まえがき
第1章 入学
ところで、えーと、合格した人は……?――合格発表
本郷キャンパスから東京ドームへ――二人の息子
TBSから職場に電話がかかってきた――テレビ取材
幸運を呼んだヘーゲル――論文Ⅱ
夜中に机に向かっていた父の背中――受験の動機
昼間働いている人間が昼間の大学に通えるのか――不安
通勤時間をどう活用するか――受験勉強
「大学に通うことを認めるのは難しくなった」――郵便局員の立場
蓮實重彥総長、かく語りき――入学式
東大生はバカになったか――立花隆氏への反論
「いつも、嫌なやつだと思っていたよ」――父と義理の父
第2章 駒場
第二外国語はスペイン語――文Ⅲ8H
都立高校の出身者は私一人(なのに四一歳である)――出身高校
一時間単位で有給休暇を申請――必修科目
「郵政民営化は是か非か?」――基礎演習
語学クラスの互助システム――シケプリ
美人スペイン語教師のお気に入り――カスート・オガワ
「文Ⅲ8Hのママ」の気配り――Aさんからの手紙
リスニングに四苦八苦――英語Ⅰ
精読にも四苦八苦――英語Ⅱ
全力疾走してはいけない――トレーニング授業
私は友人失格だった――Tさんのこと
コンピューターには、ほとんど触ることなく――情報処理
大学にこなくなってしまった同級生――仮面浪人
「食べる力」と「学ぶ力」の相関関係――北陸の三人娘
名前と番号を逆に書いてしまった――スペイン語テスト
出席簿に「ハナマル」がついた日――慶休
「いえ、挑戦ですから」――校正アルバイト
年の離れた同級生たちとの付き合い――アフター 5
「印哲」に進むことを決意――進振り
難行苦行にあえて挑戦――サンスクリット語
「驚くなよ。この人、いま東大生なんだぞ」――郵便局の同僚
仕事と学業を両立させる工夫――時間割
「概説」とは何か――社会学史概説
「インド哲学概論」の豊饒な世界――D助教授
第3章 白金台
二〇歳の明学生――浪人・闘病生活
ボクシング漬けだった毎日――学業放棄
やり残したこと――語学クラス
授業は先生と生徒の真剣勝負の場――王権神授説
証券会社をやめて塾講師に――社会人生活
結婚、天職との出逢い――人生の転機
第4章 本郷
郵政民営化の逆風の中で――入院見舞い
教官は七人、新三年生は六人――インド哲学仏教学専修課程
碩学との喫茶店トーク――C教授
一緒に勉強してわかる頭のよさ――同期生
ライオンはやがて仙人に――E教授
「プラトンの『饗宴』はかならず読みなさい」――F教授
駒場の同級生に暑中見舞いを送る――かもめ~る
敬意をもって批判する――魅惑の比較仏教論
「新人三人のうち、即戦力は小川さんだけだね」――野球部「インテツ」
東大生活、最後の一年がはじまった――大学四年生
「タミル文学には後継者がいない。誰かやりませんか」――印文の誘惑
サンスクリット語で『般若心経』を暗唱――色即是空
夏の夜の出来事――家族との時間
人生最後のサンスクリット語のテストかもしれない――特別演習
二〇〇一年三月二八日、東京国際フォーラム――卒業式
終章 六二歳
法文二号館の一番大教室へ――最終講義
「郵便局は、もう退職したんですか」――再会
学業を断念してしまった理由――懲戒処分
違う道、違う人生――それぞれの軌跡
ずっとずっと待っていた――カミュと内田樹
創部五〇周年記念祝賀会――ボクシング同好会
解説──ただ学んでいく、それだけで素晴らしい丸井浩(東京大学名誉教授)