『EUの現在地 ― 揺らぐ法秩序の動態』
井上典之(大阪学院大学法学部教授・神戸大学名誉教授)編著
【目 次】
・序文/井上典之
◆第Ⅰ部 総論的検討
◇第1章 EUにおける多層的憲法アイデンティティ─EUの揺らぎをもたらした法的背景/井上典之
1 はじめに
2 欧州における憲法アイデンティティの問題
3 多層的憲法空間としてのEUにおける憲法アイデンティティ
4 多層的憲法空間の中での立憲的結合体
5 まとめ―欧州統合へ向けて
◆第Ⅱ部 構成国の裁判所からの反抗
◇第2章 EUに対峙するドイツ連邦憲法裁判所の論理─特にその民主的正統性について/門田 孝
1 EUとドイツ連邦憲法裁判所
2 ドイツの憲法裁判の民主的正統性と司法的自制をめぐる問題
3 憲法裁判権の限界と立法者の「政治的形成の余地」
4 欧州統合に対するドイツ連邦憲法裁判所の積極的審査を可能にするものとは
◇第3章 次は「ポレグジット(Polexit)」なのか?─EU法の地位をめぐるポーランド憲法法廷の姿勢/マジェック・セロバニエック(竹内大樹訳)
1 はじめに
2 欧州連合司法裁判所の事例におけるポーランド憲法法廷の判例の展開
3 K3/21に関する欧州連合司法裁判所判決―合法的なPolexitかどうか
4 K3/21事件の批判的検討
5 まとめ
◆第Ⅲ部 基本権からの検討
◇第4章 欧州連合司法裁判所と人種・民族差別/植木 淳
1 はじめに
2 EUにおける人種差別禁止規範
3 欧州連合司法裁判所(ECJ)の判例展開
4 交差差別としての人種・民族差別
5 おわりに
◇第5章 捜査機関によるDNA型情報の利用に関する日欧の比較法的考察/高橋和広
1 はじめに
2 日本の犯罪捜査におけるDNA型情報の利用
3 日本の犯罪捜査におけるDNA型情報の取扱いにおける法律上の問題
4 EUの刑事司法分野におけるDNA情報の取扱い
5 まとめ
◇第6章 個人・家族・多様性社会─日欧憲法学の比較において/春名麻季
1 はじめに―東欧の多様性否定
2 ドイツ型モデルとされる日本の憲法理解
3 ドイツ・欧州における私的生活関係
4 日本と類似する東欧の状況
5 まとめとして―日本との比較における東欧の問題への対処可能性
◆第Ⅳ部 経済学的視点からの検討
◇第7章 EU銀行同盟─EUの経済統合における位置づけ/花田エバ
1 はじめに
2 銀行同盟の構成と創設経緯
3 「二速度式欧州」と銀行同盟
4 銀行同盟の展開―統合の深化? あるいは分断の長期化?
5 ダイナミックな要因とそれによる銀行同盟へのインプリケーション
6 おわりに
◇第8章 ウクライナ・モルドヴァのEU加盟─西バルカン諸国との比較/吉井昌彦
1 ウクライナとモルドヴァのEU加盟
2 ウクライナ・モルドヴァのEU関係
3 DCFTA
4 ウクライナ・モルドヴァのEU加盟の可能性―西バルカン諸国との比較
5 ウクライナ・モルドヴァのEU関係の将来