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亡命法学者と法の変容

著:小野 秀誠

紙版

内容紹介

◆ドイツ亡命法学者の法律学移転の歴史◆
ドイツでは、ナチスによる反ユダヤ主義の迫害が激化したため多くの法学者が欧米等に亡命したばかりでなく死に至らしめられた。この状況のなかでユダヤ系法学者が欧米の大学で研究・指導にかかわり多くの貢献をすることとなった。また、少数者や女性の法律学研究や学習の平等実現が永い時間をかけて図られてきた。本書では、ユダヤ系法学者と女性等少数者の活動を歴史的に詳論している。

目次

『亡命法学者と法の変容』
 小野秀誠(獨協大学法学部教授) 著

【目  次】

は じ め に

◇第1部 亡命法律家と法の移転◇

第1篇 亡命法律家と法の変容
 第1章 はじめに
  1 序
  2 亡命法学者の状況
 第2章 亡命法学者とイギリス,その他の国
  1 おもな亡命先
  2 各 論
 第3章 アメリカへの亡命法学者
  1 総 論
  2 各 論
 第4章 むすび,補遺と歴史の検証
  1 概 観
  2 各 論
  3 補 遺
  4 法曹養成制度の転換

第2篇 法律家と災害,不可抗力
 第1章 はじめに
  1 法学上の種々の災害と不可抗力
  2 政争と思想事件
  3 戦争被害
  4 経済的な困難
  5 その他
 第2章 司法への戦争の影響
  1 裁判所の数
  2 法曹の数の変化
  3 裁判官と弁護士の比率の転換
  4 戦争の法曹への直接の影響(兵役率,死亡率)
  5 美術品,文化財の没収と返還
 第3章 迫害と差別の時代
  1 第三帝国の時代の死亡者
  2 自 殺
  3 虐殺と収容所
  4 亡 命
  5 帰国者および隠棲者
  6 不明者
 第4章 迫害と戦後の救済
  1 連邦の裁判官職に復帰した者
  2 ライヒ大審院の裁判官への迫害
  3 ベルリンの宮廷裁判所の裁判官への迫害
  4 政治的理由からの自殺や処刑
 第5章 その他の障害と司法の対応
  1 古典的な視覚障害者
  2 遺伝病と不妊化
  3 視覚障害と司法,戦争被害

◇第2部 少数者と法,法律職◇

第3篇 女性法律家と亡命
 第1章 はじめに
  1 序
  2 大学教育の許容
  3 法学教育の許容
  4 女子学生の数の推移
 第2章 第一次世界大戦とワイマール憲法
  1 ドイツ民法典と女性の地位
  2 女性団体の統一
  3 ワイマール共和国の時代
  4 反動の時代
 第3章 ナチスの時代の女性の排除
  1 ナチスの女性差別
  2 女性法律家の運命
  3 法曹の中の女性の扱い
 第4章 戦後の時期
  1 1945年以後の女性法律家
  2 裁判官
 第5章 むすび――歴史上の女性と専門職
  1 学 者
  2 医 者
  3 女性司法相

第4篇 ドイツにおける男女同率化と連邦裁判官
 第1章 はじめに
  1 男女同権法の沿革と限界
  2 形式的な男女同権から実質的な男女同率へ
  3 教育関係とその他の乖離
  4 2021年法による修正
 第2章 ドイツの男女同率法
 A 序
  1 はじめに
  2 改正法の成果・公的部門
  3 私的部門
  4 政治部門
 B 公共部門における指標
  1 連邦の上級職の指導的地位の女性割合
  2 パートタイムの選択と介護を理由とする割合
  3 前年と比較した2019年の結果
 C 私的部門における指標,低迷
  1 私企業と同率の目標
  2 公職,連邦の上級官庁の指導的地位の男女割合
  3 連邦の関係する委員会の男女比率
 第3章 連邦の女性裁判官
  1 連邦裁判官の女性比率
  2 連邦憲法裁判所と女性比率
  3 連邦憲法裁判所の女性裁判官・各論
  4 他の連邦裁判所
 第4章 むすび
  1 近時の連邦裁判官の任命の動向
  2 国家試験における男女比率
  3 割合への方策
  4 補論,科学における格差

第5篇 大学における迫害と変容――ライプチッヒ大学を例として
 序 章
 第1章 大学の創設
  1 プラハ大学からの独立と創設
  2 宗教改革
 第2章 ザクセンにおけるライプチッヒの位置づけ
  1 ザクセンとの関係
  2 ザクセン選帝侯家の移動
  3 イエナ大学とハレ大学,ヴィッテンベルク大学
 第3章 パンデクテン法学の時代以降(終戦時まで)
  1 19世紀の法律家
  2 民訴法その他
  3 20世紀初頭,学部長,学長
  4 著名な卒業生
  5 ワイマール期以降
 第4章 東ドイツの時代
  1 東ドイツの法律家
  2 東ドイツの大学
 第5章 再統一後
 第6章 補遺1 カトリック諸邦の大学
  1 ウィーン大学
  2 ミュンヘン大学
  3 フライブルク大学
  4 ボン大学
  5 ミュンスター大学
 補遺2 ギーセン大学とマールブルク大学
  1 ギーセン大学
  2 マールブルク大学
 補遺3 北ドイツの大学
  1 ハノーバー大学
  2 ハンブルク大学
  3 ブレーメン大学
  4 ケーニヒスベルク大学

◇第3部 日本における法の移転◇

第6篇 お雇い外国人と法の継受
 第1章 はじめに
  1 著名なお雇い外国人
  2 お雇い外国人と招聘
 第2章 主要な法律家
  1 モッセ
  2 ロエスレル
  3 ルドルフ
  4 ミハエリス
  5 デルブリュックほか
  6 ニッポルト
  7 ブスケ,レーンホルム,ステルンベルク,テリー
  8 モール
  9 テッヒョー
 第3章 青木周蔵とホルレーベン(Theodor von Holleben)
  1 青木周蔵
  2 ホルレーベン
 第4章 むすび
  1 お雇い外国人と背景
  2 お雇い外国人の貢献
  3 リスコとライヒ司法部

第7篇 お雇い外国人と起草者
 第1章 はじめに
  1 お雇い外国人の種別
  2 国籍,時期,雇用先
 第2章 お雇い外国人の類型別検討
  1 高額報酬と期間限定
  2 第1世代と第2世代
  3 起草者との関係
 第3章 政治家との関わり
  1 政治家の世代交代
  2 独逸学協会
 第4章 むすび
  1 複線的関係
  2 大綱と細部

事 項 索 引
人 名 索 引

著者略歴

著:小野 秀誠
獨協大学法学部教授

ISBN:9784797226850
出版社:信山社出版
判型:A5変
ページ数:578ページ
定価:14545円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年09月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LAZ