成要件の理解,罪刑法定主義
(a) 恨みによるストーカー
(b) 自販機詐欺
(c) 電子計算機への偽情報
(d) 貯金通帳への誤った振り込み
(e) 多額のお釣り
(f) 高級酒に見せた安物ウイスキー
(g) ぎんなん拾い
(h) 池ポチャボール
(i) 盗撮目的の銀行出張所立ち入り,建造物侵入罪成立
(j) 中央大学の池の鯉を釣ったら?
(k) 2歳児に火のついたたばこを吸わせたら?
(l) 現行法で適切に処罰できなければ法改正をする
(6) 故意犯,法律の不知,過失犯,未遂罪
(a) 故 意
(b) 法の不知はこれを許さず
(c) 過 失
(d) 未 遂
(7) 立証の困難,路上募金にご用心
3 刑事訴訟法=手続法
(1) 逮捕,起訴,裁判
(2) 公訴時効
(a) 従前の規定
(b) その後,2010年,殺人の時効廃止
(c) 時効の時間差攻撃
(3) 証 拠
(4) 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
(5) 日本の刑事訴訟法は死んでいる
(6) 痴漢えん罪
(a) 映画「それでもボクはやってない」
(b) 私人による現行犯逮捕の違法
(c) 被害者証言と加害者とされた者の証言を比較するだけの判決
(d) 痴漢事件で防衛医大教授に逆転無罪
(e) DNA検査せよ
(7) 人質司法は禁止せよ
(a) 人質司法は職権濫用罪
(b) 人質司法をなくす最高裁の英断
(8) 行政訴訟でも
4 当番弁護士の問題
5 裁判員裁判制度の導入
◆第6章 民刑事行政共通の話題
1 2割司法からの脱却,総合法律支援法
2 弁護士はなぜ悪人の弁護をするのか
3 弁護士商売
4 弁護士の広告
5 隣接「士」業
◆第7章 行政法
1 概説,行政法とは?
2 法律による行政の原理
(1) 強制立入りの法的根拠
(2) 指導に従わない業者に3倍加重の制裁は違法
(3) ワンコインというタクシー会社に対する運賃値上げ命令は違法
(4) 行政指導の行きすぎ,神戸市の法令に違反する行政指導と口利き条例
(5) 給付行政:配分の公平確保の方法
3 事前手続
4 行政強制,処罰
5 行政不服申立て
6 行政訴訟
7 国家賠償
8 損失補償
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