ざんねんな読書指導
スマホから「子どもの人生」を守った物語
著:有馬心一朗
内容紹介
子どもを本嫌いにする読書教育はもうやめよう!
「読書で人生が変わった」数々の実話から読書の真の価値と適切な指導法を探る
学校時代、「読書の重要性」を親や先生から諭され、うっとうしく思った経験はありませんか。「本なんか読んで、何かいいことあるのか?」と―筆者は、「読書ひとつで人生が変わる!」そんな場面を何度も見聞きしてきました。
たとえば筆者の教え子たちの中には、こんな経験をした子がいます。イジメに遭って居場所をなくしていた時期、ある一冊の本に出あって命を救われた。小学生時代に身につけた読書習慣で、成人後に苦境から脱した。こうした「読書で人生が変わった」数々の実話を通じて、読書の教育的な価値をお伝えするのが本書の趣旨です。
筆者は、読書は「教育への最良の投資」だと考えます。本ほど安価で、教育的な効果のあるツールはほかにないと思うからです。すぐれた本を読むことで、「知の巨人」を(大金をかけずに)自らの脳内に棲まわせることができる。読書とはそういう営みではないでしょうか。とくに名著と呼ばれる「古典」を読むことは、(もしそれが文庫なら)破格の値段で過去への旅をするようなものです。考えてもみてください、書店や図書館へ行けば、1000年も2000年も前の書物に触れることができる、これは奇跡としか言いようがありません。「古典を読む」とは、過去の偉人たちと時空を超えて対話をすることなのです。
ところが、一方で教育現場では、「読書感想文」や「10分間読書」など、子どもたちを本嫌いにさせる教育活動が根強く行われています。全国各地の学校では、「ざんねん!」のひと言では済まされない「悲劇」が日々生み出され続けているのです。
では、どうすればこうしたちぐはぐな状況を脱することができるのでしょうか。まずは本書で紹介した30ほどのエピソードを読んで、「読書ひとつで人生が変わる可能性」を実感していただけると幸いです。(ありま・しんいちろう)
もくじ
まえがき 筆者の読書遍歴 1
第1章 読書の価値 「日本人の心」を受け継ぐ本の力 3
偉人から学ぶ重要性 スマホに人生を奪われないために 27
「野生の勘」を劣化させない読書術 38
第2章 本の読み方 読書は「技術」でもある 51
『名探偵コナン』で数学が得意になった子ども 72
暴力行為を改善した驚異の絵本 80
第3章 読書への投資 「人生」という旅の歩き方 99
ルポ 「本を読まない人間」が陥った恐怖の末路 106
「古典」が生き残るワケ 115
AIとテキストという「二刀流学習」の是非 137
第4章 本の選び方 読書の価値は「読む前」に決まる 145
体育会系の子どもに向いていた「読解力の養成法」があった 163
あとがき 189
参考文献一覧 197